施設サービスはどう変わっていくのか

茨の道が待ち受ける 介護保険これからの20年/菊地雅洋(連載52・最終回)

茨の道が待ち受ける 介護保険これからの20年/菊地雅洋(連載52・最終回)

 走りながら考えるとして介護保険制度が施行されてから20年が経ったが、この制度の最大の功績は、居宅介護支援というサービスと、介護支援専門員という資格を創設したことだろう。

 地域で居住する要介護高齢者にとって、自分の身の回りのことを相談できる担当者が近くにいるということほど安心なことはないし、ケアマネジャーが窓口になって、介護サービスが利用できるという便利さも、暮らしの質につながっている。特に介護保険制度創設時には、居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャーを窓口にさえすれば、利用するサービスが総合的に調整できるという、「ワンストップサービス」が実現した。そのことに一番の意義と成果を感じた人が多いはずだ。

 しかしそれを崩壊させたのが2006年の制度改正であった。介護保険サービスを予防サービスと介護サービスに分断し、予防プランを地域包括支援センターに所管させたことによって、予防プランと介護プランの計画担当者が変更され、予防サービスと介護サービスも分断されるケースも増え、ワンストップサービスは事実上崩壊したのである。それが残念である。

 またこの制度の理念の一つが自立支援であることから、介護報酬の算定構造にアウトカム評価を取り入れることが課題とされ、費用算定ルールは年を追うごとに複雑化して国民にとってわかりづらい制度となってしまった。そのことも大きな問題となっている。

 しかし次の20年は今以上の茨の道が予測される。今年、団塊の世代の人たちはすべて70歳に達する。元気高齢者と言われる人が多いそれらの人たちが、今後徐々に介護を必要としてくるのだ。しかも2040年には団塊の世代がすべて90歳に達し、その数が減っていくとしても、その時に団塊の世代の次に大きな塊である団塊ジュニア世代が、すべて65歳以上となり、介護のマンパワーから外れてくる。しかも日本には次の塊の世代がないため少子高齢化は止まらない。

 つまり要介護高齢者が減っていくとしても、生産年齢人口の減少スピードの方がはるかに速いために、高齢者の「支え手」が財政・サービス両面で急速に縮小していく。それに対する有効な処方箋は存在していない。

 そんな中でも介護保険制度は、「持続可能性を高める」ことを目的として改正され続けていく。その改正とは給付抑制と、国民負担増加が柱である。しかもその改正結果の検証作業はおざなりだ。

 例えば18年度の介護報酬改定の効果検証調査の実施案が介護給付費分科会に示されている。改定議論を行う分科会と、その改定結果の検証作業を行う分科会が同じでは正当な評価など出来るわけがない。それは事実上、検証作業を形骸化させる結果にしかならない。

 その中で痛みを負うのは国民ばかりで、政治改革や行政改革という政治家や官僚の痛みにつながる改革はまったくされていない。だから介護保険制度も闇に向かってまっしぐらである。 (了)

 菊地雅洋(北海道介護福祉道場あかい花 代表)

(シルバー産業新聞2020年3月10日号)

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