連載《プリズム》

通信機能を備えた福祉用具

 厚生労働省が3月30日の介護給付費分科会に示した、通信機能を備えた福祉用具に関する整理案は、在宅での介護テクノロジー活用を推進していくための画期的な提案だが、その中身については不十分だと言わざるを得ない。

 とりわけ、「GPS等による位置情報の取得」の通信機能を、認知症徘徊感知機器以外の福祉用具にも認めるとしていた当初案を取り下げたことや、通信機能の範囲を「使用状況の把握」「異常・故障の通知」「修理交換の目安」に限定して、「バイタルセンシング」などを給付対象外とする枠組みを明確にしたことは、世の中の流れとはおよそかけ離れている。

 現在は介護施設を中心に、センサーや通信技術を活用した見守り、生活リズムの把握、さらにはケアの質の向上につながるデータ活用などが急速に進んでいる。また、4月からは介護情報基盤が市町村の地域支援事業に位置づけられ、介護保険がデータ連携を前提とした制度に移行していく流れにもなっている。

 こうした中で、在宅生活を支える福祉用具の通信機能を限定的にしか認めないとする今回の整理案は、技術革新を制度が抑制する構図を生み出しかねない。介護現場においては人材不足への対応が喫緊の課題であり、通信機能
を持つ福祉用具は有力な解決策の一つである。そうであるにもかかわらず、過度な制限を設けることによって、現場の創意工夫や開発意欲などを削ぐことになれば、本末転倒と言わざるを得ない。

 制度というのは、新しい技術なども取り込みながら進化させていくべきものである。給付範囲の線引きは必要だとしても、その前提となるべきは「何がこれからの介護に必要か」という大局的な視点だ。世界が注目している日本の介護や福祉用具が、制度によって〝ガラパゴス化〞していく姿だけは見たくない。

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