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国へ提言 ケアマネジメント所要時間 長崎ケアマネ協議会

国へ提言 ケアマネジメント所要時間 長崎ケアマネ協議会

 長崎県介護支援専門員連絡協議会(柴田英徳理事長)は、県内の施設や事業所に勤務するケアマネジャーに大規模なアンケート調査(761人回答)を実施。このほど調査書がまとまり、これを基に「平成24年4月からの介護報酬改定についての提言書」を作成し、厚生労働省や県選出国会議員、民主党の医療・介護ワーキングチームら関係各所に提出した。

時間を軸に業務実態を報告書に

 調査対象は県内でケアマネジャーが勤務する居宅介護支援事業所のほか、介護保険施設、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)、特定施設入居者生活介護の1028事業所。居宅632人、施設61人、GH32人、特定施設36人、計761人のケアマネジャーが回答した。

 これ以外にも「認定審査への対応」124分、「入院中の利用者の状況把握」99分、「介護報酬請求および給付管理業務」294分など、月あたり2627分(43時間47分)を費やしていた。

 担当件数は「20~36件未満」354人(59.8%)が多かった。予防プランの委託件数については、「8件未満」414人(70.2%)が多かったが、離島など地域事情もあり、委託を拒否する事業所もあることから「9件~20件未満」57人(9.7%)、「20~36件未満」11人(1.9%)、「36件~50件未満」1人(0.2%)など、一部のケアマネジャーに委託件数の負担がのしかかる現実が明らかになった。

「ケアプランチェック」事業へのケアマネ評価は上々

 ケアプランチェックについては、「受けていない」182人(54.3%)が最多だったが、「参考になった」121人(36.1%)、「どちらともいえない」7人(2.1%)、「参考にならなかった」25人(7.5%)となり、ケアプランチェックを受けたケアマネジャーからは、参考になったとする声が多かった。

 長崎県介護支援専門員連絡協議会副理事長の七種秀樹氏は「当初は県の実地指導で“短期目標は2つまで”といった様に、プロセスでなく書き方にまで干渉し、点数付けされることもあった。しかし県と改善の協議を進めるなかで、対話を重視したスタンスへの変化が見られた」など、その要因を分析した。

配置基準、兼務可能など施設ケアマネの業務負担

 施設ケアマネについては、新規1件にかかるプラン作成の時間は「インテーク」45分、「アセスメント」75分、「計画作成」75分、「原案説明」30分、「サービス担当者会議」45分で、全体で4時間30分を費やしていた。継続利用者は、「アセスメント」45分、「計画作成」45分「原案説明」30分、「サービス担当者会議」30分で、全体で2時間30分費やしていた。ただし、施設ケアマネの場合、100人あたり1人の配置基準となっており、兼務も可能となっているため、介護職員が不足している現場では、ケアマネジャーへの業務負担量が高いことがわかった。

 アンケートを基に、100人の利用者を担当した場合、施設ケアマネ1人の1カ月あたりの業務量は206時間33分と算出した。これを50人担当とした場合、136時間3分となった。

長崎県介護支援専門員連絡協議会副理事長の七種秀樹氏「地方の実態を国に届けたかった」

報酬単価の地域区分を5区分から7区分にする検討もあるが、この前提は都市部への対応。地方には地方の問題がある。長崎県のように地方都市では、一層の厳しい改定となる可能性もあり、看過できなかった。また、五島市のようにガソリン価格が全国的に極めて高い地域もあり、コスト面では厳しい。ほかにも“御用聴き”と批判されることも多いケアマネジャーだが、実際はプラン計画の説明に30~60分程度費やしていることからも、現場を知らない人の意見としか思えない。県協議会として、多くのケアマネジャーの声を集め、国に声を挙げた。

(シルバー産業新聞社2011年12月10日号)

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