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介護施設が地域の存続を担う サービス持続に欠かせないリフト活用

さゆり会(林田輝久理事長、長崎県五島市)は、1969年のへき地保育所の開設以来、半世紀以上にわたり五島市の児童、高齢者、障害者福祉を支えてきた。同法人が運営する特養「只狩荘」施設長で、五島圏域の人材育成確保に向けた協議会(以下「五島介護人材協」)会長の山田峰雄さんに聞いた。
介護保険制度の設立前、五島市と地域住民の要請を受け、デイサービス事業所を開設した。2006年に市から移譲を受け、特養「只狩荘」の運営を開始するなど、現在は高齢者福祉事業だけで35事業所を展開。地域のニーズに応え事業を拡大してきた。
高まる入所へのニーズ
当施設は当施設は計60床で待機者数は約50人。この10年間で、市でも民間の有料老人ホームが増加した時期があったが、経営難等で撤退するケースが相次ぎ、入所のニーズが再び高まっている。
事業継続の鍵は、福祉の考え方への理解と、職員の雇用管理および待遇の改善。賃金の上乗せは欠かせない。また、介護福祉士やケアマネジャーの資格取得など、キャリアアップへの支援にも力を入れている。
事業継続の鍵は、福祉の考え方への理解と、職員の雇用管理および待遇の改善。賃金の上乗せは欠かせない。また、介護福祉士やケアマネジャーの資格取得など、キャリアアップへの支援にも力を入れている。
地域雇用・社会を支える特養
五島列島には、定員30人の小規模特養が5カ所ある。今回の報酬改定では、一般の特養と単価を統一する議論がなされた。小規模特養は、現行の報酬でも赤字が続いており、陳情の結果、見送りとなり安堵している。
しかし将来的には、全施設の経営維持への見通しは厳しく、合併を含めた議論が必要になるかもしれない。介護施設は雇用の受け皿としての役割を担っており、地域の維持に不可欠だ。離島や過疎地域の施設の在り方を見直さなければ、地域の崩壊につながる可能性があることを国にも訴えていきたい。
しかし将来的には、全施設の経営維持への見通しは厳しく、合併を含めた議論が必要になるかもしれない。介護施設は雇用の受け皿としての役割を担っており、地域の維持に不可欠だ。離島や過疎地域の施設の在り方を見直さなければ、地域の崩壊につながる可能性があることを国にも訴えていきたい。
生活の場になれば人は辞めない
島の中で人材を取り合うのではなく、外部からの人材確保が重要だ。当施設では、市で初めて外国人職員を採用し、現在も8人が在籍する。特に、ベトナムから来た技能実習生は、特定技能を経て昨年、准看護師試験に合格した。人材確保には、採用だけでなく育成の視点も必要だ。
職員の定着には、働きやすい環境づくりが必要。子育てなどさまざまな課題を抱える職員への相談体制や、職員同士の円滑なコミュニケーションが重要となる。当施設では、勤務時間の調整を柔軟に行い、家族の世話などの際にも有給休暇を取得できるよう配慮している。
給与は決して高くはないが、市内の一般企業と比較すれば良い水準にある。近隣地域においても、収入面が魅力の一つとなっているのではないか。
また、五島介護人材協では長崎市や県外の学生を対象に、1泊2日の職場体験ツアーを実施。学生が最も関心を持つのは、就職後の生活であり、実際の環境を見なければ、就職にはつながらない。このツアーには県の予算で10~20人ほどが参加し、今年も5~6人が移住するなど、成果を上げている。
職員の定着には、働きやすい環境づくりが必要。子育てなどさまざまな課題を抱える職員への相談体制や、職員同士の円滑なコミュニケーションが重要となる。当施設では、勤務時間の調整を柔軟に行い、家族の世話などの際にも有給休暇を取得できるよう配慮している。
給与は決して高くはないが、市内の一般企業と比較すれば良い水準にある。近隣地域においても、収入面が魅力の一つとなっているのではないか。
また、五島介護人材協では長崎市や県外の学生を対象に、1泊2日の職場体験ツアーを実施。学生が最も関心を持つのは、就職後の生活であり、実際の環境を見なければ、就職にはつながらない。このツアーには県の予算で10~20人ほどが参加し、今年も5~6人が移住するなど、成果を上げている。
人手確保にリフトは必須
五島介護人材協では、市の協力のもと、島全体でノーリフティングケアを推進している。当施設でも、床走行リフト8台、スタンディングリフト4台を導入し活用している。
また、ナチュラルハートフルケアネットワーク・下元佳子代表の指導のもと、研修会やフォーラムを開催し、特養や老健でのリフト活用が進む。今後は、グループホームなどの小規模施設やデイサービスといった在宅事業所への普及を目指している。
高齢化が進み、腰や膝の痛みを抱える職員が増える中、人材不足の解決策として、今いる人に長く働き続けてもらうことが不可欠だ。
当施設のアンケートでは、リフト活用による身体的・精神的負担の軽減が明らかになった。人材不足の対策としてICT機器の活用は欠かせないが、直接介護に携わる人手を減らせるかは別の問題だ。まずは、ノーリフティングケアに取り組まなければならない。
また、ナチュラルハートフルケアネットワーク・下元佳子代表の指導のもと、研修会やフォーラムを開催し、特養や老健でのリフト活用が進む。今後は、グループホームなどの小規模施設やデイサービスといった在宅事業所への普及を目指している。
高齢化が進み、腰や膝の痛みを抱える職員が増える中、人材不足の解決策として、今いる人に長く働き続けてもらうことが不可欠だ。
当施設のアンケートでは、リフト活用による身体的・精神的負担の軽減が明らかになった。人材不足の対策としてICT機器の活用は欠かせないが、直接介護に携わる人手を減らせるかは別の問題だ。まずは、ノーリフティングケアに取り組まなければならない。

(シルバー産業新聞2025年2月10日号)