介護保険と在宅介護のゆくえ

介護保険料算出ミスのツケを給付抑制にまわすな/服部万里子(連載87)

介護保険料算出ミスのツケを給付抑制にまわすな/服部万里子(連載87)

 厚生労働省の所管法人による第2号保険料の算出ミスで、介護保険財源が200億円不足するという事態は、1月に判明していたが、公表は3月で4月に対応策が示された。

 各健康保険組合は、①翌年度に不足分を納付する②予算における介護勘定の予備費の充当や準備金を活用し、年度内に納める――のどちらかを選択し申請することになった。

 40~64歳は介護保険の利用者全体の2%である。一方、98%は65歳以上で、4月以降じわじわと食料品の価格が上がり、10月からは消費税率がアップする中で、国民生活は逼迫してきている。

主任ケアマネいない事業所が4割超

 国は居宅介護支援事業所の18年改定後の実態を発表した。内容は()の通りであり、主任ケアマネジャーが管理者でなければ、21年度に居宅介護支援事業所は運営を継続できないため、日本介護支援専門員協会は経過措置の延長を提案している。

財務省の医療・介護費抑制策

 4月に財務省は、財政制度等審議会へ以下のような提案を示した。

 ①75歳以上の医療保険を1割負担から2割負担にする。②現役並み所得者の定義を見直して3割負担者を増やす。③年齢ではなく負担能力(所得や持ち家などの金融資産)に応じた負担に変更する。

 これらは、保険給付を減らし利用者負担を増やすような提案である。加えて介護保険は民間事業者にサービスの価格下げ競争を煽り、価格の異なる事業所をケアマネが利用者に複数提案するように義務化する案がだされた。

 介護保険の単価は国が決めるが、一律に切り下げることは認められている。価格下げ競争を民間に促し、単価の異なるサービスをケアマネから説明することを義務づけることで給付額を下げさせるものである。公定価格の妥当性を国が否定し、「安いことが良い」として、「人員や専門職の配置で質を上げ加算を付ける」という報酬の位置づけとは相反するもので、支離滅裂である。

 介護保険財源が200億円不足する事態に対し、このような給付削減によって国民にツケを回すようなことは許されない。今後の動向に注目していきたい。
 服部万里子(日本ケアマネジメント学会 理事)

シルバー産業新聞2019年6月10日号

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