加島式アセスメントシートで学ぶ 根拠に基づく福祉用具の選定・提案

加島式アセスメントシートで学ぶ 根拠に基づく福祉用具の選定・提案

加島式アセスメントシートで学ぶ 根拠に基づく福祉用具の選定・提案

 LIFEをはじめ、科学的介護の実践が重要視されてきている中で、どれほどの根拠をもって福祉用具の選定や提案がされているでしょうか。福祉用具は、利用者や家族が望む「自分らしい生活」ができるように、本人・家族の状況や環境を踏まえて選定されます。
 今回、特殊寝台(マットレス含む)と車いす(クッション含む)の選定に必要と考えられる情報について、それぞれ1ページのアセスメントシートにまとめました。本連載では、このアセスメントシートに基づき、根拠に基づく選定のプロセスを解説したいと思います。

特殊寝台とマットレスのアセスメントシート

特殊寝台とマットレスのアセスメントシート

 まず基本情報として、氏名や性別、年齢、疾患名などの項目を設けています。主訴としての困りごとを聞き取りながら、特殊寝台とマットレスの使用目的を確認します。また、本人が慣れていたり好んでいる敷布団やマットレスの硬さと、福祉用具専門相談員が使用目的からみて適切な硬さをそれぞれ記入できます。

 特殊寝台の使用目的として、「起居動作の自立・介護負担軽減」が挙げられることが多いですが、中重度の要介護者の場合はベッド上で過ごす時間が長くなります。中重度者の使用目的をより明確にするため、使用目的の欄には▽安眠▽呼吸のしやすさ▽誤嚥性肺炎の予防――などもあらかじめ列記しています。もちろん軽度の人にとっても、安眠や寝心地の良さは重要な要素です。

 また中重度の場合、褥瘡リスクを踏まえずにマットレスの選定はできません。アセスメントシートでは、褥瘡リスクを測るツールとして比較的簡便なOHスケールを使用しています。サービス担当者会議などの場で、連携する看護師などに確認し、それぞれの褥瘡リスクにより適したマットレスを検討しましょう。ADLは▽起居▽移動▽移乗▽食事▽排泄――のそれぞれを確認し、必要な場合は使用目的に反映させましょう。

 そして、これらの項目を確認した上で初めて、どのような機能や仕様が求められるのかを考えることができます。「必要とされる機能・仕様」にチェックを入れてください。マットレスについては、OHスケールのリスクと対応した色付け(青、黄、赤)をしていますので参考にしてください。
 備考欄には、今後の方針などを記載されるとよいでしょう。必要な情報を抜け漏れなく確認し、どのような機能・仕様が必要なのかを検討することで、根拠をもった選定・提案を行うことができます。そのガイドツールとして、ぜひアセスメントシートを活用してみてください。

 次回以降は、車いすのアセスメントシートの紹介、事例に沿って各アセスメントシートの活用やポイントを解説していきます。

プロフィール

加島 守(かしま・まもる) 高齢者生活福祉研究所所長・理学療法士
 1980年医療ソーシャルワーカーとして勤務後、理学療法士資格取得。越谷市立病院、武蔵野市立高齢者総合センター補助器具センター勤務を経て2004年10月高齢者生活福祉研究所を設立し現職。著書に、「住宅改修アセスメントのすべて」(三和書籍)、「在宅介護ですぐに役立つ福祉用具の基礎知識」(シルバー産業新聞社)など。

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