インタビュー・座談会

認知症になったらだれでも“入居できる”グループホームを!

認知症になったらだれでも“入居できる”グループホームを!

ポイント
①協力医療機関との連携強化へ行政の関与を
②チームケア推進加算算定率向上には研修受講負担軽減が必要
③低所得者が利用しやすい居住費の支援を

 6月の介護報酬臨時改定は、介護職員だけでなく、介護従事者も幅広く賃上げの対象とした点は評価できるが、全産業平均と介護職員を比較すると、依然として8.2万円の賃金格差がある。次期改定に向けて関連団体で一丸となり、基本報酬の引上げを強く求めていく。

 認知症グループホーム(GH)の収支差率は2025年度経営概況調査で4.9%と、全サービス平均の4.7%をやや上回る。しかし、GHは1ユニット9人と小規模な事業形態で、実際の利益は月6万円程度に過ぎない。前回改定のあった24年から物価や人件費をめぐる環境は大きく変わっており、同じ水準で事業を続けていくことは難しい。地域に根差した小規模なGHでも安定して運営できるよう、実態に即した経営支援策を講じてほしい。

研修受講の負担軽減が必須

 24年度改定では、相談対応や診療を常時行う体制を確保した協力医療機関との連携を定めることが努力義務とされた。あわせて新設された「協力医療機関連携加算」の算定状況をみると、25年8月時点で算定していない事業所が52.2%を占める。

 算定が進まない要因の一つに、医療機関側の状況もある。診療・受入体制の確保など、GHからの要望に応えるのが難しい医療機関も多い。認知症に対応できる医療機関となれば、なおのこと限定されるだろう。民間どうしの努力では解決できない課題に対しては、行政の介入が必要不可欠だ。

 また、同改定では「認知症チームケア推進加算」が新設され、加算(Ⅰ)は認知症介護指導者養成研修(加算(Ⅱ)は認知症介護実践リーダー研修)および認知症チームケア推進研修を修了した職員を1人以上配置することなどが要件に定められた。

 GHの算定率は加算(Ⅰ)1.0%、加算(Ⅱ)6.0%と低く、要因として研修受講の負担が挙げられる。指導者養成研修は9週間を要し、うち15日間は仙台(宮城県)・東京・大府(愛知県)のいずれかで集合研修。小規模で人員の少ないGHから職員を長期間離脱させることは容易ではない。01年に開始した同研修の修了者は3135人にとどまる。

 加算(Ⅱ)の実践リーダー研修も自治体により実施回数や規模が異なり、受講機会の確保が課題だ。事業所からは「時間やコストをかけて修了しても、得られる報酬に見合わない」という声も聞かれる。誰もが受講しやすく、事業所が送り出しやすい受講体制の整備と、研修修了者への適切な評価を求める。

地域連携に評価を

 24年に施行された認知症基本法は、認知症の人が「尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができる」社会の実現を、目的・基本理念として位置づけた。

 現在、GHは全国に約1万4000カ所あり、地域住民にとって最も身近な介護・認知症の相談先になる。ほとんどの事業所が、オレンジカフェやサロンなど、日頃から交流の場として開かれている。認知症基本法の理念を体現する実践として、こうした取組みにも適切な評価が必要だ。

 肝としては、低所得者の食費・居住費を支援する補足給付は現行、施設系サービスのみが対象となっている。国が示す「認知症対応型共同生活介護事業所の家賃等助成事業」を実施している自治体はわずか7.1%にとどまる。経済的理由により、GHの入居を断念せざるを得ない現状は公平性を欠く。本人が望んだ住まい・サービスを選択できるよう、助成の拡充や実効性のある低所得者対策を求めていく。
(シルバー産業新聞2026年7月10日号)

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