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2019年度ケアマネ受験者 6割減の前回とほぼ横ばい

2019年度ケアマネ受験者 6割減の前回とほぼ横ばい

 本紙が都道府県に行った調査によると、今年のケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験申込者数は4万9272人(非公表の3県を除く)で、大幅に減少した昨年とほぼ横ばいであることがわかった。

ケアマネ試験は毎年10月に各都道府県で実施される。この試験に合格し、実務研修の受講を経て、ケアマネジャーの実務に従事することができる。昨年の同試験の受験者数は4万9312人で前年の13万1432人から6割超の激減となった。

 要因の一つが、受験要件の厳格化だ。それまで法定資格保持者でなくても、10年以上の介護実務経験(初任者研修修了者などは5年以上)で受験資格を得ることができた。しかし、ケアマネジャーの質や専門性の向上を図るため、昨年から法定資格者と相談援助等業務従事者に限定されている。

 また試験合格者の半数を占めている介護福祉士の処遇改善が進んでいることを要因に挙げる意見もある。介護報酬では、介護福祉士をはじめとする介護職に対して、給与改善を行うための介護職員処遇改善加算が設けられている。さらに10月からは介護職員等特定処遇改善加算(7面、28面に特集記事)として、「10年以上介護福祉士」の処遇を重点的に引き上げる加算も新設されるが、居宅介護支援事業所は対象外となっている。

 昨年の試験合格者5404人のうち、2452人と半数近くを占めるのが介護福祉士だ。ある経営者によると、「平均給与額など、一般的には介護福祉士からケアマネジャーになれば給与が上がる。しかし、人材不足が深刻な介護職員の処遇改善が進み、さらに今回の特定処遇改善加算の創設で、『介護福祉士で10年働けば、ケアマネより高い給料がもらえるかも』という現場の期待感が高まっている」という。介護職と比べ、相対的にケアマネジャーの処遇が下がっているという見方だ。

 8月29日に開催された介護保険部会で、日本介護支援専門員協会の濵田和則副会長は「受験者が大幅に減少している要因を分析する必要がある」とし、また次回改定でのケアマネの処遇改善の必要性も訴えた。

受験料5000円引き上げの県も

受験者が激減したことにより、受験者や運営にも影響が出ている。その一つが受験料の値上げだ。本紙調査によると、43都道府県が受験者の減少を受けて、昨年から受験料を引き上げている。千葉県は、18年8700円だった受験料を、19年は1万4400円と6割以上引き上げた。同試験の問題を作成している社会福祉振興・試験センターは、受験者の激減を受けて700円だった問題作成手数料を19年から1800円に引き上げており、これも引き上げの要因となっている。

 そうした中で、福島県、新潟県、福井県、滋賀県は受験料を据え置いており、都道府県によって対応が異なる状況がわかった。ただ、県から試験運営を受託している福島県社協は「県からの要望もあり、今回は引き上げていないが運営は赤字の状況。正直にいって、今後も委託を受けられるかどうか、ギリギリのところまできている」と訴える。
 
 大半の自治体は試験運営を地域の社協やケアマネ協会へ委託している。今回、受験料を据え置いている、または問題作成料分のみを上乗せしているところも、「次回の受験料については、委託元の都道府県と見直しを相談したい」と話す運営も多かった。
 (シルバー産業新聞2019年9月10日号)

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