コラム

今こそ必要性を伝えたい 【福祉用具の日 推進協議会】

今こそ必要性を伝えたい 【福祉用具の日 推進協議会】

 10月1日は「福祉用具の日」。福祉用具を必要とする人のため、環境の整備を啓発・普及する日。2002年に定められました。推進協議会の小野木孝二会長から、福祉用具の必要性と、それを伝えていくことの大切さについてうかがいました。

「福祉用具の日」

 私たち「福祉用具の日」推進協議会は、厚生労働省と経済産業省のご支援のもと、両省共管の福祉用具法の施行日である10月1日を「福祉用具の日」と定め、福祉用具関連5団体によって福祉用具のさらなる普及促進をめざしています。
 協議会を構成しているのは、日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)、テクノエイド協会、日本作業療法士協会、日本理学療法士協会、そして日本福祉用具供給協会の5団体です。

2018年度改正へ向けて

 さて、本年は2018年度の医療、介護保険同時改定の骨子が議論される大変重要な年となりました。社会保障審議会の介護保険部会におきまして、本年の2月よりいよいよ議論がスタートし、今年の12月までに概略が決定されるということで、その議論の成り行きに大変注目しております。
 財務省の改定案の1つは、福祉用具、住宅改修等を要介護2以下については、原則自己負担にするという、我々福祉用具を扱うものとしては、衝撃的な改定案となっています。
 我々としては、福祉用具が、高齢者の皆さんにとりまして、金額は大変少ないですが、在宅で自立して生活するためには、なくてはならない商品であることを、そして家族の方にとりましても介護負担を減らす基本となる商品であることを、もっともっとお伝えしなければならないと考えています。

生活に不可欠な福祉用具サービス

 安倍首相が提唱されています「一億総活躍社会」を作るためにも、なくてはならないツールだと考えています。
 昨年末、日本福祉用具供給協会は、要介護2までの福祉用具を使われている約500人の高齢者の皆さんに、もしも全額自己負担となり、福祉用具レンタルサービスが使えなくなったらどうされますかという緊急アンケートを取りました。
 その結果、生活の中でどうしてもヘルパーの方に頼まなくてはならないという方が20%程度おられ、その費用は、福祉用具を使うより、全体で約1370億円 余計にかかることが判明しました。
 またそのヘルパーの追加需要として、11万人 余計に必要となることも見えてきました。25年には38万人の介護人材が足りないといわれている中で、さらに11万5000人余計に必要となるということです。
 また福祉用具は、介護保険の全体の費用の中で3%のコストですが、介護保険サービス利用者のうちの46%の方が、そのサービスを利用されています。少ないコストで、多くの方にご利用いただいているサービスです。
 また、在宅サービスの中で、24時間365日いつでも使える数少ないサービスです。さらに高齢者の皆さんの自立意欲を高め、家族の介護負担を軽減しています。また、我々のサービスは離島や山間僻地のような人的なサービスが行き届かない所でも、必ずできているサービスです。
 さらに福祉用具を使うことによって転倒の不安がなくなったという方が数多くおられます。福祉用具は転倒防止には大変有効なツールであるということです。
 もし福祉用具が使えなくなったら、在宅中に転倒される可能性は格段に上がります。そうなれば骨折となり、病院への入院となり、介護度の重度化が進む可能性も大いにあります。せっかく介護費用を抑制しようとしたものが、却って重度化が進み、介護費用が増えてしまっては本末転倒であります。

原点に立ち返る日

 これらの主張は、全国のケアマネジャーの方にもご賛同いただき5万4250名(全国には在宅のケアマネジャーが約10万5000人います)の署名をいただきました。また全国の22府県、100市区町村でも議会で意見書の採択をいただきました(8月3日現在)。
 これらの声を、もっともっと国や国会議員の先生に伝えることが本年の重要なミッションと考えます。「福祉用具の日」を通じて、もう一度原点に立ち返り、これらの福祉用具の必要性をしっかりとお伝えしていければと考えます。

(福祉用具の日しんぶん2016年10月1日

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