インタビュー・座談会
外出自粛でフレイルどう防ぐ?
日本老年医学会(秋下雅弘理事長)は「『新型コロナウイルス感染症』高齢者として気を付けたいポイント」を公開した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、外出自粛が呼びかけられているが、高齢者にとっては、「動かないこと(生活不活発)」により、フレイル(虚弱)が進み、心身や脳の機能の低下に繋がる恐れがある。これを予防し、抵抗力を下げないようにするにはどうしたらよいか。資料を作成した同学会理事で東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授に聞いた。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、今は外出自粛を求められている状況で、かつ、終息の時期が見えず不安な日々を過ごされていると思う。
しかし、現在呼びかけられている外出自粛は、自宅の中での生活を変える必要があるわけではない。地域の集まりの場やデイサービスなど運動・外出する機会は減少していると思うが、自宅では普段通り過ごしつつ、少しでも運動する習慣を加えてもらいたい。
「動かないこと(生活不活発)」の状態になると、筋肉量が低下するサルコペニアのリスクが高くなる。さらに、地域の交流機会がなくなったり、孤食により摂取する栄養が偏ることでフレイル(虚弱)が進んでしまう。
2週間寝たきりで過ごすことにより失う筋肉量は、7年間に失われる量にも匹敵するといわれている。
しかし、現在呼びかけられている外出自粛は、自宅の中での生活を変える必要があるわけではない。地域の集まりの場やデイサービスなど運動・外出する機会は減少していると思うが、自宅では普段通り過ごしつつ、少しでも運動する習慣を加えてもらいたい。
「動かないこと(生活不活発)」の状態になると、筋肉量が低下するサルコペニアのリスクが高くなる。さらに、地域の交流機会がなくなったり、孤食により摂取する栄養が偏ることでフレイル(虚弱)が進んでしまう。
2週間寝たきりで過ごすことにより失う筋肉量は、7年間に失われる量にも匹敵するといわれている。
「太もも」 と 「関節」 の運動も重要
自立した生活を行うためには、下肢筋力の維持がとても重要だ。気軽にできる運動として、ウォーキングを行う人も多いと思う。
しかし、ウォーキングではふくらはぎへの負荷がメインで、自立に必要な太もものトレーニングとしては負荷が足りない。
太ももを鍛えるためには、坂道や階段を上るなど上下の運動が必要となる。転倒リスクの危険もあるので、不安がある人は机などにつかまりながらしゃがむ「スクワット運動」を取り入れてほしい。
このほか、高齢者は若年者に比べて関節が固まりやすいため、日ごろから関節を動かすことを意識してほしい。
例えば、股関節やひざ関節が固くなると、歩幅が小さくなる「ちょこちょこ歩き」になり、転倒リスクが高まる。
歩く際は、気持ち大股で歩くように心がけてほしい。ウォーキングが難しい人は、その場で大股になりしゃがむ「ラウンジ」という運動に取り組むとよい。
運動によるケガの危険がある場合は、介護やリハビリの専門職がサポートしながら、継続して運動できる環境を整えることが大切だ。
しかし、ウォーキングではふくらはぎへの負荷がメインで、自立に必要な太もものトレーニングとしては負荷が足りない。
太ももを鍛えるためには、坂道や階段を上るなど上下の運動が必要となる。転倒リスクの危険もあるので、不安がある人は机などにつかまりながらしゃがむ「スクワット運動」を取り入れてほしい。
このほか、高齢者は若年者に比べて関節が固まりやすいため、日ごろから関節を動かすことを意識してほしい。
例えば、股関節やひざ関節が固くなると、歩幅が小さくなる「ちょこちょこ歩き」になり、転倒リスクが高まる。
歩く際は、気持ち大股で歩くように心がけてほしい。ウォーキングが難しい人は、その場で大股になりしゃがむ「ラウンジ」という運動に取り組むとよい。
運動によるケガの危険がある場合は、介護やリハビリの専門職がサポートしながら、継続して運動できる環境を整えることが大切だ。
「多いかな」と思うくらいタンパク質を摂取すること
筋肉量を維持するためには、運動だけではなくタンパク質を摂取する必要がある。しかし、実際に食べた量よりも、摂取できるタンパク質はわずかで、200gのステーキを食べても35gのタンパク質しか摂取できない。
タンパク質が含まれる代表的な食べ物の▽肉▽納豆や豆腐などの大豆製品▽たまご――などを意識して多めに食べてほしい。
そして、家族や高齢者に関わる介護などの専門職の方には電話などで、積極的に食べるように声掛けをしてほしい。
中高年期はメタボリック症候群になりやすく、予防のために太らないことが重要だ。
しかし、高齢期になると、痩せていると死亡率が高くなることが、研究で分かっている。
加齢とともに、摂取できるタンパク質量が減少するので、70歳以降は痩せることよりも、きちんと食べて栄養を摂取することを心掛けてほしい。
タンパク質が含まれる代表的な食べ物の▽肉▽納豆や豆腐などの大豆製品▽たまご――などを意識して多めに食べてほしい。
そして、家族や高齢者に関わる介護などの専門職の方には電話などで、積極的に食べるように声掛けをしてほしい。
中高年期はメタボリック症候群になりやすく、予防のために太らないことが重要だ。
しかし、高齢期になると、痩せていると死亡率が高くなることが、研究で分かっている。
加齢とともに、摂取できるタンパク質量が減少するので、70歳以降は痩せることよりも、きちんと食べて栄養を摂取することを心掛けてほしい。
噛み応えがある食べ物や、会話で口を動かす
このほか、忘れがちなのが、口腔機能の維持だ。一人での食事が続くと、歯ごたえが少なく簡易的なメニューになり、あごを動かさないことによる、口腔機能低下の恐れがある。噛み応えのある食べ物を一品食事に追加することも重要だ。
また、しゃべらないことも口腔機能低下につながる。電話などでも構わないので、家族や友人と喋る機会を作って、口を動かすことを意識してほしい。
オーラルフレイルは▽噛み応えがあるものを食べるのが難しい▽汁物でむせる▽食べこぼしがある▽活舌が悪くなる――など口のささいな衰えなどの問題が積み重なることで起きる。
これらは舌の筋肉の衰えが要因となっており、この状態になると全身の筋肉量低下も考えられる。
現在、口腔機能に違和感がなくても、今のうちに鍛えておかないと数年後に衰えが来てしまう。
毎食後や寝る前に歯磨きをして、口腔内を清潔に保つことで、インフルエンザなどの感染症予防にもつながる。
「攻撃は最大の防御なり」ではないが、運動や食事、コミュニケーションに前向きに取り組んで、フレイルによる免疫力低下を予防することが大変重要だ。そして、フレイルの問題は、現在だけではなく、事態が終息した後も継続してほしい。
また、しゃべらないことも口腔機能低下につながる。電話などでも構わないので、家族や友人と喋る機会を作って、口を動かすことを意識してほしい。
オーラルフレイルは▽噛み応えがあるものを食べるのが難しい▽汁物でむせる▽食べこぼしがある▽活舌が悪くなる――など口のささいな衰えなどの問題が積み重なることで起きる。
これらは舌の筋肉の衰えが要因となっており、この状態になると全身の筋肉量低下も考えられる。
現在、口腔機能に違和感がなくても、今のうちに鍛えておかないと数年後に衰えが来てしまう。
毎食後や寝る前に歯磨きをして、口腔内を清潔に保つことで、インフルエンザなどの感染症予防にもつながる。
「攻撃は最大の防御なり」ではないが、運動や食事、コミュニケーションに前向きに取り組んで、フレイルによる免疫力低下を予防することが大変重要だ。そして、フレイルの問題は、現在だけではなく、事態が終息した後も継続してほしい。