地域力発見

神奈川県介護支援専門員協会/宮下今日子(連載86)

神奈川県介護支援専門員協会/宮下今日子(連載86)

 神奈川県介護支援専門員協会(青地千晴理事長)は、2月15日、川崎市で、第18回同協会研究大会「虹のかけはし〜ともにつながるかわさき〜」を開いた。今回は、川崎市介護支援専門員連絡会(出口智子会長、会員数約600人)の活動が発表された。

第18回研究大会「虹のかけはし〜ともにつながるかわさき〜」

 当日は広々とした会場に約200人が参加。5つの研究発表、基調講演(厚生労働省老健局総務課、鴨野寿美夫課長補佐)、共生社会をテーマとしたシンポジウムで構成され、会場との活発な質疑応答も行われた。

 午前中の研究発表では、ケアマネに必要な今日的な課題が厳選されていたが、そのいくつかを紹介したい。

 ①「介護状態を改善・維持するエビデンスがあるケアプラン作成サービス」と題して発表した山田準一氏(ケアプランステーションふらり)は、独自に開発した「山田方式ケアプラン構造」を発表。アセスメントの思考過程を独自に可視化し、一般的に時間がかかる作成時間を短縮化した。利用者面談から帰って、ケアプランを作成し、提供票を終わらせるまでの時間は、以前に比べて約66%も削減できたという。現在「山田方式ケアプラン構造」として商標登録しウェブ上で提供している。参加したケアマネからは、早速、使ってみたいという声も挙がっていた。

 ②「デイサービスの利用者様は何に興味が・関心がある?〜興味関心チェックリストを用いて検証〜」を発表したのは小林資英氏(ラクセム)。デイサービスを運営する同社では、これまでPT、OT、介護職が連携して運動を主としたサービスを提供してきたが、日常生活活動能力が向上した人が少ないのが現状だった。厚労省の調査でも改善割合は約12%程度という報告もある。そこで、利用者の日常生活における目標設定をする上で、価値観を知ることが重要だと考え、利用者の意識調査を実施した。その結果、利用者が「してみたい」という項目のうち上位3位は「旅行・温泉」「買物・散歩」「お友達とおしゃべり・遊ぶ」だと分かった。そこで、こうした興味や関心事に即したプログラムを作り、実施した結果も検証していくそうだ。専門職による一方的なサービス提供への反省になりそうな事例だ。

 その他、会場のケアマネに聞いたところ、「パーキンソン病疾患における外来リハビリと訪問リハビリの活用について」と題するOTからの発表は、制度改正で病院リハビリが廃止され、どうしたらいいか困っていたのでとても参考になった、という声が聞かれた。また、包括が開催する認知症カフェを紹介した「ハイジカフェ36回の開催報告〜地域の専門職の協力を得て〜」を聞いたケアマネは、自分もこのカフェに参加しているが、包括からいきなり仕事が来ると困ってしまうこともあるが、カフェで顔馴染みになっていたので支援がスムーズだったと話してくれた。

 川崎市介護支援専門員連絡会では法定研修以外の研修事業に力を入れてきた。市内の各事業者が介護保険制度の最新動向を学び、その課題と向き合って様々な試みをしていることが伺えた。地域を越えて他の自治体でも参考にして欲しい。

宮下今日子

(シルバー産業新聞2020年3月10日号)

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