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改正介護保険法成立 中山間・人口減少地域に「特定地域」創設

改正介護保険法成立 中山間・人口減少地域に「特定地域」創設

 介護保険法を含む「社会福祉法等の一部を改正する法律案」が6月19日、参議院本会議で可決・成立した。改正法の目玉は、中山間地域や人口減少地域を対象に、人員基準や介護報酬を弾力化できる「特定地域」を創設すること。担い手不足や利用者減少で介護サービスの維持が困難な地域に対応していくための施策だが、基準緩和が質の低下や地域格差につながることを懸念する声もある。来年4月1日施行に向け、対象地域や緩和内容、報酬設計の具体化が今後の焦点となる。

 中山間地域や人口減少地域では、利用者宅の移動距離が長く、利用者数も限られるため、全国一律の基準や出来高払い中心の介護報酬では事業継続が難しい。また、介護職員の確保も困難で、人員基準を満たす介護職員の確保が事業所の大きな負担となっている。こうした地域の介護サービスを維持していくための仕組みとして、介護保険制度に「特定地域」という考え方を追加する。

 対象となる市町村では、事業所や施設の人員配置について、一定の弾力化を可能にする。また、介護報酬についても現行の出来高払いだけでなく、月単位の定額報酬も選択できるようにする。利用者数や訪問回数の変動に左右されにくい仕組みにすることで、事業者の経営の安定性を高め、サービス撤退や空白地帯の拡大を防ぐ狙いがある。

 あわせて、対象地域では、市町村が事業として居宅介護サービスを柔軟に実施できる「特定地域居宅サービス等事業」も創設。民間事業者だけでは介護サービスの提供を維持できないような地域で、自治体が一定の役割を担い、在宅の介護基盤を確保していく。

 こうした制度の創設を懸念する意見もある。人員基準の緩和は、事業継続に資する半面、利用者や家族から見れば「少ない職員で安全と質を確保できるのか」との不安につながる。また、市町村事業として実施されるサービスが広がれば、自治体の財政力や運営体制によって、受けられるサービスに差が生じる可能性もある。国会審議では、附帯決議が採択され、中山間・人口減少地域の対象基準を国が可能な限り具体的かつ明確に示すことや、適用がなし崩し的に拡大しないよう運用することを政府に求めている。あわせて、指定状況、サービス提供状況、質の評価結果について国が検証・公表することや、制度運用に当たってサービスの質と職員負担への影響を十分検証することも盛り込まれた。

 今後は、社会保障審議会において、「特定地域」の範囲の考え方や、緩和内容、報酬設計などの検討が行われ、来年4月1日からの施行を目指す。

厚労省「特定地域」案提示 356市町村、全体の2割

 厚生労働省は6月29日の社会保障審議会介護保険部会で、改正介護保険法により創設された「特定地域」の対象地域の考え方を示した。

 対象地域については、まず、①特別地域加算や離島等相当サービスの対象地域を国の基準に含める案を示した。加えて、上記に該当しない地域では、②「75歳以上人口密度が1平方キロメートル当たり5人未満」、または「75歳以上人口が1000人未満で、かつ減少している地域」を基準とする案を示した。

 この基準案に該当する市町村は356市町村で、全市町村のおよそ2割を占める。内訳は、特別地域加算の対象で全域指定されている299市町村に加え、75歳以上人口密度5人未満で新たに該当する40市町村、75歳以上人口1000人未満かつ減少で新たに該当する17町村となる。

 さらに、市町村単位の基準に該当しない場合でも、旧市町村単位、行政区単位、日常生活圏域単位など、市町村内の一部地域で、②の条件を満たす場合も指定できる案も示した。このほか、特定のサービス類型の事業所が存在しない、または事業所が僅少で廃止が見込まれるなど、現にサービス基盤の維持が困難な地域についても、指定対象とする考えも示している。
(シルバー産業新聞2026年7月10日号)

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