連載《プリズム》

介護も資格社会へ

介護も資格社会へ

 年が明けて早3カ月がたった。褐色だった山麓が見る間に黄緑に変わり、遅かった梅に代って、桜が開いた。春は、受験シーズン。保健医療福祉の国家試験の結果発表が、ほぼ一巡した。社会福祉士、介護福祉士、看護師、保健師、助産師の合格率。(プリズム2013年4月)

 13年の合格率が最も高かったのは助産師の98.1%(合格者数2072人)、最も低かったのは社会福祉士の18.8%(8058人)。介護福祉士の合格率は、昨年63.9%になり、今年も64.4%(8万7797人)、過去最高となった。助産師だけでなく、看護職の合格率は高く、看護師は88.8%(5万224人)、保健師は96%(1万5764人)。残念ながら涙を飲んだ人は、捲土重来を期していただきたい。

 EPA(経済連携協定)によって日本の医療や介護現場で働くインドネシアとフィリピンの人たちも、看護師、介護福祉士を受験した。両国合わせて、合格者は看護師30人(合格率9.6%)、介護福祉士128人(合格率39.8%)。日本語のハンディをカバーするため、試験時間を看護師は1.3倍、介護福祉士は1.5倍に増やすなどした。看護師候補者(滞在年限3年)は来日初年度から受験できるが、介護福祉士候補者(滞在年限4年)は、国試を受けるためには3年の実務経験が必要なため、本来の滞在期間中での受験は1回限り。そこで介護福祉士の国試が不合格になっても「合格ラインの5割以上の得点」があれば、滞在期間を1年延長することを認めた。不合格者186人中、85.5%にあたる159人がこの水準に達している。

 介護福祉士への道筋がいよいよ4月から変わる。ヘルパー2級は介護職員初任者研修に移行し、経過措置を除きすべのヘルパー研修が廃止になる。初任者研修は同じ130時間だが、30時間の施設実習が廃止され、修了試験を行う。ヘルパー2級と介護職員基礎研修の修了者は、初任者研修修了者とみなす。そして実務者研修(450時間、実務経験などによる時間免除)を経て、介護福祉士の国試を受験する。これまでは実務3年だけで受験できたのを、体系だった教育研修を義務づけた。他方、養成校ルート(授業1800時間)も、資格取得には国試の合格が必要に。さらに実務経験と研修を経て、認定介護福祉士へ。

 ケアマネ試験も今後は受験資格を原則保健医療福祉の法定資格者にする方向性が打ち出されている。医療同様に、介護も資格社会になっていく。

(シルバー産業新聞2013年4月10日号)

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