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テクノロジー機器の連携・比較がわかる「介護ICT体験フェア」

テクノロジー機器の連携・比較がわかる「介護ICT体験フェア」

 ICT機器の選定・導入・運用・保守の伴走支援を手がけるキヤノンシステムアンドサポートは、4~5月に全国8会場で「介護ICT体験フェア」を開催、施設経営者や現場責任者などのべ1000人以上が参加した。5月14日の北海道・旭川会場の様子をお届けする。展示会場では見守り機器やナースコール、介護ソフト等の機器連携を体感できるブースが充実。導入前後でのワークフローの変化を演劇形式で紹介する「シナリオブース」も関心を集めた。セミナーは今後さらに活用可能性が高まる生成AIをテーマに、グループディスカッションで盛り上がった。

居室・フロアを再現した「連携ブース」拡充

 介護ICT体験フェアは、介護テクノロジー導入補助金の申請受付が各都道府県で始まる時期を見据え、4~5月に集中開催。今年は前橋・青森・津・高知・小田原・大阪・旭川・福岡の全国8都市で実施した。

 介護施設、特にICT・DX化を検討している特養の参加者が多数。最近では県老施協など事業者団体とタイアップ、共催する機会も増え、施設個々から業界全体へと課題認識が広まってきている。

 5月14日の旭川会場には約100人が参加。メーカー25社が出展した。介護記録ソフトや見守り機器、ナースコールを中心に、離床・移乗用リフト、さらに勤怠・給与管理ソフトやAI議事録、グループウェア等のバックオフィスソフトも充実。生成AIが体験できるワークショップブースも設けた。

 展示会の特長の一つが、異なる製品をスマートフォン等で連携し体験できる「連携ブース」。業務効率化の要であり、キヤノンシステムアンドサポートが伴走支援でより強みを発揮する部分だ。今年は例年よりさらに充実させ、6つの連携パターンを用意。それぞれ居室を模したブースでデモンストレーションを行った。

 各連携ブースでは見守り機器の検知・発報やナースコールの呼び出しがあった場合のスマートフォンへの通知、それによる職員の初動対応・操作の変化、そして介護記録ソフトへの自動記録のされ方など、限りなく現場に近づけた形で一連の流れを紹介。さらに、連携ブースに囲まれた中央エリアは施設のステーションをイメージし、パソコン上での見守り状況、発報時の見え方などを確認した。

 連携パターンを複数設けたことで、機器の組み合わせによる違いが比較できるのもメリット。例えば「介護ソフトは既存のものを使い、見守り機器だけを追加したい」など、施設個々の状況や課題に沿った機器選定の相談にも応じやすい。

ICTの「ある時・ない時」を比較

 今年、新たに試みたのが「介護ICTシナリオブース」。ICTを完備した居室と、そうでない居室を並べ、職員の負担とケアの質の違いを演劇形式で披露した。

 テーマは▽転倒・転落への対応▽ナースコールへの対応▽夜間巡回の効率化▽急な容体変化の判断▽体重測定の自動化▽スタッフ間の連携・ヘルプ要請▽端末1台での情報の一元管理▽将来を見据えたWi-Fi環境整備――などを設定した。

 例えば「転倒・転落」では、「気づいたら利用者がベッドから転落していた」など、人による直接の見守りでは限界があると指摘。見守り機器を活用し、利用者の起き上がり、離床に合わせて通知タイミングを設定する点で、転倒リスクを軽減できること、また通知の際もカメラ映像等をスマートフォンで確認し応答、訪室の判断ができる点を紹介した。

 また、「体重測定の自動化」では、ベッド下に設置する見守り機器を紹介。利用者がベッド上にいる状態で自動的に体重を測定でき、データは介護記録システムに自動転記される機能をもつ。対して未導入の場合は、体重測定のために「ベッドから移乗→体重計まで移動→体重計へ移乗」の一往復の介助が発生する。全入所者を月1回測定する想定だと、見守り機器は相当な労力の軽減につながる点をPRした。

AI活用の可能性を多施設で共有

 セミナー会場では「はじめての生成AIin介護〝便利なツール〞から始めよう」をテーマに、講演とグループワークが行われた。

 同社からは生成AIの基本と役割などを説明。①書類作成時間の短縮②ヒューマンエラー低減と記録の質向上③利用者への直接ケアなどの本来業務への集中――の3点を活用のメリットに挙げつつ、あくまで「判断を支援する道具」として、最終判断・責任は必ず人がもつことが重要だとした。

 会場では施設長(経営者)、介護職員、看護職員、事務職など立場・職種ごとに参加者が5~7人のテーブルに分かれ、適宜短いディスカッションを数回実施。自施設の使用状況や課題を前提に、生成AIの活用可能性を議論・共有した。

 「普段の使用状況」について、介護記録や議事録、事故報告書をあげたグループは「要約などは便利。一方、書き手の思考を組み込もうとすると作成に時間がかかる」と現状を説明した。

 この日は生成AIの活用場面例として議事録・要約、事故報告書の2つを紹介。その上で「生成AIが使えそうな場面は?」の議題では、「事故報告書の質が標準化される。基礎知識がある人は上手に作成できるが、事故原因の分析などの言語化・文章化が苦手な職員も多い」といった具体的な意見も出された。

 最後に同社より注意点として、無償版の生成AIは個人情報を入力しないこと、また「入力データが学習に利用されない」よう設定することや、そのような機能が備わっている法人向けプランの利用を推奨した。

 参加者からは「基礎から学べてとても勉強になった」「他施設の意見が参考になった」「業務負担の軽減につながる可能性を感じた。今後使ってみたい」など、生成AIの活用に意欲的な声が多く集まった。

(シルバー産業新聞2026年6月10日号)

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