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ケアプランの自己負担導入「反対」83%

ケアプランの自己負担導入「反対」83%

 2021年の制度改正で争点となる居宅介護支援の利用者負担の導入に対して、本紙が現場で働くケアマネジャーにアンケートを行ったところ、83%のケアマネジャーがケアプランの有料化に「反対」と回答。多くのケアマネジャーから、有料化すると、利用者や家族の要望に沿ったプランしか採用されなくなる、いわゆる「いいなりプラン」を助長してしまうことに懸念を抱く意見があげられた。

「いいなりプランになり中立性失われる」

 2021年の制度改正で争点となる居宅介護支援の利用者負担の導入に対して、本紙が現場で働くケアマネジャーにアンケートを行ったところ、83%のケアマネジャーがケアプランの有料化に「反対」と回答。多くのケアマネジャーから、有料化すると、利用者や家族の要望に沿ったプランしか採用されなくなる、いわゆる「いいなりプラン」を助長してしまうことに懸念を抱く意見があげられた。

 これまで何度も議論に上がっては見送られてきた「ケアプランの有料化」については、18年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)」でも再び明記され、社会保障審議会介護保険部会で議論されることになった。有料化の根拠を「チェック機能が働き、サービスの質が高まる」と説明する。

 2年後の制度改正へ向けて大きな争点となっているが、現場のケアマネジャーはどう考えているのか――。8月~9月にかけて、本紙がケアプランの有料化に対するアンケートを実施したところ、全国346人のケアマネジャーから回答を得た。

 最初にケアプランの有料化についてどう思うかを尋ねたところ「賛成」と答えたケアマネジャーは12%、「反対」と答えたケアマネジャーは83%と、「反対」と答えたケアマネジャーが大きく上回った。その理由を自由記述で尋ねたところ、「反対」と答えたケアマネジャーで最も多くみられたのが「いいなりプラン」の作成につながるとする意見。「有料化でお客様意識が高くなり、さらに無理難題を要求してくる人が増えると思う」(茨城県、女性)、「料金が発生する事で、利用者の要望に応じざるを得なくなる。利用者の要望を何でも取り入れてしまう事で自立支援とはならず、公平な関係が失われてしまう」(京都府、女性)、「有料になることで、利用者側に『お金を払っているのに言うとおりに使わせてくれない』という意識が生まれるのではないか」(広島県、女性)など、適切なプランではなく「いいなりプラン」を作成することにつながるとの意見が多く寄せられた。

 そのほかに多かったのが、「利用者負担が増え、必要な人も介護サービスを拒否する可能性がある」(鹿児島県、女性)、「直接支払いが発生する事で、ケアマネに対しての敷居が上がり、相談できなくなる利用者が発生すると思う」(大阪府、女性)など、利用を控える人が増えるとする意見。その結果、状態の悪化につながるのではないかと懸念を示す意見も見られた。ケアマネジャーが適切なサービスを選択して立てたプランが効果的な介護を促進することをしっかりと利用者や家族に理解してもらうことが重要になりそうだ。

有料化賛成12%「質の向上につながる」

 一方、「賛成」と答えたケアマネジャーで多かったのが、有料化により、利用者の意識が高まり、ケアマネジャーの質向上につながるとする意見。「有料化となれば良いマネジメントをしているケアマネジャーに人気が集まり、結果的に質の向上につながると思う」(茨城県、男性)、「ケアプランの資質向上につながると思う。そこでは選ばれるケアマネとなる努力が問われることになる」(鹿児島県、男性)などの意見が寄せられた。

 また、質の向上と同じくらい多かったのが、財政面での制度の持続性のために止むを得ないとする意見。「介護保険の財政が厳しく、このままでは制度の持続が難しいので仕方ないと思う」(東京都、男性)、「利用者の負担をきちんと増やさないと、今後制度が成り立たなくなり、破綻すると思う」(神奈川県、女性)などの意見があった。

 このほか、「有料化することで、ケアマネの果たしている役割の価値が明確になるので、良いと思う」(茨城県、女性)や、「ケアマネジャーの業務内容をよく知り、理解してもらうためには有料は良いと思う」など、ケアマネジャーやケアマネジメントに対する理解が進むことを期待する意見も目立った。

(シルバー産業新聞2019年10月10日号)

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