インタビュー・座談会

「組織力強化し会員数倍増図る」 日本ケアマネ協会長 鷲見よしみ氏

「組織力強化し会員数倍増図る」 日本ケアマネ協会長 鷲見よしみ氏

 6月の会長選挙で接戦の末、最終的に抽選で新会長に選出された鷲見よしみ氏。国の審議会ポストの確保など組織内外に課題を抱える日本介護支援専門員協会(日本協会)。同氏は喫緊に取り組む課題として組織力強化を挙げる。新会長に抱負を聞いた。

 ――会長になられて協会として今、何を最優先に取り組もうとしておられますか。

 鷲見 組織力の強化であり、何より会員数の増強です。現任のケアマネジャーは13万5000人と推定されていますが、協会の会員数は2万6000人。それを約2倍、5万人程度まで引き上げることが最大のミッションです。

 ――具体的な方策はあるのですか。

 鷲見 例えば私の出身の山梨県では、日本協会が会費を値上げした時に900人から600人に減少しました。そのとき国をはじめ中央とのパイプ役である日本協会が必要であるかどうか真剣に議論しました。その結果、必要と判断したのです。良かったのはその議論に若い人たちが積極的に加わってくれたことです。

 会員が日本協会に何を期待しているのか。また日本協会の役割をどう理解してもらうかです。これまでも執行部は現場の意見に耳を傾けてきました。ただ執行部が決めたことを、それでよいのか会員にフィードバックする努力が欠けていたのかもしれません。同時に日本協会内部に若い人が積極的に活躍できるような場をつくっていきたいですね。

 ――給付費分科会に代表者を出せていません。

 鷲見 介護保険部会のポストはありますが、給付費分科会については代表を出せるように厚労省と折衝中です。時期については未定です。

 ――会長に立候補されたとき「質の高いケアマネジャーの実情を社会に伝えたい」と表明されました。

 鷲見 現場のケアマネジャーの多くはどうすれば高齢者が自立し、質の高い生活を過ごせるのか真剣に考え、日々活動しています。ケアマネジメントのプロとして月に1回利用者宅を訪問し、生活の相談に乗り適切なアドバイスをしている。制度が変わるたびに、何がどう変わったのか分かりやすくきちんと説明もしています。高齢者サイドでもケアマネジャーに頼り、生きる意味を見出している方は多いはずです。

 ケアマネジャーは現場で素晴らしい役割を果たしていると信じています。一方、世間の評価はそうではありません。「ケアマネジャーのあり方検討会」でも、ケアマネジャーは何かと批判されています。批判を甘んじて受ける部分はありますが、全体としては高齢者のために本当によく尽くしているのです。正しい技術を身につけ真正面から利用者さんに真摯な態度で臨んでいる。そのことをもっと介護業界や世間にアピールする必要があるということです。

 ――居宅介護支援の基本報酬に対してはどう臨まれますか。

 鷲見 1000単位、1300単位が妥当なのか、また介護度で区分すべきなのかなどテーマとしては重要であり、今後協議していきます。

 同時に35件、40件といった上限が決められていることに疑問を抱いています。患者数にせよ、ケアマネジャーの持件数にせよ、その数はその人が有する能力によって決まるはずです。能力があり処理速度が速く、長い時間働ける。そのように40件以上担当できる能力がある人に対してまで、制限を設けていることには納得がいきません。

 ――「あり方検討会」では資格取得後の研修の方法も議論されています。

 鷲見 新人に先輩が指導者として付き、OJTを行うことは非常に効果的だと思います。私が運営する事業所でもそのことを実施していますが、当該のケアマネジャーのみならず、広く全員で課題を検討するオープンな体制になりました。

 ただ居宅介護支援事業所は1~3人程度の小規模な事業所が多い。そこで地域支部全体の課題としてケアマネジャーを育てていく体制が求められるのではないでしょうか。組織率を高める上でも地域支部の存在と役割が非常に重要だと思います。


(シルバー産業新聞2013年8月10日号)

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