介護報酬単価

【2021年度介護報酬改定】ADL維持等加算のまとめ

【2021年度介護報酬改定】ADL維持等加算のまとめ

 2021年度介護報酬改定で見直された「ADL維持等加算」の算定要件、留意事項、Q&Aをまとめた。

対象サービス

通所介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型通所介護、介護老人福祉施設(いずれも地域密着型を含む)

単価と算定要件

ADL維持等加算(Ⅰ) 30単位/月

①利用者(評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上であること。

②利用者全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、バーセルインデックス(以下、BI)を適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること。

③利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位および下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が1以上。

ADL維持等加算(Ⅱ) 60単位/月

①ADL維持等加算(Ⅰ)の①と②の要件を満たすこと。

②評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が2以上。

算定の留意事項

・ADLの評価は、一定の研修を受けた者によりBIを用いて行う。

・厚生労働省へのADL値の提出は、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いて行う。

・ADL利得は、評価対象利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から、評価対象利用開始月に測定したADL値を控除して得た値に、下表の左欄に掲げる者に係る同表の中欄の評価対象利用開始月に測定したADL値に応じて、それぞれ同表の右欄に掲げる値を加えた値を平均して得た値とする。
・ADL利得の平均を計算するにあたり対象とする者は、ADL利得の多い順に上位と下位10%に相当する利用者(その数に1未満の端数が生じたときは切り捨て)を除く利用者(以下「評価対象利用者」)とする。

・他の施設や事業所が提供するリハビリテーションを併用している利用者は、リハビリテーションを提供している当該他の施設や事業所と連携してサービスを実施している場合に限り、ADL利得の評価対象利用者に含める。

・2021年度の評価対象期間は、加算算定の開始月の前年同月から12月後までの1年間とする。ただし、2021年4月1日までに算定基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行う場合は、(a)(b)のいずれかの期間を評価対象期間とすることができる。
(a)2020年4月~21年3月までの期間 
(b)2020年1月~12月までの期間

・2022年度以降に加算を算定する場合で、加算取得月の前年同月に、基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出ている場合は、届出日から12月後までの期間を評価対象期間とする。

ADL維持等加算(Ⅲ)について(通所介護のみ)

ADL維持等加算(Ⅲ) 3単位/月

2021年3月31日において、2021年度介護報酬改定前のADL維持等加算に係る届け出を行っている事業所で、(Ⅰ)(Ⅱ)の届け出を行っていないものは、2023年3月31日までの間はADL維持等加算(Ⅲ)を算定することができる。この場合の算定要件等は、2021年度介護報酬改定前のADL維持等加算(Ⅰ)の要件。

Q&A

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問19

科学的介護推進体制加算、ADL維持等加算(Ⅰ)もしくは(Ⅱ)、自立支援促進加算、個別機能訓練加算(Ⅱ)、リハビリテーションマネジメント加算(A)ロもしくは(B)ロ、リハビリテーションマネジメント計画書情報加算、または理学療法もしくは作業療法および言語聴覚療法に係る加算において、BIのデータ提出に際して、老人保健健康増進等事業において一定の読み替え精度について検証されているICFステージングから読み替えたものを提出してもよいか。

(答)
BIの提出については、通常、BIを評価する場合に相当する読み替え精度が内容の妥当性を含め客観的に検証された指標について、測定者が、
- BIに係る研修を受け、
- BIへの読み替え規則を理解し、
- 読み替え精度等を踏まえ、必要に応じて、読み替えの際に、正確なBIを別途評価する等の対応を行い、提出することが必要である。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問34
LIFEを用いたBIの提出は、合計値でよいのか。

(答)
2021年度にADL維持等加算を算定する場合に、LIFEを用いて提出するBIは合計値でよいが、2022年度以降にADL維持等加算を算定することを目的として、BIを提出する場合は、項目ごとの値を提出する必要がある。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問35
事業所、または施設において、評価対象利用期間が6月を超えるとは、どのような意味か。

(答)
サービスの利用に当たり、6月以上のサービス提供に係る計画を策定し、支援を行っていた場合において、計画期間の途中で当該サービスを利用していない月があったとしても、当該月を除いて6月以上利用していれば評価対象者に含まれる。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問36
これまでADL維持等加算を算定していなかった事業所、または施設が、2021年度、または2022年度に新たに算定をしようとする場合の届出は、どのように行うのか。

(答)
・2021年度に加算の算定を開始しようとする場合は、算定を開始しようとする月の前月までに、介護給付費算定に係る体制等状況一覧表の「ADL維持等加算[申出]の有無」について、「2 あり」と届出を行う必要がある。加えて、加算の算定を開始しようとする月の末日までに、LIFE上でADL利得に係る基準を満たすことを確認し、加算の請求届出を行うこと。

・2022年度以降に加算の算定を開始しようとする場合は、算定を開始しようとする月の前年同月に、介護給付費算定に係る体制等状況一覧表の「ADL維持等加算[申出]の有無」について、「2 あり」と届出を行う必要がある。加えて、加算の算定を開始しようとする月の末日までに、LIFE上でADL利得に係る基準を満たすことを確認し、加算の請求届出を行うこと。

・なお、「ADL維持等加算[申出]の有無」について、「2 あり」と届け出たが、LIFEでの確認の結果、ADL利得に係る基準を満たさなかった場合に、今後、ADL維持等加算を算定する意思がなければ、「ADL維持等加算[申出]の有無」について、届出を「1 なし」に変更すること。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問37
これまでは、初めてADL維持等加算を算定しようとする事業所は、前年度に「ADL維持等加算[申出]の有無」の届出を指定権者に届け出る必要があったが、これに変更はあるのか。

(答)
2021年度については、算定を開始しようとする月の前月までに申出を行うこと。2022年度以降に算定を開始しようとする場合は、当該算定を開始しようとする月の前年同月に届出を行うこと。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問38
これまでADL維持等加算の算定事業所は、国保連合会からの審査結果を踏まえて決定されていたが、このフローはどうなるのか。

(答)
各事業者がLIFEを用いてADL利得が基準を満たすかどうかを確認するため、従来のような国保連合会からの審査結果は送付されない。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問39
これまでは評価対象利用開始月と、当該月から起算して6月目の値で評価していたが、今回の改正で評価対象利用開始月の翌月から起算して6月目となったのは、後の月が1月ずれたということか。

(答)
貴見のとおり。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問40
2020年度のADL値を遡って入力する際に、過去分のADL値については評価者がリハビリ担当者や介護職であり、一定の研修を受けていないが問題ないか。

(答)
2020年度分のADL値については、適切に評価されていると事業所、または施設が考える値であれば問題ない。2021年度以降のADL値は、一定の研修を受けた者が測定するものとする。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問41
同一施設内で予防サービスも行っている。要支援から要介護になった方の評価期間はどうなるのか。

(答)
要支援から要介護になった方については、要介護になった初月が評価対象利用開始月となる。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問42
指定権者で「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表(居宅サービス・施設サービス・居宅介護支援)」をどのように記載すればよいか。

(答)
ADL維持等加算(Ⅰ)、または(Ⅱ)を算定しようとする事業所、または施設は、介護給付費算定に係る体制等状況一覧表の「ADL維持等加算〔申出〕の有無」を「2 あり」、「ADL維持等加算Ⅲ」を「1 なし」とする。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.3 問43
2022年度もADL維持等加算(Ⅲ)の算定を予定している事業所は、介護給付費算定に係る体制等状況一覧表の「ADL維持等加算〔申出〕の有無」が「2 あり」、「ADL維持等加算Ⅲ」が「2 あり」という記載することで良いか。

(答)
貴見のとおり。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.5 問5
ADLの評価は、一定の研修を受けた者により、BIを用いて行うとあるが、「一定の研修」とはなにか。
(答)
・ 一定の研修とは、様々な主体によって実施されるBIの測定方法に係る研修を受講することや、厚生労働省において作成予定のBIに関するマニュアル(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html)およびBIの測定についての動画等を用いて、BIの測定方法を学習することなどが考えられる。

・ また、事業所は、BIによる評価を行う職員を、外部・内部の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士から指導を受ける研修に定期的に参加させ、その参加履歴を管理することなどによりBIの測定について、適切な質の管理を図る必要がある。加えて、これまでBIによる評価を実施したことがない職員が、はじめて評価を行う場合には、理学療法士等の同席の下で実施する等の対応を行わねばならない。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.6 問3
2021年度介護報酬改定により、ADL値の測定時期は「評価対象利用開始月と当該月の翌月から起算して6月目」となったが、2021年度にADL維持等加算(Ⅰ)、または(Ⅱ)を算定しようとする場合にも、ADL値の測定時期は改定後の基準に従うのか。

(答)
2021年度にADL維持等加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定する場合、2021年4月1日までに体制届出を行っている場合には、評価対象利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値を、評価対象利用開始月から起算して6月目の月に測定したADL値を持って代替することとして差し支えない。

2021年度介護報酬改定に関するQ&AVol.9 問1
2021年4月よりADL維持等加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の算定を予定していたが、5月10日までにLIFEに2020年度のデータを提出できず、LIFEを用いて加算の算定基準を満たすかどうかを確認できないが、どのように算定することが可能か。

(答)
・2021年4月よりADL維持等加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の算定を検討しているものの、やむを得ない事情により、5月 10 日までにLIFEへのデータ提出、算定基準を満たすことの確認が間に合わない場合、以下の①または②により、4月サービス提供分の本加算を算定することができる。

なお、データ提出が遅れる場合、
①各事業所において、LIFE以外の手法で加算の算定基準を満たすか確認し、その結果に基づいて本加算を算定すること。この場合であっても、速やかに、LIFEへのデータ提出を行い、LIFEを用いて加算の算定基準を満たしているか確認を行うこと。

②5月10日以降に、LIFEへのデータ提出及びLIFEを用いて算定基準を満たすことを確認し、
▽月遅れ請求とし請求明細書を提出すること
または
▽保険者に対して過誤調整の申し立てを行い(4月サービス提供分の他の加算や基本報酬にかかる請求は通常通り実施)、本取扱いによる加算分を含めて請求明細書を提出すること等の取り扱いを行うこと。

・なお、このような請求の取扱いについて、利用者から事前の同意を得る必要がある。

・また、2021年5月分および6月分も、やむを得ない事情がある場合は、同様の対応が可能である。

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