連載《プリズム》

18年改正の全貌

18年改正の全貌

 2018年介護保険法改正を検討する介護保険部会の意見(素案)が11月25日に出た。10カ月にわたった議論は、つぎのような結論を導き出した。(プリズム2016年12月)

 注目された利用者負担のあり方については、65~74歳の2割負担化や補足給付での不動産勘案、軽度者の生活援助や福祉用具貸与・住宅改修の自己負担化は回避された。また、介護予防・日常生活支援総合事業の対象の拡大も、17年度中に全市町村で介護予防の訪問介護・通所介護を移行すること自体困難な現状では、見合わせざるを得ないとした。

 そうした中で、利用者負担割合・高額介護サービス費は、素案では「今後追記予定」として空欄である。だが、政府は、現役並みの収入(年金のみ343万円以上)があれば、3割負担に引き上げることを固めている。請求によって利用料が全額償還される高額介護サービス費の負担上限については、一般の利用者でも3万7200円から4万4400円にアップさせる方針を固めている。

 福祉用具貸与の外れ値対策として、福祉用具専門相談員が全国平均貸与価格を利用者に説明することや、自由価格を基本としつつ貸与価格に一定の上限設定を行うことが盛り込まれた。厚労省が示していた「極端に高い額を貸与価格とする場合には、あらかじめ保険者の了解が必要」との対応を、上限設定に改めたものだ。住宅改修では、事前申請時の見積書は改修内容、材料費、施工費などの内訳を明確にすること、複数の住宅改修事業者から見積書を取るようにケアマネジャーが利用者に説明することを求めた。

 懸案の総報酬割の導入は、今後追記予定としたが、日本経済団体連合会(経団連)が導入に前向きな姿勢に転じたことから、17年8月から段階的に、共済組合と健保組合の被保険者の保険料が上がる一方、中小企業の協会健保の保険料は下がることになる。

 その他、意見素案には、地域包括支援センターの休日開所、ケアマネジメント手法の標準化への取組の推進、地域密着型通所介護の指定拒否、生活援助の人員基準の見直し検討、調整交付金の3区分化、更新認定有効期間の上限を36カ月に延長や状態安定者の2次判定簡素化などが記述された

(シルバー産業新聞2016年12月10日号)

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