介護報酬単価
褥瘡マネジメント加算 留意事項やQAまとめ【2021年度介護報酬改定】
2018年介護報酬改定で、入所者の褥瘡発生を予防するため、褥瘡発生に関連する項目の定期的な評価を実施し、計画的に管理するプロセスを評価する「褥瘡マネジメント加算」が新設された。そして、4月に行われた2021年介護報酬改定では、国に褥瘡ケアに関するデータ提出をしてフィードバックを受けるというPDCAサイクルを評価する加算と、その結果として利用者の褥瘡が発生しなかった場合にアウトカム評価をする加算体系が新たに創設。4月からの「褥瘡マネジメント加算」の要件と、厚労省が通知する留意事項・QAを紹介する。
褥瘡マネジメント加算の主な変更点
・6カ月間の期限を撤廃し、6カ月以降も継続算定可能とする
・加算体系に国のデータベース「LIFE」へデータ提出の義務化
・褥瘡が発生しなかった場合(アウトカム)について評価する新区分を設ける
・看護小規模多機能型居宅介護も算定対象に追加
・加算体系に国のデータベース「LIFE」へデータ提出の義務化
・褥瘡が発生しなかった場合(アウトカム)について評価する新区分を設ける
・看護小規模多機能型居宅介護も算定対象に追加
褥瘡マネジメント加算
(Ⅰ)1月につき3単位 〈新設〉
(Ⅱ)1月につき13単位 〈新設〉
(Ⅲ)1月につき10単位
※ 加算(Ⅰ)~(Ⅲ)は併算不可
※(Ⅲ)は3月に1回算定可能(ⅠとⅡは毎月算定可)
※(Ⅲ)は21年3月末までに「褥瘡マネジメント加算」を算定していた事業所のみ算定可。算定要件は従前と同じ。以降のための類型で22年3月末までの期限付き
算定対象:介護老人福祉施設(地域密着特養型含む)、介護老人保健施設、介護医療院、看護小規模多機能型居宅介護
(Ⅱ)1月につき13単位 〈新設〉
(Ⅲ)1月につき10単位
※ 加算(Ⅰ)~(Ⅲ)は併算不可
※(Ⅲ)は3月に1回算定可能(ⅠとⅡは毎月算定可)
※(Ⅲ)は21年3月末までに「褥瘡マネジメント加算」を算定していた事業所のみ算定可。算定要件は従前と同じ。以降のための類型で22年3月末までの期限付き
算定対象:介護老人福祉施設(地域密着特養型含む)、介護老人保健施設、介護医療院、看護小規模多機能型居宅介護
算定要件
(Ⅰ)
① 入所者ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時等に評価するとともに、少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用する。
② 「①」の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等ごとに、医師、看護師、管理栄養士、介護職員、介護支援専門員その他の職種が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成する。
③ 入所者等ごとの褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、その管理の内容や入所者等ごとの状態について定期的に記録する。
④ 「①」の評価に基づき3月に1回以上、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直す。
(Ⅱ)
① (Ⅰ)の要件を満たす
② (Ⅰ)①の評価結果、入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について褥瘡の発生がない。
(Ⅲ)
① 入所者ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時に評価するとともに、3月に1回以上、評価を行い、その評価結果を厚労省に報告。
② (Ⅰ)②~④を満たす
① 入所者ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時等に評価するとともに、少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用する。
② 「①」の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等ごとに、医師、看護師、管理栄養士、介護職員、介護支援専門員その他の職種が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成する。
③ 入所者等ごとの褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、その管理の内容や入所者等ごとの状態について定期的に記録する。
④ 「①」の評価に基づき3月に1回以上、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直す。
(Ⅱ)
① (Ⅰ)の要件を満たす
② (Ⅰ)①の評価結果、入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について褥瘡の発生がない。
(Ⅲ)
① 入所者ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時に評価するとともに、3月に1回以上、評価を行い、その評価結果を厚労省に報告。
② (Ⅰ)②~④を満たす
留意事項
・褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)は原則として入所者全員を対象として、入所者ごとに要件を満たした場合に、当該施設の入所者全員(褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)または(Ⅲ)を算定する者を除く)に対して算定できる。
※施設サービスのみ
・加算(Ⅲ)は、2021年3月31日において、21年度改定前の褥瘡マネジメント加算に係る届出を行う施設について、今後LIFEを用いた情報の提出に切り替えるように必要な検討を行うことを前提に、経過措置として2021年度末まで従前の要件での算定を認める。
※施設サービスのみ
・加算(Ⅰ)は原則として要介護3以上の利用者全員(加算(Ⅱ)を算定する者を除く)に対して算定できる。
※看護小規模多機能型居宅介護のみ
・褥瘡の評価は、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」を用いて、褥瘡の状態および褥瘡の発生と関連のあるリスクについて実施する。
・利用開始時の評価は、市町村長に届け出た月および当該月以降の新規利用者については、当該者の利用開始時に評価を行うこととし、届出月の前月において既に利用している者については、介護記録等に基づき、利用開始時における評価を行う。
・褥瘡ケア計画は、褥瘡管理に対する各種ガイドラインを参考にしながら、入所者ごとに、褥瘡管理に関する事項に対し関連職種が共同して取り組むべき事項や、入所者の状態を考慮した評価を行う間隔等を検討し、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」を用いて、作成する。
なお、介護福祉施設サービスでは「褥瘡ケア計画に相当する内容を施設サービス計画」、看護小規模多機能型居宅介護では「居宅サービス計画」の中に記載する場合は、その記載をもって褥瘡ケア計画の作成に代えることができるものとするが、下線または枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにする。
・褥瘡ケア計画に基づいたケアを実施する際は、褥瘡ケア・マネジメントの対象となる利用者またはその家族に説明し、同意を得る。
・加算(Ⅱ)は、加算(Ⅰ)の算定要件を満たす事業所において、評価の結果、利用開始時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた利用者について、利用開始月の翌月以降に「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」を用いて評価を実施し、当該月に「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」に示す「持続する発赤(d1)」以上の褥瘡の発症がない場合に算定できる。
ただし、利用開始時に褥瘡があった利用者については、当該褥瘡の治癒後に、褥瘡の再発がない場合に算定できる。
・褥瘡ケア計画の見直しは、褥瘡ケア計画に実施上の問題(褥瘡管理の変更の必要性、関連職種が共同して取り組むべき事項の見直しの必要性等)があれば直ちに実施すること。その際、PDCAの推進および褥瘡管理に係る質の向上を図る観点から、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用する。
・褥瘡管理にあたっては、事業所ごとに当該マネジメントの実施に必要な褥瘡管理に係るマニュアルを整備し、当該マニュアルに基づき実施することが望ましい。
・評価結果等の情報の提出については、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いて行う。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照(※)。
※施設サービスのみ
・加算(Ⅲ)は、2021年3月31日において、21年度改定前の褥瘡マネジメント加算に係る届出を行う施設について、今後LIFEを用いた情報の提出に切り替えるように必要な検討を行うことを前提に、経過措置として2021年度末まで従前の要件での算定を認める。
※施設サービスのみ
・加算(Ⅰ)は原則として要介護3以上の利用者全員(加算(Ⅱ)を算定する者を除く)に対して算定できる。
※看護小規模多機能型居宅介護のみ
・褥瘡の評価は、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」を用いて、褥瘡の状態および褥瘡の発生と関連のあるリスクについて実施する。
・利用開始時の評価は、市町村長に届け出た月および当該月以降の新規利用者については、当該者の利用開始時に評価を行うこととし、届出月の前月において既に利用している者については、介護記録等に基づき、利用開始時における評価を行う。
・褥瘡ケア計画は、褥瘡管理に対する各種ガイドラインを参考にしながら、入所者ごとに、褥瘡管理に関する事項に対し関連職種が共同して取り組むべき事項や、入所者の状態を考慮した評価を行う間隔等を検討し、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」を用いて、作成する。
なお、介護福祉施設サービスでは「褥瘡ケア計画に相当する内容を施設サービス計画」、看護小規模多機能型居宅介護では「居宅サービス計画」の中に記載する場合は、その記載をもって褥瘡ケア計画の作成に代えることができるものとするが、下線または枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにする。
・褥瘡ケア計画に基づいたケアを実施する際は、褥瘡ケア・マネジメントの対象となる利用者またはその家族に説明し、同意を得る。
・加算(Ⅱ)は、加算(Ⅰ)の算定要件を満たす事業所において、評価の結果、利用開始時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた利用者について、利用開始月の翌月以降に「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」を用いて評価を実施し、当該月に「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」に示す「持続する発赤(d1)」以上の褥瘡の発症がない場合に算定できる。
ただし、利用開始時に褥瘡があった利用者については、当該褥瘡の治癒後に、褥瘡の再発がない場合に算定できる。
・褥瘡ケア計画の見直しは、褥瘡ケア計画に実施上の問題(褥瘡管理の変更の必要性、関連職種が共同して取り組むべき事項の見直しの必要性等)があれば直ちに実施すること。その際、PDCAの推進および褥瘡管理に係る質の向上を図る観点から、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用する。
・褥瘡管理にあたっては、事業所ごとに当該マネジメントの実施に必要な褥瘡管理に係るマニュアルを整備し、当該マニュアルに基づき実施することが望ましい。
・評価結果等の情報の提出については、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いて行う。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照(※)。
褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書.pdf (207 KB)
※「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方ならびに事務処理手順および様式例の提示について」より抜粋
(1) LIFEへの情報提出頻度について
利用者等ごとに、アからウまでに定める月の翌月10日までに提出すること。
なお、情報を提出すべき月について情報の提出できない事実が生じた場合、直ちに訪問通所サービス通知第1の5の届出を提出しなければならない。
提出できない事実が生じた月のサービス提供分から、情報提出された月の前月までの間は、利用者全員について本加算を算定できないこと(例えば、4月の情報を5月10日までに提出できない場合は、直ちに届出の提出が必要であり、4月サービス提供分から算定ができないこととなる)
ア 本加算の算定を開始する月。サービス利用している利用者等(以下「既利用者等」)については、当該算定を開始しようとする月
イ 本加算の算定を開始しようとする月の翌月以降にサービスの利用を開始した利用者等(以下「新規利用者等」)については、当該サービスの利用を開始した日の属する月
ウ リスクに係る評価を行った日の属する月(評価は少なくとも3月に1回行うものとする。)
なお、情報を提出すべき月について情報の提出できない事実が生じた場合、直ちに訪問通所サービス通知第1の5の届出を提出しなければならない。
提出できない事実が生じた月のサービス提供分から、情報提出された月の前月までの間は、利用者全員について本加算を算定できないこと(例えば、4月の情報を5月10日までに提出できない場合は、直ちに届出の提出が必要であり、4月サービス提供分から算定ができないこととなる)
ア 本加算の算定を開始する月。サービス利用している利用者等(以下「既利用者等」)については、当該算定を開始しようとする月
イ 本加算の算定を開始しようとする月の翌月以降にサービスの利用を開始した利用者等(以下「新規利用者等」)については、当該サービスの利用を開始した日の属する月
ウ リスクに係る評価を行った日の属する月(評価は少なくとも3月に1回行うものとする。)
(2) LIFEへの提出情報について
ア 事業所・施設の利用者等全員について、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」にある▽評価日▽計画作成日▽褥瘡の有無▽危険因子の評価――の各項目に係る情報を、やむを得ない場合を除き、すべて提出すること。
イ 褥瘡がある利用者等は、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」にある「褥瘡の状態の評価」に係る情報も提出すること。
ウ 提出情報は、利用者等ごとに、以下の時点における情報とすること。
・(1)アに係る提出情報は、介護記録等に基づき、既利用者等ごとの利用開始時または施設入所時における評価の情報および当該算定開始時における情報
・(1)イに係る提出情報は、当該サービスの利用開始時における情報
・(1)ウに係る提出情報は、当該評価時における情報
イ 褥瘡がある利用者等は、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」にある「褥瘡の状態の評価」に係る情報も提出すること。
ウ 提出情報は、利用者等ごとに、以下の時点における情報とすること。
・(1)アに係る提出情報は、介護記録等に基づき、既利用者等ごとの利用開始時または施設入所時における評価の情報および当該算定開始時における情報
・(1)イに係る提出情報は、当該サービスの利用開始時における情報
・(1)ウに係る提出情報は、当該評価時における情報
(3)猶予期間の設定
2021度は、LIFEに対応した介護記録システム等を導入するために時間を要する等の事情のある事業所・施設については(1)の規定にかかわらず、2022年4月10日までに提出することを可能とする。猶予期間の適用を必要とする理由と提出予定時期等を盛り込んだ計画を策定することで、猶予措置の適用を受け、本加算を算定できる。
なお、猶予期間終了後、情報提出を行う場合は、(1)に規定する時点における情報の提出が必要。また、猶予期間の終了時期を待たず、可能な限り早期に(1)の規定に従い提出することが望ましい。
なお、提出すべき情報を猶予期間終了日までに提出していない場合は、算定した当該加算は、遡り過誤請求を行う。
なお、猶予期間終了後、情報提出を行う場合は、(1)に規定する時点における情報の提出が必要。また、猶予期間の終了時期を待たず、可能な限り早期に(1)の規定に従い提出することが望ましい。
なお、提出すべき情報を猶予期間終了日までに提出していない場合は、算定した当該加算は、遡り過誤請求を行う。
介護報酬改定Q&A
Vol.3(2021年3月26日)より抜粋
医師が参加できない場合の対応
問99
褥瘡マネジメント加算、褥瘡対策指導管理は、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者ごとに、医師、看護師、管理栄養士、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していることが要件となっているが、医師の事由等により参加できない場合は、当該医師の指示を受けた創傷管理関連の研修を修了した看護師や皮膚・排泄ケア認定看護師が参加することにして差し支えないか。
(答)
差し支えない。
入所後に褥瘡が発生した場合は、治癒後に再発がなければ(Ⅱ)を算定可能
問104
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)について、施設入所後に褥瘡が発生し、治癒後に再発がなければ、加算の算定は可能か。
(答)
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)は、施設入所時に褥瘡の発生するリスクがあった入所者について、褥瘡の発生がない場合に算定可能である。施設入所時に褥瘡の発生するリスクがあった入所者について、入所後に褥瘡が発生した場合はその期間褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)を算定できず、褥瘡の治癒後に再発がない場合は褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)を算定できる。
医師が参加できない場合の対応
問99
褥瘡マネジメント加算、褥瘡対策指導管理は、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者ごとに、医師、看護師、管理栄養士、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していることが要件となっているが、医師の事由等により参加できない場合は、当該医師の指示を受けた創傷管理関連の研修を修了した看護師や皮膚・排泄ケア認定看護師が参加することにして差し支えないか。
(答)
差し支えない。
入所後に褥瘡が発生した場合は、治癒後に再発がなければ(Ⅱ)を算定可能
問104
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)について、施設入所後に褥瘡が発生し、治癒後に再発がなければ、加算の算定は可能か。
(答)
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)は、施設入所時に褥瘡の発生するリスクがあった入所者について、褥瘡の発生がない場合に算定可能である。施設入所時に褥瘡の発生するリスクがあった入所者について、入所後に褥瘡が発生した場合はその期間褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)を算定できず、褥瘡の治癒後に再発がない場合は褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)を算定できる。