コラム

排尿予測でトイレも安心 進化する福祉用具(4)

排尿予測でトイレも安心 進化する福祉用具(4)

 加齢によりトイレが近くなり、認知機能が低下したことにより、尿意が適切に伝えられないことがある。そこで、トイレの不安を少しでも解消する商品として、排尿を予測して通知する機器が登場した。

 機能性・デザイン性の両面で進化する福祉用具の一部を紹介する。

  (1)「装着型」スーツで移乗支援(リンク先)
  (2)見守りを助けるセンサー技術(リンク先)
  (3)「魅せる」屋外移乗機器(本ページ)
  ■(4)排尿予測でトイレも安心(リンク先)

 加齢によりトイレが近くなり、認知機能が低下したことにより、尿意が適切に伝えられないことがある。そこで、トイレの不安を少しでも解消する商品として、排尿を予測して通知する機器が登場した。

 膀胱内にたまった尿量を測定して、適切な排尿タイミングを知らせてくれる。自分でトイレに行くことができるほか、介助者が適切なタイミングで声を掛けられるため失禁のリスクを軽減する。

 三重県松阪市の「デイサービスセンターフローラ」では、利用者が自分自身でトイレに行けるよう、排尿を予測する機器を活用している。

 事業所内で便意や尿意を催した時も、トイレに移動して自分自身で完遂できるように、介護職員はできるだけ付き添いに回るトイレ誘導を心掛けている。

 一方で同事業所の理学療法士の岩田研二氏は「利用者から排尿の訴えがあり、トイレ誘導しても排尿がない場合もある。認知症症状のある利用者の場合は、特にその傾向が強い」と話す。

 そこで超音波で膀胱内の尿量を計測するハンディータイプの排尿予測支援機器「リリアムスポット」(リリアム大塚)を導入した。

 利用者からは、自身の排尿感覚が、最新機器の計測結果(5目盛表示)で確信になり、気兼ねなくトイレ誘導を依頼することができ「尿量が目で分かるのが良い。これをしないと安心できない」と言われるまでに、QOL向上につながった。まとまった排尿ができるようになり、頻尿も減少した。

 介護職員も、利用者から声が掛かると機器で計測し「まだ2目盛だから大丈夫ですね」などと、根拠に基づいて説明でき「トイレ誘導の空振りがなくなった」と負担軽減を歓迎する声が高まった。失禁など排泄の悩みをもつ利用者の支援の広がりに期待を寄せている。

(名称、 役職等は取材当時のもの)

(福祉用具の日しんぶん2020)

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