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訪問看護 大規模化・リハ職の訪問など論点

訪問看護 大規模化・リハ職の訪問など論点

7月5日に介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶應義塾大学名誉教授)が開催され、訪問看護の議論が行われた。厚生労働省は論点として▽緊急時や看取りの対応等、適切な訪問看護の在り方。訪問看護ステーションの大規模化と安定した提供体制について▽理学療法士等(以下リハ職)による訪問看護と、連携のあり方について▽訪問看護とその他介護保険サービスとの連携の在り方――の3つを挙げた。

 大規模化の議論では、24時間体制を評価する「緊急時訪問看護加算」の届出状況は3人未満の訪問看護ステーションの場合80%、7人以上の場合95%。また、重度な医療的ケア対応を評価する「特別管理加算」についても3人未満の場合84%で、7人以上の場合94%と規模の大きいステーションほど届出をしている割合が高いデータが示された。

 これに対し、日本看護協会の齋藤訓子副会長は「24時間365日、看取り・重症化予防の対応ができる機能の高い事業所については、評価して欲しい」と要望。また、「安定供給のためには、大規模化と業務効率化の推進が必要。特に小規模事業所では、訪問看護師が書類作成業務を担っていることも多く、ケアに専念できない」と指摘。「書類作成などを行う事務員の配置や、ICTを活用した業務効率化を推進して欲しい」と提案した。

 リハ職による訪問看護の議論では、訪問看護師とリハ職の連携が論点として示された。

 これに対し、齋藤氏は「本来は、看護師と連携したリハビリが期待されているため、連携不足について見直しが必要。看護師とリハ職が連携して計画を作り、月1回は看護師も同行訪問することを運営基準に組み込んではどうか」と提案した。

 現在、リハ職から訪問看護を受ける利用者は全体の約22%で、要支援者ほどその割合が高くなっている。「看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させる」という位置付けになっている。しかし、リハ職のみが訪問している利用者について、看護師とリハ職が「全く連絡していない」と答えた事業所が2~3.9%、訪問看護師とリハビリ方針を共有していない割合は5.2%と、わずかではあるが連携がなされていないデータが示 この他、訪問看護とその他介護サービス事業所との連携についてはICTを活用した連携への意見が集まった。

 一方で、産業医科大学の松田晋哉教授は電子カルテ導入を例に挙げ、「電子カルテ導入時はメーカーによって仕様が異なる等連携が大変だった。介護分野でICTを活用する場合は、何を共有するのかプロセスをきちんと示した上でICT化する必要がある」と指摘した。

シルバー産業新聞2017年8月10日号

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