連載《プリズム》

少ない専門職、増える介護ニーズ

少ない専門職、増える介護ニーズ

 介護職や看護職が足りず、爆発的に増える要介護高齢者の支援に黄色信号が灯る。医療保険や介護保険の制度改定は、限られた人材で介護ニーズにどのように対処していくかをテーマにせざるを得ない状況だ。(プリズム2014年11月)

 人材活用の課題は、事務負担の軽減や兼務の是認などに留まらない。介護保険の基本スキームであるケアマネジャーを介した連携や、どのような場合に保険給付するかという考え方にまで、人材不足は影を落としている。

 すでに、小規模多機能型居宅介護は、ケアマネジャーがいて、通い、訪問、泊まりがセットされた包括サービス。居宅介護支援事業所のケアプランによって事業所ごとに提供される通所介護、訪問介護、ショートステイに比べて、トータルの省資源化に寄与する。小規模多機能による「囲い込み」のリスクは、地域の目を入れることでカバーする。さらに先の12年改正では、複合型サービスという、小規模多機能に訪問看護を一体化させた新サービスができた。

 介護給付費分科会では、「訪問・通所系を一体的に捉えた機能分類や評価体系」も俎上にあがっている。別々にサービス提供するよりも、一体化する方が専門職を有効に活用できる、という考えだ。15年改正では、要支援者の予防給付の市町村事業への移行を図るが、これも専門職を中重度者へシフトするための仕組みという側面がある。人員基準を事業所ごとに義務づける現制度は、やがて複数の事業所や、法人を超えた地域の事業所間でクリアすればOKという新たな制度に早晩転換するかも知れない。

 人材不足への対応は、外国人介護人材の確保や介護ロボットの開発という方向に表れているが、「2025年に向けて約70万人の介護人材を確保するには、国内の人材確保対策を充実・強化していくことが基本」(外国人介護人材受入れ検討会)というスタンスが望ましい。財源の確保には、消費増税という道筋がひらかれた。しっかり働ける安定した職場環境と給与も、介護人材の確保には欠かせない。
 
(シルバー産業新聞2014年11月10日号)

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