インタビュー・座談会
ユニ・チャーム 高生産性へ「トイレ排泄×リフト活用」提案
ユニ・チャーム(東京都港区、高原豪久社長)は昨年、「ライフリースーパーエボリューション」のもと、大人向け排泄ケア用品「ライフリー」シリーズの8割をリニューアル・強化した。今年は「ライフリーケアエボリューション」を掲げ、利用者のQOLに加え職員の負担を緩和させる排泄ケアの提案に注力する。リフト等の福祉用具の活用も盛り込み、施設全体の生産性向上、人材定着を支援する。上席執行役員・木内悟氏に展望を聞いた。
腰痛を予防するおむつ交換
昨年、過去最大の商品改良と新製品を追加した「ライフリー」の評判は上々、今年に入り2桁を超える成長率となり、新規顧客は例年の3倍の勢いとなっている。
顧客増でより責任も高まる今年は、介護職の離職による人手不足という業界全体の課題に取組む。介護職の腰痛予防や排泄ケアの生産性向上を強化する。第一ステップとして、おむつ交換マニュアルを全改訂。介護職の腰痛リスク抑制を考慮した内容とした。現在、同マニュアルを活用した勉強会を全国の顧客施設・病院向けに実施している。
この時期、施設からは新入職員向けのおむつ交換勉強会の依頼をいただく機会が多い。しかし、介護職の腰痛リスクを減らすには、ベテランの介護職員も含め施設全体で排泄ケアのやり方を変えて頂かなくてはならない。施設長や看護・介護の責任者の皆様に、施設の方針として、介護者を守るための腰痛予防に舵を切って頂くアプローチに注力していく。
ただし、介護の生産性向上には利用者QOLが大前提。歩ける・立てる・座れる方でも、紙おむつでの排便が当たり前になっている実態がまだまだ多いが、リハビリパンツなど用具を上手く使い、移乗・移動環境を整えれば、多くの場合、トイレでの排便が続けられると考えている。トイレ排便は利用者のADL向上につながり、食事摂取量も改善し、健康増進に影響する。結果、介護職員のモチベーションとなり、負担も軽減する。これらのノウハウ・付加価値を、実際に成功されている施設の事例を交え、お伝えしていく。
顧客増でより責任も高まる今年は、介護職の離職による人手不足という業界全体の課題に取組む。介護職の腰痛予防や排泄ケアの生産性向上を強化する。第一ステップとして、おむつ交換マニュアルを全改訂。介護職の腰痛リスク抑制を考慮した内容とした。現在、同マニュアルを活用した勉強会を全国の顧客施設・病院向けに実施している。
この時期、施設からは新入職員向けのおむつ交換勉強会の依頼をいただく機会が多い。しかし、介護職の腰痛リスクを減らすには、ベテランの介護職員も含め施設全体で排泄ケアのやり方を変えて頂かなくてはならない。施設長や看護・介護の責任者の皆様に、施設の方針として、介護者を守るための腰痛予防に舵を切って頂くアプローチに注力していく。
ただし、介護の生産性向上には利用者QOLが大前提。歩ける・立てる・座れる方でも、紙おむつでの排便が当たり前になっている実態がまだまだ多いが、リハビリパンツなど用具を上手く使い、移乗・移動環境を整えれば、多くの場合、トイレでの排便が続けられると考えている。トイレ排便は利用者のADL向上につながり、食事摂取量も改善し、健康増進に影響する。結果、介護職員のモチベーションとなり、負担も軽減する。これらのノウハウ・付加価値を、実際に成功されている施設の事例を交え、お伝えしていく。
リフト活用のメリット 費用対効果も
二ステップでは、介護負荷軽減に、より深く踏み込むべく、海外先進国で広く普及しているリフト等を活用した「持ち上げない・抱え上げない介護」を日本に普及させていきたいと考えている。まずは、排泄ケアの動線に絞り、負担の少ない介助方法を提案。リフトメーカーとの協働も視野に入れている。
現場でヒアリングすると、リフトを活用しない理由で多く挙がるのが「手間が掛かる。使用方法が難しく、安全性が心配」「ご利用者が怖がる。人が支えるほうが安心」。一方、上手く使用している施設は「リフトがないと現場が回らない」「技量による格差が少なく新人でも使える」「利用者のメリットが大きく、事故リスクが減る」と答える。このギャップは一体何か。抵抗を持つ方の声をしっかり聞き、実情に沿って利用者と介護者、双方の価値を高める排泄ケアの進化を追及する。
また、機器導入には、相当の費用投資が必要。厳しい経営環境の施設が悩まれるのは当然だろう。行政の補助金支援にも期待するが、先進的な施設にご協力いただき、介護機器の投資対効果が成り立つエビデンスを集め、その発信も行う。
日本の介護は今後、一定の割合を外国人職員に支えてもらう必要がある。若くして日本に来て、日本の高齢者を抱え上げる介護で、外国人職員に、腰痛を発症させるわけにいかないと思う。世界標準の人を抱え上げない介護の普及は急務と考える。(談)
(シルバー産業新聞2024年4月10日号)
現場でヒアリングすると、リフトを活用しない理由で多く挙がるのが「手間が掛かる。使用方法が難しく、安全性が心配」「ご利用者が怖がる。人が支えるほうが安心」。一方、上手く使用している施設は「リフトがないと現場が回らない」「技量による格差が少なく新人でも使える」「利用者のメリットが大きく、事故リスクが減る」と答える。このギャップは一体何か。抵抗を持つ方の声をしっかり聞き、実情に沿って利用者と介護者、双方の価値を高める排泄ケアの進化を追及する。
また、機器導入には、相当の費用投資が必要。厳しい経営環境の施設が悩まれるのは当然だろう。行政の補助金支援にも期待するが、先進的な施設にご協力いただき、介護機器の投資対効果が成り立つエビデンスを集め、その発信も行う。
日本の介護は今後、一定の割合を外国人職員に支えてもらう必要がある。若くして日本に来て、日本の高齢者を抱え上げる介護で、外国人職員に、腰痛を発症させるわけにいかないと思う。世界標準の人を抱え上げない介護の普及は急務と考える。(談)
(シルバー産業新聞2024年4月10日号)