連載《プリズム》

働きがいアップのための処遇改善加算

働きがいアップのための処遇改善加算

 10月1日から消費税率が現行の8%から10%に引き上がる。これに対応して、介護報酬+0.39%、診療報酬+0.41%、障害者福祉サービス+0.44%、それぞれアップする。(プリズム2019年9月)

 介護報酬や診療報酬などは消費税非課税だが、各サービスの仕入れには消費税がかかるため、この増税分を補てんするのが今回の報酬改定だ。各サービス種別で、総コストから人件費や家賃など非課税コストと減価償却費を除いた割合を、介護事業経営実態調査から推計する。これに消費税率アップ分の「108分の110」(およそ1.8%)をかけて出したのが、各サービスの引上げ額の基礎になる。たとえば、訪問介護「身体介護中心、30分以上1時間未満」は、現行394単位が1単位上がって、395単位になる。計算すると、+0.25%の引上げ。上げ幅だけみると、通所介護「要介護2、6時間以上7時間未満」で3単位アップ、特養「要介護4、多床室」で2単位アップする。区分支給限度額も上がる。

 介護保険史上、後世までこの19年10月改定が語り継がれるとすれば、「介護職員等特定処遇改善加算」の創設だ。この特定加算だけで「経験と技能のある介護福祉士の賃金を月8万円アップ」という衝撃の政府発表から1年半余り。中堅介護職の給料を一般産業並みに引き上げて、介護人材の確保を図るねらいだが、介護職以外にも分配できるようになったのはよいものの、制度が具体化するに従って、原資は「経験と技能のある介護福祉士」の取り分がすべてであるために、「月8万円アップ」は、叶わない夢と分かった。実際、本紙の取材では、「経験と技能のある介護福祉士」の処遇改善額は、平均2万円程度という事業者があった。

 とはいえ、新旧処遇改善加算を合算すると、訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの場合、最高ランクで20%になり、介護報酬が月1000万円ならば、処遇改善加算200万円が加算されるのだから、事業者にとってインパクトは大きい。加算の活用によって「働きがいのある職場」をどう作っていくか、知恵を出すタイミングになった。どうぞ本紙記事もご参考に。

(シルバー産業新聞2019年9月10日号)

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