千田透の時代を読む視点

ケアマネ試験、受験者激減を検証せよ/千田透(連載66)

ケアマネ試験、受験者激減を検証せよ/千田透(連載66)

 2018年10月に実施された「第21回介護支援専門員実務研修受講試験」の受験者数、合格者数が、ともに大幅に減少している。具体的には、受験数が前年の13万1432人から4万9312人へと6割減に、合格者数が2万8233人から4990人へと8割減になっている。

 受験数を減らした大きな要因の一つが、受験要件の厳格化だ。これまでは、法定資格の保有者、相談援助業務の経験者に加え、「介護等の業務経験が5年または10年以上」など、介護業務従事者も受験できていたが、今回から介護業務従事者は受験資格から除外され、法定資格保有者と相談業務経験者に限定されることになった。このことが、受験者数の大幅な減少に影響しているのである。

 そもそも、受験資格を厳格化した理由は、地域包括ケアを実現していくために、サービスのコーディネートや関係職種との調整、医療サービスの適切な利用が重要になるからであり、そのためのケアマネジメントができる人材を選抜するためだが、今回の受験者数の激減という結果が、その目的を達するものになっているのか検証していく必要があるだろう。

 特に気になるのが受験要件を厳格化したにも関わらず、合格率が10.1%と過去最低になっていることだ。「質を高める」というこれまでの説明からすると、いささか矛盾を感じるし、何よりも将来の需給バランスがどうなるのかについて、きちんと検証していくべきである。

 なぜかと言うと、今回の受験者数の激減が、要件の厳格化だけでは説明しきれないからである。過去の試験結果を見ると、介護等業務者の割合は全体のおよそ1割に過ぎない。そこの門戸を閉ざしたところで、これほど受験者数が減少する理由にはならない。もっと根本的な部分でケアマネアジャーを志す人が減っているのである。それが何かと言えば、賃金面での魅力の低下ではないかと思っている。これまで処遇改善加算の対象になってこなかったことや、10月に予定されている消費増税に伴う新たな処遇改善においても、居宅介護支援は対象から外されている。この辺りがどのような影響を及ぼすのか、注視していく必要がある。

 個人的には、ケアマネジャーは介護保険制度のキーパーソンであり、優秀な人材を集めるためにも処遇改善を図っていくべきだと思っている。そのためには質の向上が欠かせない。そうした観点からも自己負担導入を真剣に検討する時期なのかもしれない。

 千田透(全国生活協同組合連合会 常務理事)

(シルバー産業新聞2019年2月10日号)

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