在宅栄養ケアのすすめ

病診連携で広がる在宅栄養/中村育子(連載75)

病診連携で広がる在宅栄養/中村育子(連載75)

 4月からの診療報酬改定で、在宅患者訪問栄養食事指導(介護保険でいうところの居宅療養管理指導)と外来栄養食事指導の要件が緩和され、他の医療機関や栄養ケア・ステーションの管理栄養士と連携した実施が可能となりました。

入院時からの連携活かす

 管理栄養士がなかなか雇用できない診療所の支援になると同時に、入院機能をもつ病院の栄養管理・支援体制が整った改定とも言えます。

 では、他の医療機関とはどのようなところか。イメージしやすいのは、在宅医療を提供する診療所が、患者が入院していた病院に依頼する「病診連携」の形です。特に無床診療所の場合、緊急入院の受け皿として事前に患者情報を共有しているケースもあります。

 しかも今回、この連携をより密接にする加算も設けられました。「栄養情報提供加算」は、病院からの退院時に介護施設や在宅(診療所等)の医師または管理栄養士へ、入院中の栄養・食事管理について情報を提供するものです。退院時カンファレンスでも手薄になりがちだった栄養、摂食嚥下の情報を担保することで、退院先での低栄養や嚥下障害の予防・改善につなげてもらいたいと思います。 入院中の摂食嚥下リハビリに関しても管理栄養士の関与、つまり栄養ケアの視点が明確化されました。病院側から見ると、栄養という軸で入院・外来・在宅の全てに関わる仕組みができあがったことになります。

 自身の現場で言えば、私が所属する法人は入院・外来・在宅まで広くカバーしていますが、管理栄養士を配置していない診療所が幾つかあります。まずはこちらへ「他の医療機関の管理栄養士」として関わることになるでしょう。全国的にも、同一法人内連携から実績が進むと思います。

介護保険での実現は?

 こうなると次に気になるのは、介護保険(居宅療養管理指導)でもいずれ他院連携型が認められるのか、ということです。実は、直近の介護報酬改定を振り返ると、こうした外部の医療従事者との連携評価は色濃くなってきています。

 例えば、通所系サービスの「栄養改善加算」は管理栄養士の配置が基準化されていますが、2018年改定では他の医療機関や介護施設の管理栄養士との連携で算定できることになりました。新設された「栄養スクリーニング加算」(介護職員による簡易栄養評価。管理栄養士は必須ではない)で低栄養リスクを早期発見し、栄養改善加算で個別支援につなげる、といった道筋が見えます。

 医療・介護連携を入院・退院の一時的なものでなく、在宅でも継続すべきだという考えを示しています。

実績が雇用を生む

 嬉しいことに、ある地域の医師会からは今回の診療報酬改定を受けて、どう在宅医療に栄養ケアを絡めていくべきか、どう管理栄養士を活用するのかといったことで講演依頼をいただきました。

 在宅に敏感な医師(経営者)の裾野が広がれば訪問栄養の指示も増えます。そこで成功事例を積み上げれば、在宅生活における栄養の位置づけは欠かせないものになります。自院での管理栄養士の雇用も視野に入ってくるでしょう。

 今後、地域で管理栄養士が活躍する大きな転機になることを期待しています。

 中村育子(福岡クリニック)

(シルバー産業新聞2020年4月10日号)

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