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10月から新しいケアプラン検証開始 「限度額7割」& 「訪問介護6割」の事業所抽出

10月から新しいケアプラン検証開始 「限度額7割」& 「訪問介護6割」の事業所抽出

 10月より、ケアプラン検証の新しい仕組みが導入される。「区分支給限度基準額の利用割合が7割以上で、利用サービスの6割以上が訪問介護」の基準に該当する居宅介護支援事業所は、市町村が求める場合には訪問介護が必要な理由の記載や市町村へのプランの届出などが必要になる。7月28日開催の介護給付費分科会で事務局より報告された。

 2021年度の介護報酬改定では、新しいケアプランの検証方法として、訪問介護の利用制限にはつながらない効率的な仕組みが求められているとし、「区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占める等のケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組みを導入する」こととされていた。
 
 今回、居宅介護支援事業所ごとにみて「区分支給限度基準額の利用割合が7割以上」かつ「その利用サービスの6割以上が訪問介護」が具体的な基準として示された(図)。現在、告示案として8月18日までパブリックコメントを実施している。

プラン単位ではなく、事業所全体の割合で抽出

 同じく市町村へのプラン届出を求める「一定回数以上の生活援助を位置付けたプラン」と異なるのは、個別のプラン単位ではなく、事業所全体でみる点。つまり「事業所の全利用者の区分支給限度基準額の総額に対して、全利用者のサービス費用の総額が7割以上」かつ「そのサービス費用の総額に対して、訪問介護費の総額が6割以上」の事業所を抽出することになる。

 今後、市町村は国保連を通じて、この基準に該当する管内の事業所を把握できるようになる。基準に該当した事業所は、市町村から求められた場合、利用の妥当性を検討し、ケアプランに訪問介護が必要な理由などを記載するとともに、市町村に届けなければならない。ただし、厚労省は「プラン全てに理由の記載や届出を求めるわけではない」と説明。あくまで市町村から求められた利用者のプランのみに対応が必要になるものとしている。

 同省によると、この基準に該当する居宅介護支援事業所は全体の3%。全国で1000超の事業所が対象となる計算だ。報告を受けた分科会の委員らからは、「利用者や地域それぞれの実情もある。基準に該当しているから『悪い事業所』と誤解されないようにすべき」などの意見が挙がった。これに対し、同省は「該当したから悪いという訳では全くない。より利用者の意向や状態像にあった訪問介護の提供に繋げることができないかを検証するのが目的だ」と回答している。

 また今回の改定では、同一のサ高住等の居住者のケアプランについても、「区分支給限度基準額が高い者が多い場合に、併設事業所の特定を行いつつ、当該ケアプランを作成する居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証を行う」とされていた。こちらは、告示のように法的な位置づけにはしないが、保険者向けに点検・検証を行うための基準を何らかの形で示す予定だという。

 また「一定回数以上の生活援助を位置付けたプラン」は、ケアマネジャーや市町村の事務負担にも配慮して今改定で緩和がされている。これまで毎月だった届出の頻度を、市町村や地域ケア会議で検証を行ったプランについて次の届出は1年後とした。プラン検証する場も行政職員やリハビリテーション専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議等でも構わないとされている。

 ケアプラン関連ではこのほかにも、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与の3サービスを位置づけているプランの割合について、利用者に説明し、介護サービス情報公表システムで公開することが今改定で義務付けられており、ケアマネジャーには新たな業務負担が加わっている。

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