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外国人介護福祉士 マリシェルさん 新設特養の副施設長に就任

外国人介護福祉士 マリシェルさん 新設特養の副施設長に就任

 今年4月にオープンした特養「ポプラ上新庄」(大阪市)の副施設長として働く、フィリピン人介護福祉士のマリシェル・オルカさんは、フィリピンから入国したEPA(経済連携協定)第1号で、そのなかで初の介護福祉士試験合格者になった。今年6月には、大阪介護福祉士会理事に選出されている。

 マリシェルさんが働く特養「ポプラ上新庄」は、全室ユニットケア個室の60床。大阪府北部の池田市を中心に高齢者介護を行う社会福祉法人池田さつき会(伊丹谷五郎理事長)の運営。

 16年前に特養「ポプラ」開設からスタートした池田さつき会グループでは、外国人介護士の採用に積極的に取組み、現在、約1000人になるグループ従業員の中で、80人の外国人介護士が働く。フィリピン、ベトナム、ネパール、中国、ミャンマー、インドネシア、アラブ首長国連邦の7カ国の介護士さんたちだ。

 池田さつき会の関連法人、ポプラコーポレーションでは介護事業のほかに、こうした外国人介護士などを養成する「ポプラ介護福祉学校」を今年4月に開校、38人の一期生が誕生し介護福祉士をめざしている。池田市の住宅地にあった小学校旧校舎を活用する。

 マリシェルさんは、同法人の外国人介護士の第1号。早くに父親を亡くしたが、大学で理学療法士の資格を取得。2003年から3年間、理事長が懇意の日本法人が運営する日本の退職者や企業の駐在員などを対象にしたリゾートマンションで働き、買い物や病院などへ付き添いをした。06年に本格的に日本語を勉強しようと来日、2年間名古屋の日本語学校に留学し、ショートステイでアルバイトとして働いた。

 卒業後、いったん帰国、日本とフィリピンのEPA協定が成立したことで再来日し、池田さつき会で働くようになった。

 日本語は堪能になり、利用者からも日本スタッフからも信頼される存在だ。笑顔で交わす挨拶もすがすがしく、ホスピタリティの高さをうかがわせている。

 12年、介護福祉士の国家試験に一発合格。EPAで来日したフィリピン人の一番乗りだった。「合格するためには、資格を取りたいというモチベーションの維持が第一です」と、マリシェルさん。

 世界中に広がっているフィリピン人労働者は、SNSでお互いの就労状況などを共有している。よい環境や条件で働いているという認識がモチベーションの維持に欠かせないと話す。

 大阪介護福祉士会には、13年に入会した。淺野幸子会長との出会いがあった。日本で介護福祉士として働いていくためにも、これから増える外国人介護福祉士のためにも、専門職団体に入り、研修によって自分たちの介護力を高める必要を感じたという。

 特養ポプラ上新庄で副施設長に就任したのは、これまでもリーダーとして働いてきたことに加えて、新施設では外国人介護士のウエイトを上げる目的があった。現在、同施設60人の従事者のうち、外国人介護士は、マリシュルさんを含めて18人が働く。うち6人が介護福祉士。外国人介護士だけでも介護業務がしっかりできる特養にしたいという伊丹谷理事長の思いがあったという(写真)。

 実際、全室ユニット型の「ポプラ特養上新庄」には、スタッフ全員が外国人介護士で構成するユニットを、モデルで展開している。

 マリシェルさんはこのたび来日10年を経て、日本の永住資格も得た。これからも外国人介護福祉のリーダーとして日本の高齢者の思いを受け止める介護に携わりたいと話す。

(シルバー産業新聞2021年10月10日号)

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