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技能実習から新制度へ 制度趣旨に「人材確保」を追加、転籍制限緩和も

技能実習から新制度へ 制度趣旨に「人材確保」を追加、転籍制限緩和も

 政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(座長=田中 明彦・国際協力機構理事長)は4月10日、技能実習制度を廃止し、新制度の創設を検討する方針を示した。新制度では、実態に即して「人材確保」も目的に加え、原則不可とされている就労先の転籍(転職)の制限も緩和する考えだ。同会議で、今秋をめどに最終報告をまとめる。

 今年6月時点で、国内の技能実習生の数はおよそ32万7000人(うち、介護は1万5000人)。制度上では「人材育成を通じた国際貢献」を目的に掲げ、労働力確保の実態とかい離しているとの指摘がされてきた。これを受けて、今後検討される新制度では、人材育成とともに人材確保を目的として明確に位置付ける。

 そのほか、同会議の中間報告のたたき台では、▽新制度から特定技能へ円滑に移行できるよう、対象職種や分野を一致させる▽国内の人手不足状況に的確に対応するため、受け入れ見込み数の設定などはプロセスの透明化を図る▽管理団体の管理・保護・支援に関する要件の厳格化――などを方向性としてすでに打ち出している。

 就労先の転籍・転職制限も緩和する方針だ。人材育成を目的に掲げた技能実習制度では、実習計画に従い、一つの雇用主の下で労働することを条件としていたが、雇用主が無理をいっても実習生は従わざるを得ず、人権侵害などが発生する背景とも指摘されていた。一方で、無条件で転籍が自由に認められると、安定した人材確保が難しくなったり、賃金の高い都市部に人材が集中したりするといった懸念もある。中間報告では、「人材育成のための転籍制限は残しつつ、人材確保の制度趣旨や外国人の保護の観点から、従来よりも緩和する方向で検討すべき」とし、▽受け入れ企業での人材育成に要する時間▽受け入れ企業が負担する来日時のコスト▽産業分野や地方での安定的な人材確保▽労働法制――などを踏まえて、引き続き検討される。
中間報告書たたき台(概要)より「検討の基本的な考え方」

中間報告書たたき台(概要)より「検討の基本的な考え方」

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