連載《プリズム》

8月15日を迎えて

8月15日を迎えて

 8月15日の終戦記念日が来る。いまから74年前の1945年(昭和20年)、アメリカによる主要都市への絨毯爆撃と、広島・長崎への原爆投下によって、日本は無条件降伏をした。(プリズム2019年8月)

 これまでの3四半世紀は、私たちの戦争への反省の時間だった。しかし今、敗戦というこの歴史事実を十分に知らない日本の若者が多い。日本が起こした戦争をも忘却の彼方へ追いやる時間でもあった。

 7月21日投票の参院選は、安倍政権を信任して終了した。翌22日の朝日新聞朝刊で、支持政党を持たない無党派層がどの党に投票したのかを、投票所の出口調査(比例区)から年齢層で分類した。

 10代、20代の無党派層は、その28%、29%が自民党に投票した。年齢層を重ねるごとに自民へ投票する人は減り、60代で13%、70代以上で14%と、高年齢層は若年層の半数になった。逆の傾向が見られたのは共産と社民で、10代の投票は5%・2%だったのが、70代以上では15%・5%を占めた。立憲は60代の24%、国民民主は20代の8%、維新は50代の14%、れいわは40代の14%が、それぞれ最も多かった。公明は全世代に平均してまたがった。

 高齢層が革新系で、若者が保守に投票する。いや、すでに保守・革新の2極対立の時代ではなく、社会の基軸そのものが多様化しているのだ。将来に展望を見いだせないでいる野党は若者から嫌われた。

 自民は改憲を掲げて選挙に臨んだ。選挙結果は、その憲法改正の発議に必要な国会議員の3分の2の議席に改憲勢力は、わずか4議席足らずだった。多様な生活観に基づく政治の選択は今後も進むだろう。それでも、戦争だけはしてはいけないという人々の思いは、若者はもちろん、多くの日本国民に息づいている。8月を迎えて、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」という憲法前文を思い浮かべる。

(シルバー産業新聞2019年8月10日号)

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