介護報酬単価

看護小規模多機能型居宅介護 2021年度介護報酬改定 留意事項

看護小規模多機能型居宅介護 2021年度介護報酬改定 留意事項

(1)常勤(換算)の取扱い
(2)業務継続計画の策定
(3)感染対策
(4)虐待の防止
(5)自己評価・外部評価
(6)認知症行動・心理症状緊急対応加算
(7)栄養アセスメント加算
(8)栄養改善加算について
(9)口腔・栄養スクリーニング加算
(10)口腔機能向上加算
(11)褥瘡マネジメント加算
(12)排せつ支援加算
(13)科学的介護推進体制加算

常勤(換算)の取扱い

 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」第13条第1項に規定する措置(以下、「母性健康管理措置」)または育児・介護休業法第23条第1項、同条第3項または同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置(育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。

 また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法第65条に規定する休業(産前産後休業)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業、同条第2号に規定する介護休業、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置または同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(育児休業に準ずる休業)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。

業務継続計画の策定

 業務継続計画の策定、研修、訓練の実施は、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修、訓練の実施は、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とする。

 業務継続計画には、以下の項目等を記載する。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」および「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。

イ 感染症に係る業務継続計画
 a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
 b 初動対応
 c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、 関係者との情報共有等)

ロ 災害に係る業務継続計画
 a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
 b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
 c 他施設、地域との連携

 研修の内容は、感染症および災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。 職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修は、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施できる。

 訓練(シミュレーション)は、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施する。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。 訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上および実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。

感染対策

 感染症が発生、またはまん延しないように講ずべき措置は、具体的には次のイからハまでの取扱いとする。各事項について、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。なお当該義務付けの適用は、3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とされている。

イ 感染対策委員会
 構成メンバーの責任および役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策担当者を決めておくことが必要。感染対策委員会は、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する。
 
 なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。

ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
 「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策および発生時の対応を規定する。平常時の対策は、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応は、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要。 なお、それぞれの項目の記載内容の例は、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。

ハ 感染症の予防、まん延の防止のための研修・訓練
 研修の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行う。職員教育を組織的に浸透させていくには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容も記録が必要。なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。

 また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要。訓練は、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針および研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施する。 訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上および実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切。

虐待の防止

 次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じる。

・虐待の未然防止
 高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、第3条の一般原則に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が
高齢者虐待防止法等に規定する養介護事業の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。

・虐待等の早期発見
 従業者は、虐待等またはセルフ・ネグレクト等の虐待に準ずる事案を発見しやすい立場にあることから、これらを早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、市町村の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、利用者及びその家族からの虐待等に係る相談、利用者から市町村への虐待の届出について、適切な対応をすること。

・虐待等への迅速かつ適切な対応
 虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、事業者は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、市町村等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努める。

 以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施する。なお、当該義務付けの適用は3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とされている。

① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
 「虐待の防止のための対策を検討する委員会」(以下「虐待防止検討委員会」)は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、施設外の虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。

 一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。

 なお、虐待防止検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営してもよい。また、施設に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行ってもよい。また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

 虐待防止検討委員会は、具体的には、次の事項について検討する。その際、そこで得た結果(施設における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
イ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関すること
ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
ホ 従業者が虐待等を把握した場合に、市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること

②虐待の防止のための指針(第2号)
次のような項目を盛り込む。
イ 施設における虐待の防止に関する基本的考え方
ロ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ハ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
ホ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
ヘ 成年後見制度の利用支援に関する事項
ト 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
チ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
リ その他虐待の防止の推進のために必要な事項

③虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
 虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、指針に基づき、虐待の防止の徹底を行う。

 職員教育を組織的に徹底させていくためには、指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。

 また、研修の実施内容についても記録する。研修の実施は、施設内職員研修での研修で差し支えない。

④虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)
 虐待を防止するための体制として、①~③を適切に実施するため、専任の担当者を置く。当該担当者は虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。

自己評価・外部評価

 看護小規模多機能型居宅介護の特性に沿った自己評価および外部評価の在り方については、2020年度老人保健健康増進等事業「看護小規模多機能型居宅介護事業所及び療養通所介護事業所の業務負担軽減に関する事業」(公益財団法人日本訪問看護財団)を参考に行う。

認知症行動・心理症状緊急対応加算

・「認知症の行動・心理症状」とは、認知症による認知機能の障害に伴う、妄想・幻覚・興奮・暴言等の症状を指す。

・本加算は、利用者に「認知症の行動・心理症状」が認められ、緊急に短期利用(短期利用居宅介護費)が必要であると医師が判断した場合であって、ケアマネジャー、受け入れ事業所の職員と連携し、利用者または家族の同意の上、短期利用(短期利用居宅介護費)を開始した場合に算定できる。医師が判断した当該日またはその次の日に利用を開始した場合に限り算定できる。この際、短期利用(短期利用居宅介護費)ではなく、医療機関における対応が必要であると判断される場合は、速やかに適当な医療機関の紹介、情報提供を行うことにより、適切な医療が受けられるように取り計らう必要がある。

・次に掲げる者が、直接、短期利用(短期利用居宅介護費)を開始した場合には、当該加算は算定できない。
 a 病院または診療所に入院中
 b 介護保険施設または地域密着型介護老人福祉施設に入院中または入所中
 c 認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、特定施設入居者生活介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護、短期利用認知症対応型共同生活介護、短期利用特定施設入居者生活介護および地域密着型短期利用特定施設入居者生活介護を利用中

・判断を行った医師は診療録等に症状、判断の内容等を記録しておくこと。また、事業所も判断を行った医師名、日付および利用開始にあたり留意事項等を介護サービス計画書に記録しておく。

・7日を限度として算定することとあるのは、本加算が「認知症の行動・心理症状」が認められる利用者を受け入れる際の初期の手間を評価したものであるためであり、利用開始後8日目以降の短期利用(短期利用居宅介護費)の継続を妨げるものではない。

栄養アセスメント加算

・栄養アセスメントは、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意する。

・栄養アセスメントは3月に1回以上、イからニまでに掲げる手順により行う。あわせて、利用者の体重については、1月毎に測定すること。

イ 利用者ごとの低栄養状態のリスクを、利用開始時に把握する。
ロ 管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者ごとの摂食・嚥下機能および食形態にも配慮しつつ、解決すべき栄養管理上の課題の把握を行うこと。
ハ イ・ロの結果を利用者、または家族に対して説明し、必要に応じ解決すべき栄養管理上の課題に応じた栄養食事相談、情報提供等を行う。
ニ 低栄養状態にある利用者、またはそのおそれのある利用者は、ケアマネジャーと情報共有を行い、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供を検討するように依頼する。

・厚生労働省への情報の提出は、LIFEを用いて行う。LIFEへの提出情報、提出頻度等は、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照されたい。サービスの質の向上を図るため、LIFEへの提出情報およびフィードバック情報を活用し、利用者の状態に応じた栄養管理の内容の決定(Plan)、決定に基づく支援の提供(Do)、支援内容の評価(Check)、その評価結果を踏まえた栄養管理の内容の見直し・改善(Action)の一連のサイクル(PDCAサイクル)により、サービスの質の管理を行う。

栄養改善加算

 栄養改善サービスの提供にあたり、居宅における食事の状況を聞き取った結果、課題がある場合は解決するため、利用者または家族の同意を得て、利用者の居宅を訪問し、居宅での食事状況・食事環境等の具体的な課題の把握や、主として食事の準備をする者に対する栄養食事相談等の栄養改善サービスを提供する。

口腔・栄養スクリーニング加算

・口腔スクリーニング、栄養スクリーニングは、利用者に対して、原則として一体的に実施する。ただし、大臣基準第19号の2ロに規定する場合は、口腔または栄養スクリーニングの一方のみを行い、加算(Ⅱ)を算定できる。

・口腔スクリーニングは、利用者について、それぞれ次に掲げる確認を行い、確認した情報をケアマネジャーに対し、提供する。
 a 硬いものを避け、柔らかいものばかりを中心に食べる者
 b 入れ歯を使っている者
 c むせやすい者

口腔機能向上加算

 厚生労働省への情報の提出は、LIFEを用いて行う。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照されたい。サービスの質の向上を図るため、LIFEへの提出情報およびフィードバック情報を活用し、利用者の状態に応じた口腔機能改善管理指導計画の作成(Plan)、当該計画に基づく支援の提供(Do)、当該支援内容の評価(Check)、その評価結果を踏まえた当該計画の見直し・改善(Action)の一連のサイクル(PDCAサイクル)により、サービスの質の管理を行うこと。

褥瘡マネジメント加算

・加算(Ⅰ)は原則として要介護3以上の利用者全員(加算(Ⅱ)を算定する者を除く)に対して算定できる。

・褥瘡の評価は、別紙様式5を用いて、褥瘡の状態および褥瘡の発生と関連のあるリスクについて実施する。

・利用開始時の評価は、市町村長に届け出た月および当該月以降の新規利用者については、当該者の利用開始時に評価を行うこととし、届出月の前月において既に利用している者については、介護記録等に基づき、利用開始時における評価を行う。

・評価結果等の情報の提出については、LIFEを用いて行うこととする。LIFEへの提出情報、提出頻度等は「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照。提出

・褥瘡ケア計画は、褥瘡管理に対する各種ガイドラインを参考にしながら、利用者ごとに、褥瘡管理に関する事項に対し関連職種が共同して取り組むべき事項や、利用者の状態を考慮した評価を行う間隔等を検討し、別紙様式5を用いて、作成する。なお、褥瘡ケア計画に相当する内容を居宅サービス計画の中に記載する場合は、その記載をもって褥瘡ケア計画の作成に代えることができるが、下線または枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにする。

・褥瘡ケア計画に基づいたケアを実施する際は、褥瘡ケア・マネジメントの対象となる利用者またはその家族に説明し、同意を得る。

・褥瘡ケア計画の見直しは、褥瘡ケア計画に実施上の問題(褥瘡管理の変更の必要性、関連職種が共同して取り組むべき事項の見直しの必要性等)があれば直ちに実施すること。その際、PDCAの推進および褥瘡管理に係る質の向上を図る観点から、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用する。

・加算(Ⅱ)は、加算(Ⅰ)の算定要件を満たす事業所において、評価の結果、利用開始時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた利用者について、利用開始月の翌月以降に別紙様式5を用いて評価を実施し、当該月に別紙様式5に示す持続する発赤(d1)以上の褥瘡の発症がない場合に算定できる。ただし、利用開始時に褥瘡があった利用者については、当該褥瘡の治癒後に、褥瘡の再発がない場合に算定できる。

・褥瘡管理にあたっては、事業所ごとに当該マネジメントの実施に必要な褥瘡管理に係るマニュアルを整備し、当該マニュアルに基づき実施することが望ましい。

排せつ支援加算

・加算(Ⅰ)は、原則として要介護3以上の利用者全員(加算(Ⅱ)・(Ⅲ)を算定する者を除く)に対して算定できる。

・例えば、利用開始時において、利用者が尿意・便意を職員へ訴えることができるにもかかわらず、職員が適時に排せつを介助できるとは限らないことを主たる理由としておむつへの排せつとしていた場合、支援を行って排せつの状態を改善させたとしても加算の対象とはならない。

・排せつ状態の評価は、別紙様式6を用いて、排尿・排便の状態およびおむつ使用の有無ならびに特別な支援が行われた場合におけるそれらの3カ月後の見込みについて実施する。

・利用開始時の評価は、市町村長に届け出た月および当該月以降の新規利用者については、当該者の利用開始時に評価を行い、届出月の前月以前から既に利用している者については、介護記録等に基づき、利用開始時における評価を行う。

・評価を医師と連携した看護師が行った場合は、その内容を支援の開始前に医師へ報告する。また、医師と連携した看護師が評価を行う際、利用者の背景疾患の状況を勘案する必要がある場合等は、医師へ相談する。

・評価結果等の情報の提出は、LIFEを用いて行うこととする。LIFEへの提出情報、提出頻度等は、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照。ただし、経過措置として、2021年度中にLIFEを用いた情報の提出を開始する予定の事業所については、2021年度末までに算定月における全利用者に係る評価結果等を提出することを前提とした、評価結果等の提出に係る計画を策定することで、当該月にLIFEを用いた情報提出を行っていない場合も、算定を認める。

・「排せつに介護を要する利用者」とは、要介護認定調査の際に用いられる「認定調査員テキスト2009改訂版」の方法を用いて、排尿または排便の状態が、「一部介助」もしくは「全介助」と評価される者またはおむつを使用している者をいう。

・「適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる」とは、特別な支援を行わなかった場合には、当該排尿もしくは排便またはおむつ使用にかかる状態の評価が不変または低下となることが見込まれるものの、適切な対応を行った場合には、排尿または排便の状態の少なくとも一方が改善またはおむつ使用ありから使用なしに改善すること、あるいは、排尿または排便の状態の少なくとも一方が改善し、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善することが見込
まれることをいう。

・支援に先立って、失禁に対する各種ガイドラインを参考にしながら、対象者が排せつに介護を要する要因を多職種が共同して分析し、それに基づいて、別紙様式6の様式を用いて支援計画を作成する。要因分析および支援計画の作成に関わる職種は、排せつ状態の評価を行った医師または看護師、ケアマネジャー、および支援対象の利用者の特性を把握している介護職員を含むものとし、その他、疾患、使用している薬剤、食生活、生活機能の状態等に応じ薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士等を適宜加える。なお、支援計画に相当する内容を居宅サービス計画の中に記載する場合は、その記載をもって支援計画の作成に代えることができるものとするが、下線または枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにする。

・支援計画の作成にあたっては、要因分析の結果と整合性が取れた計画を、個々の利用者の特性に配慮しながら個別に作成することとし、画一的な支援計画とならないよう留意する。また、支援において利用者の尊厳が十分保持されるよう留意する。

・当該支援計画の実施にあたっては、計画の作成に関与した者が、利用者およびその家族に対し、排せつの状態および今後の見込み、支援の必要性、要因分析ならびに支援計画の内容、当該支援は利用者およびその家族がこれらの説明を理解した上で支援の実施を希望する場合に行うものであること、および支援開始後であってもいつでも利用者およびその家族の希望に応じて支援計画を中断または中止できることを説明し、利用者およびその家族の理解と希望を確認した上で行うこと。

・支援計画の見直しは、支援計画に実施上の問題(排せつ支援計画の変更の必要性、関連職種が共同して取り組むべき事項の見直しの必要性等)があれば直ちに実施する。その際、PDCAの推進および排せつ支援の質の向上を図る観点から、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用する。

・他の事業所が提供する排せつ支援に係るリハビリテーションを併用している利用者に対して、看護小規模多機能型居宅介護事業所が当該他の事業所と連携して排せつ支援を行っていない場合は、当該利用者を加算(Ⅱ)または(Ⅲ)の対象に含めることはできない。

科学的介護推進体制加算

①原則として利用者全員を対象として要件を満たした場合に、利用者全員に対して算定できる。

②情報の提出は、LIFEを用いて行う。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照されたい。

③事業所は、利用者に提供するサービスの質を常に向上させていくため、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)により、質の高いサービスを実施する体制を構築するとともに、その更なる向上に努めることが重要であり、具体的には、次のような一連の取組が求められる。したがって、情報を厚生労働省に提出するだけでは、本加算の算定対象とはならない。

イ 利用者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するためのサービス計画を作成する(Plan)。

ロ サービスの提供にあたっては、サービス計画に基づいて、利用者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)

ハ LIFEへの提出情報およびフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、事業所の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)

ニ 検証結果に基づき、利用者のサービス計画を適切に見直し、事業所全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)

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