未来のケアマネジャー

AI時代、ケアマネジャーはどう生きる?/石山麗子(連載10)

AI時代、ケアマネジャーはどう生きる?/石山麗子(連載10)

 AIケアプランについて関心を持つ人は増えてきたようだ。私の肌感覚では、1年前よりもAIケアプランに関する関心度も漫然としたものから、「ゆくゆくは仕事に取り入れる日が来るのだろうな」と意識し始めた方も増えたように感じる。

 本紙をはじめとする介護関連の新聞や雑誌に掲載される頻度は高くなったし、メディアでも頻繁にSociety5.0()やその中心的な技術となるAIが取り上げられている。AI関連情報に触れる頻度の高さが、AIに対する人々への意識の変化に関連しているのかもしれない。

 テレビでは有名タレントがAIに名前をつけ、「ねぇ、これってどうなのよ?」と問いかけ、到底人間では思いつかないAIのある種の奇抜ともいえる分析結果を見ながら番組を展開していくものや、AIそのものについて解説する番組などさまざまだ。

 AIといえばまだちょっと手に触れられない遠い存在であったり、未来の世界のことのように思っている人は多いのではないか。その感覚はある意味、私も含め特に介護分野の一定年齢層以上の方の持つ感覚といえるかもしれない。ケアマネジャーの全国での平均年齢は約50歳。一つの職種としてみれば年齢は決して若いとは言えない。そういう観点からみればケアマネジャー同士の会話は、いわば一定年齢層以上の集団と同義であり、そのため新たな概念を取り入れ、変化を受け入れる速度は、平均年齢がもっと若い他の職種よりも鈍い可能性は否めない。平均年齢50歳となれば経験豊富という利点はあるが、今日、第4次産業革命とも言われ日進月歩の技術進化の中で大きな時代の転換点にあっては、ある意味弱点となる要素を抱えた職種であることは自覚しておきたい。

 今年4月「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)2019」が開催された(日本ディープラーニング協会と日本経済新聞社が共催)。これは全国の高等専門学校を対象に「ディープラーニング活用のビジネスコンテスト」として実施したものだ。技術の高さは当然ながら、企業家が資金を投入しても良いと思えるアイデアを取り入れた高い実用性・商品性を備えていることに驚いた。
 ここからが本題だ。今日、理工系を志望する学生だけがこうした技術を学ぶのではない。時代は明らかに転換した。この変化を全国のケアマネジャーの何割の方が捉えているだろうか。2013年度から高校では、学習指導要領に「データの分析」が「数学Ⅰ(必修科目)」に組み込まれた。大学生は18年6月、文理関係なく全学生に対する数理・データサイエンス教育の標準カリキュラム等の開発・普及を目指している(「人口知能技術戦略実行計画」)。当然大学入学試験関連にも影響が及び共通科目の再編が検討されている。

 変革は更に小学校に及ぶ。20年4月には小学校教育にプログラミング教育が必修化される()。もはやデータ分析、プログラミングは、いわゆる読み書き算数と同様の類となり、小学校から大学までAI時代に生き抜く教育へと急激に進化した。
 9月下旬、大学では後期の授業が始まった。私は大学院所属だが、学部生のケアマネジメント教育も教鞭をとる。私が担当する未来の医療者の卵は2000年、なんと介護保険元年生まれだ。学生たちは医療統計を学んでおり、ケアマネジメント論の授業で提示するデータをその場で読み込み分析し、淡々と解釈を述べることができる。

 今から4~5年後の医療・介護の現場を想像してほしい。医療・介護専門職は、少なくともデータ分析可能な能力を備えた人材が必要でありその方向へと変わっていくだろう。一方、現状の多くの介護現場の感覚はどうだろうか。現場は実践者が、研究は研究者がやるもの、と考えていないだろうか。このような大先輩のスタンスは、若い世代にどう映るだろうか。変化は私たちが思っているよりはるかに早くやってくるだろう。

 AI時代にケアマネジャーはどう生きていく?AIと共に育つ覚悟が私たちにも求められそうだ。
 石山麗子(国際医療福祉大学大学院 教授)

(シルバー産業新聞2019年10月10日号)

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