介護報酬単価

2021年度介護報酬改定の概要(短期入所生活介護)

2021年度介護報酬改定の概要(短期入所生活介護)

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が12月23日にとりまとめた「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」より、各サービスの改定ポイントをまとめた。「審議報告」は次期改定の骨子にあたる。これに基づき、厚労省がより具体的な制度設計に着手する。新報酬などは、同省より1月~2月に公表される予定だ(1月18日に公表されました。下の赤い記事リンク「【速報】21年度介護報酬単価はこちら」より、記事がご覧いただけます)

個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直し

 施設系サービス、短期入所系サービスにおける個室ユニット型施設について、ケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着を目指し、ユニットケアを推進する観点から、以下の見直しを行う。

 ①1ユニットの定員を、夜間及び深夜を含めた介護・看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するよう努めることを求めつつ、現行の「おおむね10人以下」から「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないもの」とする。
 ②ユニットリーダーについて、原則常勤を維持しつつ、仕事と育児や介護との両立が可能となる環境整備を進め、離職防止・定着促進を図る観点から、人員配置基準や報酬算定について、両立支援への配慮に係る見直しを行う。
 ③ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室)について、感染症やプライバシーに配慮し、個室化を進める観点から、新たに設置することを禁止する。

看護職員の配置基準の見直し

 ①看護職員の配置が必須ではない単独型及び併設型かつ定員19人以下の事業所について、看護職員を配置しなかった場合でも、利用者の状態像に応じて必要がある場合には、看護職員を病院、診療所または訪看ステーション等との密接かつ適切な連携により確保すること(この連携により、看護職員が必要に応じてサービス提供日ごとに利用者の健康状態の確認を行うこと、当該事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保すること)を求める。
 ②看護職員の常勤1人以上の配置が求められている併設型かつ定員20人以上の事業所について、単独型及び併設型かつ定員19人以下の事業所と同様の人員配置基準とする。

基準費用額の見直し

 介護保険施設での食費の基準費用額について、「令和2年度介護事業経営実態調査結果」から算出した介護保険施設の食費の平均的な費用の額との差の状況を踏まえ、利用者負担への影響も勘案しつつ、必要な対応を行う。

災害への地域と連携した対応の強化

 災害への対応は、地域との連携が不可欠であることを踏まえ、非常災害対策(計画策定、関係機関との連携体制の確保、避難等訓練の実施等)が求められる介護サービス事業者を対象に、小規模多機能等の例を参考に、訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならないこととする。

認知症専門ケア加算等の見直し

 算定要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修<同加算(Ⅰ)は認知症介護実践リーダー研修、同加算(Ⅱ)は認知症介護指導者養成研修、認知症加算は認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修>を修了した者の配置について認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。なお、上記の専門研修については、eラーニングの活用など受講しやすい環境整備を行う。

見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算等の見直し

 夜勤職員配置加算について、以下のとおり見直す。

 ①見守り機器を導入した場合の夜勤職員配置加算(夜勤を行う介護職員または看護職員の数が「最低基準を 0.9 以上上回っている場合」)について、見守りセンサーの入所者に占める導入割合の基準を15%から10%に緩和する。

 ②全ての入所者について見守りセンサーを導入し、夜勤職員全員がインカム等のICTを使用するとともに、職員の負担軽減や職員毎の効率化のばらつきに配慮し、安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減を要件として、「最低基準を0.6以上(後述の人員配置基準の緩和が適用される場合は0.8以上)上回っている場合」に算定できる新たな区分を設ける。

 ③②の加算の申請にあたっては、▽利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担を軽減するための委員会の設置▽職員に対する十分な休憩時間の確保等の勤務・雇用条件への配慮▽機器の不具合の定期チェックの実施(メーカーとの連携を含む)▽職員に対するテクノロジー活用に関する教育の実施▽夜間の訪室が必要な利用者に対する訪室の個別実施――を具体的要件とし、テクノロジー導入後これらを少なくとも3カ月以上試行し、現場職員の意見が適切に反映できるよう、夜勤職員をはじめ実際にケア等を行う多職種の職員が参画する委員会において安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減が図られていることを確認した上で届け出るものとする。

見守り機器を導入した場合の夜間における人員配置基準の緩和

 全ての入所者について見守りセンサーを導入し、夜勤職員全員がインカム等のICTを使用するとともに、職員の負担軽減や職員毎の効率化のばらつきに配慮し、委員会の設置や職員に対する十分な休憩時間の確保等を含めた安全体制等の確保を行っていることを要件として、介護老人福祉施設(従来型に限る)の利用定員26人以上の場合の夜間の配置基準を緩和する。

 具体的には、1日あたりの配置人員数として、以下の通り緩和する。
利用者の数が26人以上60人以下の場合  (現行)2人以上→1.6人以上
利用者の数が61人以上80人以下の場合  (現行)3人以上→ 2.4人以上
利用者の数が81人以上100人以下の場合 (現行)4人以上→3.2人以上
利用者の数が101人以上の場合
(現行)「4に、利用者の数が100を超えて25またはその端数を増すごとに1以上」→「3.2 に、利用者の数が100を超えて25またはその端数を増すごとに0.8 を加えて得た数以上」
 
 ただし、常時1人以上配置(利用者の数が61人以上の場合は常時2人以上配置)するものとする。

 人員配置基準の緩和の申請にあたっては、▽利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担を軽減するための委員会の設置▽職員に対する十分な休憩時間の確保等の勤務・雇用条件への配慮▽緊急時の体制整備(近隣在住職員を中心とした緊急参集要員の確保等)▽機器の不具合の定期チェックの実施(メーカーとの連携を含む)▽職員に対するテクノロジー活用に関する教育の実施▽夜間の訪室が必要な利用者に対する訪室の個別実施を具体的要件とし、テクノロジー導入後これらを少なくとも3カ月以上試行し、現場職員の意見が適切に反映できるよう、夜勤職員をはじめ実際にケア等を行う多職種の職員が参画する委員会において安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減が図られていることを確認した上で届け出るものとする。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的な推進

 リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、以下の見直しを行う。
 
 ①リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、リハ専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化する。
 
 ②リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリ計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理するとともに、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式を設ける。

サービス提供体制強化加算の見直し

 ①より介護福祉士の割合が高い、または勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。

 ②勤続年数要件について、より長い勤続年数の設定に見直すとともに、介護福祉士割合要件の下位区分、常勤職員割合要件による区分、勤続年数要件による区分を統合し、いずれかを満たすことを求める新区分を設定する。

生活機能向上連携加算の見直し

 ①訪問介護等における同加算と同様に、ICTの活用等により、外部のリハ専門職等が当該サービス事業所を訪問せずに、利用者の状態を把握し助言した場合に評価する区分を新たに設ける。

 ②外部リハ専門職等の連携先を見つけやすくするため、算定要件上連携先となり得る訪問・通所リハ事業所が任意で情報を公表するなどの取組を進める。

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