インタビュー・座談会
認知症の人と家族の会 「本人」 と「支える人」を我が事に
この数年間の動きは非常に目まぐるしいものがあった。
一つは認知症施策推進大綱ができ、2014年10月に「日本認知症ワーキンググループ」ができたこと。認知症の人が積極的に情報発信するようになったことは、認知症ケアで求められる「パーソン・センタード・ケア」そのもので、認知症の人が人として尊重され、個性やその人らしさを発信できる社会が実現しつつあるということだ。
今後は、「認知症の人を支える人」の支援についても充実させてほしい。「認知症は2人の患者を作る」と言われるほど、本人だけでなく、家族など介助する人も疲弊する。認知症ケアは周囲の人も含めて、社会が支えていく必要がある。
安倍首相が「介護離職ゼロ」を掲げて取り組んできたが、進展がない。認知症ケアについても、介護者への支援を強化することで、仕事を続けながら介護が可能になる。そこでは当会の役割がますます重要になってくる。
もう一つは、認知症基本法が国会審議されていること。認知症施策推進大綱で、認知症施策は政府として省庁横断的に取り組むこととされたが、そのためにも基本法の成立は重要だ。
一時は成立も間近とされたが、コロナ禍で停滞し、現在は超党派の議員を中心に検討が進められている。
認知症基本法の早期成立を願う立場だが「認知症の人と家族の基本的人権を謳うべき」「自治体の努力義務ではなく、責任にできないか」など当会でも、様々な意見がある。検討できる時間が与えられたと捉えて、慎重に進めていただきたい。
認知症薬の開発が進んだことも大きい。エーザイとバイオジェンの治療薬「アデュカヌマブ」が米国で承認され、日本でも承認に向けて検討が行われている。国内でも、年内に何らかの動きがあるではないかと、注意深く今後の動向を注視している。
また、9月28日には同社の治療薬候補「レカネマブ」も米食品医薬品局(FDA)に段階的申請することが発表されるなど治療の可能性が出てきたことは、一筋の光明だと感じている。
コロナ禍も当会に大きな変化をもたらした。
当会の特長の一つは、支える人を支える団体として、同じ立場の者どうしが各支部主催の「つどい」に参加することで、悩み事の相談やケアのアイデアの共有などができること。
それがコロナ禍の3密の回避の中で、難しくなった。対面して同じ認知症の人を支える立場だからこそ、なかなか話しづらいことも話せ、介助者としての経験が長い会員から「自分もそうだったが、~すればうまく行った」など、実体験に基づいたアドバイスがもらえることが良さだった。
そうした状況下でもオンライン開催をするなど、継続のための工夫が進んだ。オンラインが使いこなせない人もいるので対面も感染対策を講じて継続するが、間違いなくオンラインは環境を変化させた。
シングル介護の会員を中心に、これまで対面式の「つどい」に参加できない会員どうしで、22時半からオンラインで開催するなど、これまでは考えられない取り組みができるようになった。
また、都道府県支部間でオンラインの拡大版の集いを開催するような広がりを見せるようになっている。
21年3月より、厚生労働省や関係団体、各位の協力を戴きながら国内外にむけて認知症に関する情報を発信する「国際交流プラットフォーム」(https://dementia-platform.jp/ja/)をプレオープンすることができた。
「日本の認知症に関する情報」「海外の認知症に関する情報」「認知症にかかわる様々な人が、自由に情報を発信する」を国際的に進めることを目指して、日本語・英語で発信することとしている。
当会の役割が重要になるこれからのため、社会に向けた発信力を高めるためにも、活動の趣旨や意義に賛同いただける会員を増やしていきたいと考えている。
(シルバー産業新聞2021年10月10日号)
安倍首相が「介護離職ゼロ」を掲げて取り組んできたが、進展がない。認知症ケアについても、介護者への支援を強化することで、仕事を続けながら介護が可能になる。そこでは当会の役割がますます重要になってくる。
もう一つは、認知症基本法が国会審議されていること。認知症施策推進大綱で、認知症施策は政府として省庁横断的に取り組むこととされたが、そのためにも基本法の成立は重要だ。
一時は成立も間近とされたが、コロナ禍で停滞し、現在は超党派の議員を中心に検討が進められている。
認知症基本法の早期成立を願う立場だが「認知症の人と家族の基本的人権を謳うべき」「自治体の努力義務ではなく、責任にできないか」など当会でも、様々な意見がある。検討できる時間が与えられたと捉えて、慎重に進めていただきたい。
認知症薬の開発が進んだことも大きい。エーザイとバイオジェンの治療薬「アデュカヌマブ」が米国で承認され、日本でも承認に向けて検討が行われている。国内でも、年内に何らかの動きがあるではないかと、注意深く今後の動向を注視している。
また、9月28日には同社の治療薬候補「レカネマブ」も米食品医薬品局(FDA)に段階的申請することが発表されるなど治療の可能性が出てきたことは、一筋の光明だと感じている。
コロナ禍も当会に大きな変化をもたらした。
当会の特長の一つは、支える人を支える団体として、同じ立場の者どうしが各支部主催の「つどい」に参加することで、悩み事の相談やケアのアイデアの共有などができること。
それがコロナ禍の3密の回避の中で、難しくなった。対面して同じ認知症の人を支える立場だからこそ、なかなか話しづらいことも話せ、介助者としての経験が長い会員から「自分もそうだったが、~すればうまく行った」など、実体験に基づいたアドバイスがもらえることが良さだった。
そうした状況下でもオンライン開催をするなど、継続のための工夫が進んだ。オンラインが使いこなせない人もいるので対面も感染対策を講じて継続するが、間違いなくオンラインは環境を変化させた。
シングル介護の会員を中心に、これまで対面式の「つどい」に参加できない会員どうしで、22時半からオンラインで開催するなど、これまでは考えられない取り組みができるようになった。
また、都道府県支部間でオンラインの拡大版の集いを開催するような広がりを見せるようになっている。
21年3月より、厚生労働省や関係団体、各位の協力を戴きながら国内外にむけて認知症に関する情報を発信する「国際交流プラットフォーム」(https://dementia-platform.jp/ja/)をプレオープンすることができた。
「日本の認知症に関する情報」「海外の認知症に関する情報」「認知症にかかわる様々な人が、自由に情報を発信する」を国際的に進めることを目指して、日本語・英語で発信することとしている。
当会の役割が重要になるこれからのため、社会に向けた発信力を高めるためにも、活動の趣旨や意義に賛同いただける会員を増やしていきたいと考えている。
(シルバー産業新聞2021年10月10日号)