介護保険と在宅介護のゆくえ

苦しい経営続く居宅介護支援事業所/服部万里子(連載86)

 今年4月以降、乳製品をはじめ多くの食料品などで値上げがあった。そのような中、5月からの改元に合わせて居宅介護支援事業所で使うソフトが改修された。介護保険の有効期間や請求関係は自動的に平成から令和に変更になったが、ケアプランの有効期間は手書きで変更しなければならず、元号変更に伴い、ソフトの費用負担と事務作業負担が増えた。

新元号で請求ソフト改変、業務激増

 10月からは消費税率アップで、介護保険請求ソフトが全面見直しになり、ソフト改変料がかかる。それに伴い、①ケアマネジャーの利用者ごとの限度額管理②各サービスごとの利用者契約書の見直し③特定処遇改善加算の事業所ごとの導入に伴う加算訂正等――と、半端でない業務負担増が予測される。金銭的にも業務的にも耐え難い負担増である。

 4月9日付の東京新聞1面で、給与が上がらないケアマネジャーの実例が紹介された。2015年から19年まで4年間給与はほとんど上がっていない。保険料負担は増え、手取り額は減少しているとの実態が報道された。昨年のケアマネジャーの受験者が前年より68%減少したが、ケアマネジャーが魅力ある仕事ではなくなってきている。

 介護保険の利用者支援の要と言われながら、18年改正後の居宅介護支援の調査でも、併設サービス無しが10.4%、管理者に主任ケアマネ無しが43.7%と、2年後の事業継続が困難になる事業所も少なくない。これでは介護保険の要が危うい。

レンタル1人単価減少を利用者増で対応

 厚生労働省の経営実態調査では、15年の史上最大のマイナス改正により、ほとんどの事業所の収支が悪化する中で、収支差率がアップしたのは国が拡大を進める小規模多機能や定期巡回サービス、看護小規模多機能だった。

 これらは、国が訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイなどいくつかのサービスを、1つの事業所がまとめて提供する形にし、報酬は介護度別に一律の「上限設定サービス」へと変更しようとしている中で、報酬や事業開始時の補助金などで誘導を図っていることも一因だ。

 そのような中、16年度決算で唯一黒字が増えたのが、福祉用具貸与だ。公定価格でないために報酬が下げられなかったのである。
 それが18年10月から、レンタル価格の上限設定を導入したことで、利用者1人あたりの単価が前年より減少した。
 しかし、要支援者の4割、要介護者の6割が利用していたレンタルは、居宅サービス利用者で要支援者が減少する一方で、利用者が増えて総収益を確保しているのである。そこには福祉用具専門相談員の努力がある。
 ケアマネジャーには、独居者や認知症者が増えて医療ニーズも高まる中で、市町村の医療.介護連携を強化し、利用者の居宅生活の総合的支援にその力を発揮することが、これまで以上に求められている。
服部万里子(日本ケアマネジメント学会 理事)

(シルバー産業新聞2019年5月10日号)

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