在宅栄養ケアのすすめ

食の調達手段を複数提案/中村育子(連載76)

食の調達手段を複数提案/中村育子(連載76)

 在宅での栄養ケアは、生活援助での調理や、バランスの良い食事を提供する通所介護の協力なくして成立しません。しかし現在、発熱や体調不良を理由にサービスが利用できないケースが増えています。多くの在宅高齢者が低栄養に陥りかねない、深刻な事態を迎えています。

 利用者が自前で食事を用意すると、「ご飯と漬物」や「パンとコーヒー」など栄養の量・バランスが不十分な食生活が続きます。また、独居や老老世帯は会話をする機会が減ることも問題です。テレビで連日流れる新型コロナウイルスのニュースに、心細くなっている高齢者も多いのではないでしょうか。気分の落ち込みは低栄養のリスク因子の一つ、食欲低下を招きます。今は訪問する際に、まず明るく楽しい話をして気分を落ち着かせるよう心がけています。

 一方、利用者側も感染リスクの観点から訪問に対して敏感な時期です。訪問の際は常時、ジェル状の消毒液を持参していますが、玄関にアルコール消毒液を置いてくれている家や、訪問すると真っ先に手洗い場を案内し、手を洗うよう促してくれる人もいます(写真)。訪問前には患者に発熱がないか確認し、訪問から帰ると手洗いは欠かせません。

コンビニ・宅配・配食をフル活用

 食事や生活環境の聞き取りを行うと「マスクやトイレットペーパーが購入できない」「レトルトカレーや缶詰が買い占めで手に入らない」といった悩みがよく出てきます。

 私が担当する要介護2の70代女性(糖尿病、認知症、生活保護)は精神疾患のある息子と2人暮らしで日中独居ですが、夕方に息子と買い物に行くと食材がほとんど残っていないそうです。

 家族が買い物に行くことができる場合は、スーパーより食品の納品頻度が高いコンビニもチェックするよう伝えています。加えて、生協などの宅配や配食サービスを活用するなど、とにかく色んな方法を提案し食の安定供給をはかることが最優先です。調理をする際は缶詰やレトルト、冷凍食品でより簡単に作れるレシピを提案します(写真)。
(左)お粥+介護食品+ツナ缶、(右 下)南瓜ペースト、(右上)豆腐

(左)お粥+介護食品+ツナ缶、(右 下)南瓜ペースト、(右上)豆腐

 生活援助の回数を増やす方法もありますが、デイの休業や利用控えが進む中、そのしわ寄せを一身に受けているのがヘルパーです。
 簡単に増やせるほど人員は十分でないでしょう。しかも、何人ものヘルパーが入替わりで対応すると、ケアの内容や調理能力にバラツキが生じ、かえって本人のストレスになることもあるので注意が必要です。

 中村育子(福岡クリニック)

(シルバー産業新聞2020年5月10日号)

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