連載《プリズム》

はじまりはアーチェリー大会

はじまりはアーチェリー大会

 6月号の本紙コンテンツ下の駄洒落コーナーは、「用意、ロンドン!」とした。世はオリンピック。日本選手の好成績が続いていれば、新聞からテレビまで、その活躍風景で埋め尽くされることだろう。オリンピックが終われば、次はパラリンピック。同じイギリスの首都ロンドンで、8月29日~9月9日(現地時間)の15日間、「第14回ロンドンパラリンピック」が開催される。(プリズム2012年8月)

 障害者スポーツ最高峰の舞台には、全世界から160カ国・地域、選手4200人が集い、20競技・503種目が競われる。

 ロンドンに、負傷した兵士のためのリハビリ病院の脊髄損傷科長のルードウィッヒ・グットマン卿がいた。戟争中ナチスによるユダヤ人排斥によりイギリスに亡命した医師で、いち早くスポーツを治療に取り入れた。1948年に病院内で16人の退役軍人によるアーチェリー大会が開かれたのが、今日のパラリンピックの嚆矢といわれる。その後競技種目を増やして、ヨーロッパ各国からの参加も増えた。60年、パラリンピックをオリンピック開催地で行うことが決まり、同年、ローマで第1回パラリンピックが開かれた。第1回の参加者は23カ国、400人。今回の10分の1程度の規模だった。

 漠字の心のようにも見えるパラリンピックのシンボルマーク。赤・緑・青の3色の布の切れ端が躍っている。赤色は心、緑色が身体、青色が精神を表す。

 日本選手は、17競技、135人。主将は、車いすマラソンの女王、土田和歌子選手(37歳)。かつては冬期でアイススレッジスケートでも活躍、いまは1児の母、ブログには子どものお弁当を掲載する。旗手を務める木村敬一選手(21歳)は、前回の北京に続き、2度自の挑戟。病気で視力を失ったが、10歳の時に水泳を覚えた。座右の銘は、一所懸命。車いす陸上界のエース、伊藤智也逮手(48歳)の活躍も気にかかる。金メダルの期待大。

 船橋市立リハビリテーション病院(石川誠理事長)は、入院患者さんと冬の長野でクロスカントリースキーを行っている。福祉用具事業者が協力する。スポーツが肉体と精神に働きかけるカは、百薬に値する。NHK総合(昼の3時台)、Eテレ(夜8時台)。パラリンピックの放送も楽しみだ。記録を左右する車いすや舗装具などの福祉用具にも注目したい。

(シルバー産業新聞2012年8月10日号)

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