連載《プリズム》

介護福祉士にかかる期待

介護福祉士にかかる期待

 介護福祉士の国家試験受験者数が前年より半減した。これまでは3年間の介護実務経験があればそれだけで介護福祉士を受験できたのを、専門性を高めるため、最大450時間の研修を受験要件に加えたのが要因だ。(プリズム2017年3月)

 一方で、専門学校で2年間学び卒業すれば、国家試験は受験せずとも、介護福祉士になれたのを、こちらは国家試験の合格を原則とした。そのため、養成校の入学者の定員割れも5割を切った。

 これらを「介護福祉士資格取得の一元化」といい、16年度から実施されたが、両ルートの改革はともに厳しいスタートである。

 しかし、日本介護福祉士会の若きホープ、石本淳也会長は、「一元化は、介護福祉士がプロの介護士として介護をリードしていくため必要な通過点」であり、専門性を獲得するためのフルイだとして、もっと早くに実施すべきだったと、本号(4面)で語っている。介護の現場は、介護福祉士をリーダーに、資格やスキルに応じた役割を担っていくべき。だれもが介護福祉士の国家資格をもつべきという目標は、現実的に不可能だと話した。

 在宅介護を支える訪問介護員(ホームヘルパー)は、主婦層が中心に担ってきた。積極的に介護福祉士をめざす人は少ない。夫の扶養家族でいるためには、年収130万円の壁もある。子育てなど家事もあり、そもそもフルには働けない。介護の仕事は時給もよいため、多様な働き方の一つとして、決して悪くはない。

 12年10月と14年10月を比較すると、介護職は162万人から176万人へ14万人増えた。増えた14万人のうち介護福祉士の伸びが11万人を占め、介護福祉士の増加が介護職増を支えている。この2年間で、介護保険受給者は457万人から502万人と、45万人増えた。

 介護保険創設時に比べて、介護体制は改善している。介護職数に対する受給者数の割合は、00年3.32人から、14年2.85人に充実した。介護保険満17年の今、日本の介護は日本人によってしっかり支えられている。この4月には、介護報酬を改定して、介護職員処遇改善加算の充実を図り、介護人材の確保をめざす。

(シルバー産業新聞2017年3月10日号)

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