在宅栄養ケアのすすめ

発災後、変化する栄養ニーズ

発災後、変化する栄養ニーズ

2011年の東日本大震災のとき、日本栄養士会の災害派遣として、石巻市の避難所等への支援に入りました。今ほど災害時支援について職能団体どうしの事前の連携が十分ではなかったので、現地に派遣された専門職がその場でチームを作り、情報収集と生活支援にあたっていた記憶があります。

  福祉避難所の一つでは約100人が生活し、うち9割が高齢者でした。多くの人が医療・介護の基礎情報を確認できない中、ご飯を食べられているか、水分は摂っているかなど、一人ひとり声をかけて回りました。皮膚の状態でたんぱく質不足が明らかな人もいました。
幸い、物資には恵まれ、倉庫スペースは天井につきそうなほど段ボールが山積みになっていました。ただ、内訳は全く把握できていなかった様子です。一方、そこから車で1時間ほど行った海岸沿いの避難所には物資がほとんど届いていませんでした。窓ガラスが割れて建物の状態も悪く、支援のマッチング課題を痛感しました。

量からバランスへ

 災害時の食事・栄養支援は、発災からの経過日数で刻々と変化します。まず発災24時間以内は脱水予防とエネルギー摂取が最優先です。最低3日間はライフライン寸断、かつ外部から支援が入らないことを前提に、水とエネルギーが確保できる食品の備えを心がけましょう。
 嚥下困難な人向けの介護食品、アレルギー食、乳児用ミルクなども普段の食事として、自己備蓄しなければなりません。先述の避難所には震災4週間後くらいに入りましたが、その間に誤嚥を起こし入院した人もいたと聞きました。

 また、避難所ではトイレ環境が悪い、場所が遠いなどの理由で水分を我慢し、脱水リスクが高くなる人もいます。水を確保できているから、と安心しないことが大切です。
発災3日を過ぎると、避難所で炊き出しなどの支援が入り始め、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養補給へ対応していくフェーズとなります。野菜や果物、牛乳、卵といった生鮮食品がどの程度確保できるかが、見るべきポイントの一つです。おにぎりやパンなどエネルギー摂取に偏っていた影響で、このタイミングで便秘や慢性疲労など体調不良を訴える人も増加します。

 また、発災3週間を過ぎ、避難所生活が長引くと今度は活動量不足による肥満に陥るケースも出てきますので、他職種の協力も欠かせません。フェーズに応じたリスクを共有し、栄養面だけでなく「どう生活を戻していくか」の視点が、専門職には求められます。

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