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介護慰労金 要件「10日以上勤務」「利用者との接触伴う職員」

介護慰労金 要件「10日以上勤務」「利用者との接触伴う職員」

厚生労働省は6月19日「緊急包括支援事業(介護分)」の実施要綱を都道府県宛に通知。介護慰労金は「10日以上勤務」「利用者との接触伴う」などを要件とするなど、具体的な内容を示した。

国保連通じ事業所に支給

 厚生労働省は6月19日、新型コロナウイルス感染症に対し、2次補正予算で総額4132億円の予算が組まれた「緊急包括支援事業(介護分)」の実施要綱を都道府県宛に通知した。すべての介護サービスを対象に、感染症対策を徹底した上で、介護サービスを提供するために必要なかかり増し経費の助成や、介護職員1人あたり20万円もしくは5万円の慰労金を支払う事業が目玉となっている。

 慰労金の対象者は期間中に「延べ10日間以上の勤務」かつ、「利用者との接触を伴う」職員とし、職種は問わない要件を示した。このほか、サービス利用休止中の利用者に対する働きかけや、「3密」を避けてサービス提供を行うために必要な環境整備の費用などについても支援していく。

 今回、通知された「緊急地域包括支援事業(介護分)」は、新型コロナウイルス感染症に対する、国の介護現場への支援策の第2弾。第1弾の1次補正予算「サービス継続支援事業」(前号で既報)では、おもに自治体から休業要請を受けた事業所や、感染者・濃厚接触者が出た事業所を支援する内容だったが、今回は感染症の有無やサービスの種別に関係なく、すべての介護サービス事業所や施設が対象となる。

 事業の内容は①感染症対策の徹底支援②介護職員に対する慰労金の支給③サービス再開に向けた支援④感染症防止の環境整備――など。都道府県が実施主体となり、準備の整った自治体から順に、申請を受け付ける。補助率は国が10分の10を負担する。

1 感染症対策支援事業

 4月1日以降に感染症対策を徹底した上で、サービス提供するために必要なかかり増し経費を支援していく。

 具体的には、▽感染症対策に要する物品購入▽外部専門家等による研修実施▽感染発生時対応・衛生用品保管などに使える多機能型簡易居室の設置▽増員に対する追加的人件費・職業紹介手数料▽自動車や自転車の購入・リース費用▽タブレット等のICT機器の購入・リース費用▽普段と異なる場所でサービスを実施する際の賃料・物品の使用料・交通費・利用者の送迎費用▽通所系サービスが訪問サービスを実施する場合の、訪問介護員への謝金▽医療機関や保健所とのクラスター発生時などの通信運搬費――などの経費を支援する。

 支援額の上限は、訪問・通所系サービスの場合、事業所単位となり、訪問介護が53万4000円、通所介護が通常型で89万2000円、居宅介護支援14万8000円、小規模多機能47万5000円、福祉用具貸与14万8000円など。

 一方、施設系サービスの場合は利用定員単位で、特養・老健が3万8000円、介護医療院が4万8000円、グループホームが3万6000円、ショートステイが4万4000円などとなっており、上限額に達するまで、助成が受けられる仕組み(表)。

2 介護職員に対する慰労金支給事業

 「緊急包括支援事業」の最大の目玉が、感染リスクにさらされながらも、強い使命感を持って業務に従事している介護職に対し、慰労金を支給する事業。

 慰労金の対象となるのは、①事業所や施設がある都道府県で、新型コロナウイルスの感染者の1例目が発生した日、または受け入れた日から6月30日までの間に「延べ10日以上勤務」した職員。(岩手県のように患者が発生しなかった都道府県では、緊急事態宣言が発出された日から6月30日までの間で計算)②「利用者との接触を伴い」かつ「継続して提供することが必要な業務」に合致する状況下で働いている職員(派遣労働者なども含む)――の2つともに該当するのが要件。

 支給額は新型コロナウイルス感染症が発生、または濃厚接触者である利用者に対応した事業所や施設に勤務し、利用者と接した職員の場合は20万円、それ以外の事業所や施設に勤務し、利用者と接した職員の場合は5万円となっている。

 慰労金の支給は1人につき、1回まで。国保連を通じ、事業所を経由して職員に配布される流れになる。

3 介護サービス再開に向けた支援事業

 4月1日以降、1カ月以上介護サービスの利用を休止している利用者に対し、サービス利用の再開に向け、ケアマネジャーと連携した上で、健康状態の確認や、利用者の要望を踏まえたサービス提供のための調整などを行った場合に、その手間を支援する。

 電話確認の場合は利用者1人あたり1500円、訪問による確認を行った場合は3000円を助成する。

4 感染症防止の環境整備

 4月1日以降、在宅サービス事業所が「3密」を避けてサービス提供を行うために必要な環境整備を行った場合について、20万円を上限に、そのかかり増し費用を支援していく。

 具体的には、▽長机▽飛沫防止パネル▽換気設備▽自転車▽タブレット等のICT機器――などの購入費が助成される。

都道府県 準備急ぐ

 慰労金の申請など、現在、各都道府県で補正予算化や事業実施に向けた準備が進められている。申請の開始時期は早い自治体で7月~8月となる見通し。

神奈川県:6月23日に県議会へ予算案を提出。介護・障害福祉分で209億円3902万円を計上。通常のペースで進めば県議会での成立は会期末(7月10日)なので、申請受け付けはそれ以降になる。

兵庫県:感染者・濃厚接触者に対応した以外の事業所・職員5万円の支給については、現在、対象者の案を検討中。

広島県:慰労金は67億円確保。7月より受付開始予定、早くて8月末から支給開始。申請件数は1万件以上となる見込み。申請期間は長めにとる予定。広島県はクラスターが発生し、すぐに対応する必要から1次を先行して実施する。

高知県:6月県議会での「慰労金」の要求額は約19億円、対象者は約4万人(障害分を含む)。予算の議会成立と県の交付要綱制定、国保中央会のシステム改修を待って、募集開始予定。有老ホームなど指定事業所でないところは、県から直接払い込む。対象期間は2月29日~6月30日。

熊本県:7月か8月の県議会で予算案を示す方針。1次補正のサービス継続支援事業に関しても、同じタイミングで示す予定。合わせて給付を受けられる形を考えている。

(シルバー産業新聞2020年7月10日号)

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