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外国人人材を活用する 【介護従事者 1】

外国人人材を活用する 【介護従事者 1】

 人材不足の中、質の向上も求められる介護職。国はこの課題解決のため、介護職員の賃金アップに取り組んでいます。このページでは、外国人人材の活用事例を紹介します。

職員主体の業務改善で雇用安定はかる

 経済連携協定(EPA)に基づく外国人の介護福祉士候補者受け入れ制度は、介護人材不足の解消策として期待される一方で、受け入れ事業者側の適切な教育管理体制が求められる。
 特別養護老人ホーム「ケアポート板橋」(東京都板橋区、不二健育会運営)は同制度開始の2008年より教育体制を構築し、候補者の受け入れを続けてきた。独自の業務改善策を積極採用し、候補者の育成だけでなく既存職員の定着化にも好影響を与えている。

「ホームシックは重要な問題」

 ケアポート板橋を運営する不二健育会は介護人材の安定化と国際交流の重要性を提言しており、同制度がはじまる以前には都内日本語学校の留学生向けインターンシップなどを実施してきた。
 16年10月現在、外国人介護人材は5人。人事企画室が現場職員の中から選任した現場担当・教育担当がそれぞれ管理を行う。
 また、EPA 管理者は住まいや生活面での問題に取り組む。「外国人就業者にとってホームシックは重要な問題」と同施設長の小清水一雄さんは話す。有給休暇を取得する1 年~ 1年半後のタイミングで帰国の機会を与えるなど、メンタル面にも配慮している。
 さらに、現場では候補者自身の強みを生かした業務改善を導入。「得意分野はストレスにならない」と小清水さんが話すように、得意のバリ舞踊を利用者へ披露する候補者や、英語教員の経験を生かし近くの保育園でボランティア学習を行う候補者など、施設に新たな付加価値をもたらしている。小清水さんは候補者について「介護に対する意識が高く、コミュニケーション能力も長けている。何より雰囲気が明るい」と評価。現場のチームワーク活性化につながっていると述べる。

育休復帰率ほぼ100%

 EPA介護福祉士の受け入れ体制と並行して、日本人も含めた施設全体の業務改善や人事制度の見直しに着手し、職員の意識改革をはかった。
 11年よりはじめた「月間MVP」は、受賞テーマを毎月設定し職員間投票を行う制度。「縁の下の力持ちで賞」や「介護ソフト使いこなしているで賞」などバラエティにあふれ、受賞者のネームプレートには星が1つ付与される。
 また「名案プログラム」は業務改善内容と方法を自由投稿する取組み。採用案は施設の掲示板に常時貼り出し、全職員が共有できるようになっている。
 「職員が主体的にケアの現場をつくる意識が芽生え、競争原理がはたらいてきた」と小清水施設長は効果を語る。8~9年前は24%だった離職率が現在は11%にまで改善し職員の定着化にも寄与。育休復帰率もほぼ100%を維持している。

 写真:11年度から就労し介護福祉士になったリィゼ ルさん(左)

(介護の日しんぶん2016年11月11日)


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