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サンスター「オーラルフレイル」啓発 セルフケア習慣化に

サンスター「オーラルフレイル」啓発 セルフケア習慣化に

 サンスター(大阪府高槻市、吉岡貴司代表取締役)は昨年11月、口と全身の健康増進を啓発する「サンスター・オーラルフレイルケア・プロジェクト」を立ち上げた。オーラルフレイルの周知と予防の実践へ、地域セミナーの開催やリスクチェックのツール等を開発。今秋には口腔ケアの新製品のリリースも予定している。

 オーラルフレイルは、主に老化が原因で噛む・飲み込む・話すといった口や歯の機能が虚弱化すること。
 特に食べる力の衰えは低栄養、さらには全身機能の低下を招くとされ、東京大学高齢社会総合研究機構によると、口の衰えがある高齢者は4年後の要介護リスクが2.4倍高くなるとの実態も示されている。
 国も今年度より、後期高齢者に対するフレイル健診を開始。噛みやすさやむせの有無など、口腔機能に関する質問項目も設けている。

認知度50%めざす

新規事業開発本部 梶山浩司郎プロジェクトマネージャー

新規事業開発本部 梶山浩司郎プロジェクトマネージャー

 サンスターが今年、50~79歳の約1000人へ実施した調査では、「オーラフレイルを知っている」と回答した人の割合は14.1%。2025年にはこれを50%に引上げることを同プロジェクトの目標に掲げている。同社新規事業開発本部の梶山浩司郎プロジェクトマネージャーは「40代から徐々に全身機能が衰える中、口も例外ではない。ただ、口の変化は頭痛や動悸などと比べると感度が高くない。この『気づき』を与え、セルフケアへ行動変容を促すことがプロジェクトの核となる」と強調する。
 梶山氏は口の機能を維持・向上する4つの視点として①歯を失わない(歯周病・う蝕ケア)②食べる力の維持・改善(機能的口腔ケア)③栄養④社会性(地域・人とのつながり)――を挙げる。なかでも②の食べる力への支援は同社としても新たな分野。「『自分の口でおいしく食べ続ける』価値を提供していきたい」。

セミナーで口の予防を習慣化

 同プロジェクトの活動の一つ「オーラルフレイル気づきプログラム」は地域住民向けのセミナー。オーラルフレイルの基礎教育とリスクチェック、予防の実践を体験する。1回60~90分、30~50人程度を対象に実施。歯間清掃具や口腔乾燥対策品などの選び方・使い方も学べる。
 ポイントは、最後に自宅でのセルフケアに関する目標を設定すること。歯科の定期健診を含めたケアの習慣化につなげるねらいだ。「『歯間ブラシを毎日使う』でもよい。継続することが重要。気づきプログラムは意識・行動変容のきっかけづくりとなる」と同氏は話す。
 また、セルフケアを継続サポートする役目として地域の多職種に期待。歯科医師・歯科衛生士だけでなく、薬局の薬剤師や管理栄養士、保健師など、本人との接点がある専門職へ協力を求めていく考えだ。薬局向けの勉強会などは既に取り組んでいる。

リスクチェック・訓練アプリも

 セルフケアをサポートする各種ツールも準備されている。「オーラルフレイルスクリーニング問診票」は「お茶や汁物でむせることがある」「さきいか・たくあんくらいの硬さの食べ物が噛める」など8つの質問に回答し、リスクを数値化する。同プロジェクトの特設サイト(https://jp.sustar.com/oral-frail/)でもチェックが可能。
 「毎日パタカラ体操」も「パ」「タ」「カ」を発音することでオーラルフレイルをチェックできるアプリ。毎日行えるトレーニングメニューも搭載している。
 メーカーの立場としては、オーラルフレイルの予防対策商品も順次リリースしていく予定。今秋には口腔乾燥対策商品のテスト販売を開始する。

(シルバー産業新聞2020年9月10日号)

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