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アシストスーツで腰負担軽減・ケア標準化へ

アシストスーツで腰負担軽減・ケア標準化へ

 愛媛県八幡浜市の高齢者介護施設「ことぶき荘」(社会福祉法人ことぶき会、窪田久人施設長)は定員60人の特別養護老人ホーム。介護職員の腰痛発生をきっかけに3年前からノーリフトケアに取り組み、移乗支援用具も活用し介助時の負担軽減を図っている。昨夏には初めて介護ロボット(アシストスーツ)を導入し、腰痛を防ぐケアの定着を目指している。

 介護福祉士の中川雅也さんは、同施設のノーリフトケア推進チームのリーダーを務める。中川さんら3人の推進メンバーは、ノーリフト関連研修を修了し、日頃から腰痛予防のための介護技術や支援機器などの情報を集め、施設でその知識・技術の定着に努めている。

 施設では、床走行リフトやスタンディングリフト、スライディングボードを導入し、それぞれが適する利用者の身体状況を踏まえ、各機器による移乗介助の方法を、工程ごとに詳しくまとめた写真付きマニュアルを作成し、職員に適切な介助スキルを浸透させている。

 また年2回の確認試験も行い、マニュアルに沿ったケアの習熟・定着を図っている。「自己流の介助にならないことが重要。どの職員が担当しても、一定のレベル以上でケアが標準化できるよう努めている」と中川さん。「取り組みの甲斐あって、全体としてはノーリフトケアの底上げがはかられてきた」と成果を話す。
装着は簡単で早い

装着は簡単で早い

 その中で昨年8月、リフトなどで対応できない場面の負担を減らそうと、パワーアシストスーツ「ジェイパスフレアリー」(ジェイテクト製)を導入した。同品は、体位変換やおむつ交換、移乗など中腰姿勢での介助時に、身体の動きを検知しモーターでアシスト力を働かせて自然な動作を助ける。中腰になるとスーツ内のベルトが巻き上げられ、腰にかかる負担を大きく減らす。また移乗やトイレ介助など、瞬間的に大きな力が必要な際も、タイミングを合わせてアシストするなど、作業に合わせてアシストの仕方や強さも変えられる。

 「おむつ交換や体位変換などの際は、しばらく中腰姿勢をとらざるを得ず、さらにご利用者の重みが腰にかかってくる。既存の移乗支援機器ではカバーできない場面で試したいと、このスーツを取り寄せた。すると、着けやすくて軽く操作も簡単で、腰痛を抱える職員も楽だと話したので、導入に至った」と中川さんは振り返る。
声掛けを行いながら、体位変換をサポート

声掛けを行いながら、体位変換をサポート

 ことぶき荘入所者の平均要介護度は4.6ほどで、定時・随時のおむつ交換や原則2時間に1回の体位変換などで、3台のジェイパスフレアリーが活躍する。「熟練スタッフでなくても、誰でも使いこなせるので、安定した腰痛予防効果が期待できる。必要な時にサッと装着でき、軽くて身体の動きを妨げないので、フロアを移動しながら連続してケアにあたるのも楽」と中川さんは評価する。

 窪田施設長は「テクノロジー活用や委員会設置などの体制も整い、日々の業務改善も進みつつある中で、生産性向上推進体制加算の算定も問題ない見込み。今後も職員の過度な負担を減らしながら、ケアの質を高める取り組みを続けていきたい」と話した。

「ジェイパスフレアリー」 についての詳細・お問合せは、同製品ウェブサイトから。


(シルバー産業新聞2024年6月10日号)

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