連載《プリズム》

ケアマネ試験ショック

ケアマネ試験ショック

 昨年10月の第21回ケアマネ試験の合格者が4994人に激減した。受験対象者が国家資格者と生活相談員に絞られた結果、受験者数が昨年の4割、4万9132人に減少した上に、合格率が一昨年の21.5%から10.0%に急落したのが理由だ。(プリズム2019年2月)

 1998年度の第1回試験の受験者数20.7万人、合格者数9.1万人と比べると、受験者数は4分の1に、合格者数は19分の1という減少になった。ケアマネ試験の合格者総数は70万人に及ぶが、実際に居宅介護支援事業所や施設などの介護保険事業所でケアマネジャーとして勤務する人は13万人程度で、もうケアマネジャーは足りているということか。

 近年、ケアマネ試験の職種別合格者は、介護福祉士が7割程度を占め、介護福祉士にとって、ケアマネジャーはキャリアアップのプロセスになってきた。しかし、昨年の介護福祉士の合格者は全体の45%に減り、前年は10%程度だった看護職の合格率が計23%に増えた。

 介護職の増加が足踏みする中で、介護福祉士は介護現場のリーダー格として期待され、介護福祉士として介護の第一線で踏ん張っていただきたい、ケアマネジャーになることだけが道ではないとの国のメッセージが、ケアマネ試験合格率の減少に込められているのではないか、と受け止める意見が多い。今年10月の消費税率10%引上げ時に、「10年勤務、月8万円アップ」の実現という、このほど社会保障審議会介護給付費分科会がまとめた「2019年度介護報酬改定に関する審議報告」結果もその表れだという。一方で、この更なる処遇改善は、介護職以外の職員も多少の恩恵に与れる仕組みになったが、居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、これまで同様に、更なる処遇改善の対象にも加えられなかった。介護福祉士として介護現場で働き続けることが、収入アップを見込めるという印象だ。

 超難関となったケアマネ試験。要因分析も大切だが、何より在宅利用者・家族を支えるケアマネジャーはもっと評価されてよい。

(シルバー産業新聞2019年2月10日号)

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