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島根県の介護保険 介護予防・地域の中核人材育成に注力
1955年をピークに人口減少が続き、全国でも高い高齢化率を示す島根県。通いの場の推進など、限られた資源を活かす取り組みが進む。
島根県の人口は、1955年の93万人をピークに、20年時点で約67万人と減少を続ける。高齢者人口は20年に約23万人、高齢化率も34.2%と全国4位の高い水準を示す。
同県の老人福祉圏域は、松江、出雲をはじめとし、離島を含む隠岐など7圏域より構成される。40年に向けて、都市部の松江市や出雲市では、65歳以上人口が増加しつつも総人口は比較的維持されるが、それ以外の地域では、総人口・65歳以上人口ともに持続的な減少が見込まれている。特に、中山間地域、離島でその傾向が大きい。
同県の老人福祉圏域は、松江、出雲をはじめとし、離島を含む隠岐など7圏域より構成される。40年に向けて、都市部の松江市や出雲市では、65歳以上人口が増加しつつも総人口は比較的維持されるが、それ以外の地域では、総人口・65歳以上人口ともに持続的な減少が見込まれている。特に、中山間地域、離島でその傾向が大きい。
施設系中心に整備、地域の居宅は社協・社福法人が支える
県では、施設系サービスを中心に整備を進め、人口当たりの定員数は全国でも上位を誇る。00年の介護保険制度発足当初、離島・中山間地域での介護資源確保を目指したことによる。
現在も居宅サービスに関しては、都市部では比較的充実しているが、中山間地域や離島では点在するに留まる。「効率的なサービスが提供できない地域では、介護保険制度以前からある社協や社会福祉法人が地域を支えている」と高齢者福祉課課長補佐の天野和行氏は語る。
現在も居宅サービスに関しては、都市部では比較的充実しているが、中山間地域や離島では点在するに留まる。「効率的なサービスが提供できない地域では、介護保険制度以前からある社協や社会福祉法人が地域を支えている」と高齢者福祉課課長補佐の天野和行氏は語る。
地域の実情に合わせた事業の効率化・サービス提供を
地域の高齢者の生活を支えるためには、限られた介護資源の活用が重要となる。
「これまで個別に運営していた事業所を集約し、業務の効率化と経営体力をつけることも一つの解決策」と同課課長補佐小松原茂雄氏は分析。県では人口の7割が松江、出雲圏域に集中しており、残りがその他地域に散在するなど人口の流れにも大きな偏りがある。「県として、検討に必要な情報やデータ、議論の場の調整など後方支援を継続する」と同課課長細田浩之氏は語る。
「これまで個別に運営していた事業所を集約し、業務の効率化と経営体力をつけることも一つの解決策」と同課課長補佐小松原茂雄氏は分析。県では人口の7割が松江、出雲圏域に集中しており、残りがその他地域に散在するなど人口の流れにも大きな偏りがある。「県として、検討に必要な情報やデータ、議論の場の調整など後方支援を継続する」と同課課長細田浩之氏は語る。
イメージアップへ啓発続ける
県では第9期計画の最終年度となる26年度に、およそ1万7600人の介護人材の需要に対し、約750人の不足が見込まれる。
人材不足への対策では、介護業界のイメージアップを目指した活動が一つ。介護の日に高校生や若手介護職員、事業所の経営層などを交えたトークセッションを行い、また、夏休みを活用した中・高校生の介護の職場体験などを開催している。加えて、その様子を県の公式YouTubeチャンネル「しまねっこCH」で配信し、介護現場の魅力発信に取り組む。
また、昨年の11月から、「しまね福祉・介護人材育成宣言事業所」制度を開始。「これまで10件の申請と4件の承認に留まるが、一般の人へのPRに向けて申請が増えることを期待している」と同課課長補佐原田孝治氏は語る。
人材不足への対策では、介護業界のイメージアップを目指した活動が一つ。介護の日に高校生や若手介護職員、事業所の経営層などを交えたトークセッションを行い、また、夏休みを活用した中・高校生の介護の職場体験などを開催している。加えて、その様子を県の公式YouTubeチャンネル「しまねっこCH」で配信し、介護現場の魅力発信に取り組む。
また、昨年の11月から、「しまね福祉・介護人材育成宣言事業所」制度を開始。「これまで10件の申請と4件の承認に留まるが、一般の人へのPRに向けて申請が増えることを期待している」と同課課長補佐原田孝治氏は語る。
伴走支援でロボット・ICT機器導入推進
16~22年までの間で、見守り機器など介護ロボットを累計110事業所、介護ソフトなどICT機器を139事業所に導入した。
県では、今年度介護テクノロジー導入支援事業として1億1700万円の予算を積み増す。さらに、県内事業所に専門家を派遣し業務改善やテクノロジー活用のアドバイスと伴走支援を行う介護ロボット等導入支援専門家派遣事業を新たに開始し支援を強化する。
生産性向上や人材確保に関するワンストップ窓口である「介護生産性向上総合相談センター」については、県では25年度に向けて設置を検討する。「県直営での運用が難しい状況にあり、今年度から始まる支援事業の成果を分析しつつ、1年間かけて委託先の選定などを進める方針」と細田氏は計画を語る。
県では、今年度介護テクノロジー導入支援事業として1億1700万円の予算を積み増す。さらに、県内事業所に専門家を派遣し業務改善やテクノロジー活用のアドバイスと伴走支援を行う介護ロボット等導入支援専門家派遣事業を新たに開始し支援を強化する。
生産性向上や人材確保に関するワンストップ窓口である「介護生産性向上総合相談センター」については、県では25年度に向けて設置を検討する。「県直営での運用が難しい状況にあり、今年度から始まる支援事業の成果を分析しつつ、1年間かけて委託先の選定などを進める方針」と細田氏は計画を語る。
通いの場の普及進む
介護予防の推進に力を入れており、県内の通いの場の数は、21年度には572カ所と年々増加している。同年度の高齢者の通いの場への参加率は12.9%、その内、週1回以上の参加者の割合も3.0%といずれも全国平均を上回る。
昨年4月、県では介護予防に向けて、PT、OT、STを中心に「しまねリハビリテーションネットワーク」が立ち上げられた。「フレイル予防や重度化防止のために、通いの場の質の向上が重要。リハ専門職の派遣などによる支援を強化したい」と同課室長富岡泰之氏は意気込む。また、県社協への委託事業として高齢者大学校「くにびき学園」を運営しており、地域活動の担い手の育成に取り組む。これまで、4302人の卒業生を輩出し、22年度の修了生から「わが島根(まち)づくりマイスター」の称号を授与し、地域のボランティア活動や通いの場、子ども食堂の運営などでの活躍を期待している。
「介護資源が限られる中、高齢者にいかに元気でいてもらうかが重要となる。県としても引き続き支援に取り組んでいきたい」と細田氏は語った。
昨年4月、県では介護予防に向けて、PT、OT、STを中心に「しまねリハビリテーションネットワーク」が立ち上げられた。「フレイル予防や重度化防止のために、通いの場の質の向上が重要。リハ専門職の派遣などによる支援を強化したい」と同課室長富岡泰之氏は意気込む。また、県社協への委託事業として高齢者大学校「くにびき学園」を運営しており、地域活動の担い手の育成に取り組む。これまで、4302人の卒業生を輩出し、22年度の修了生から「わが島根(まち)づくりマイスター」の称号を授与し、地域のボランティア活動や通いの場、子ども食堂の運営などでの活躍を期待している。
「介護資源が限られる中、高齢者にいかに元気でいてもらうかが重要となる。県としても引き続き支援に取り組んでいきたい」と細田氏は語った。
(シルバー産業新聞2024年4月10日号)