介護報酬単価

2021年度介護報酬改定の概要(介護老人保健施設)

2021年度介護報酬改定の概要(介護老人保健施設)

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が12月23日にとりまとめた「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」より、各サービスの改定ポイントをまとめた。「審議報告」は次期改定の骨子にあたる。これに基づき、厚労省がより具体的な制度設計に着手する。新報酬などは、同省より1月~2月に公表される予定だ(当サイトでも、各サービスの新報酬などをまとめた記事を公開予定です)

認知症専門ケア加算等の見直し

 算定要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修<同加算(Ⅰ)は認知症介護実践リーダー研修、同加算(Ⅱ)は認知症介護指導者養成研修、認知症加算は認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修>を修了した者の配置について認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。なお、上記の専門研修については、eラーニングの活用など受講しやすい環境整備を行う。

在宅復帰・在宅療養支援機能の評価の充実

 在宅復帰・在宅療養支援等評価指標と要件について、▽居宅サービス実施数の指標で、訪問リハビリテーションの比重を高くする▽リハビリテーション専門職配置割合に係る指標について、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士の3職種の配置を評価▽基本型以上で求められているリハビリテーションマネジメントの実施要件について、医師の詳細な指示に基づくリハビリテーションに関する事項を明確化する。その際、6カ月の経過措置期間を設ける。

看取り評価の期間拡大

 老健の退所者の12.0%が死亡を理由としていることから、中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、ターミナルケア加算について、以下の見直しを行う。

 ①要件に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める
 ②要件での看取りに関する協議等の参加者に支援相談員を明記
 ③現行の死亡日以前30日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける。
 
 また、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めることを求める。

退所後の方針を事前にケアマネと連携した場合に追加評価

 退所前連携加算について、入所前後から入所者が退所後に利用を希望する居宅介護支援事業所と連携し、退所後の介護サービスの利用方針を定めて現行の加算の要件である退所前の連携の取組を行った場合を新たに評価する区分を設ける。その際、現行相当の加算区分は、新たな加算区分の取組を促進する観点から評価を見直す。

所定疾患施設療養費の要件見直し

 所定疾患施設療養費について、以下の通り要件を見直す。
 
 ①算定要件に検査の実施を明確化。当該検査は、協力医療機関等と連携して行った検査を含む
 ②所定疾患施設療養費(Ⅱ)の算定日数を、「連続する7日まで」から「連続する10日まで」に延長
 ③対象疾患に蜂窩織炎を追加
 ④業務負担軽減の観点から給付費請求明細書の摘要欄の記載を簡素化する

かかりつけ医連携薬剤調整加算、減薬時は追加評価

 かかりつけ医との連携を推進する要件へと見直す。また、継続的な薬物治療を提供する観点から、減薬時に至った場合についても評価を行う。
 
 かかりつけ医との連携については、入所時に薬剤の中止または変更の可能性についてかかりつけ医に説明し理解を得る。その後、入所中に薬剤を変更した場合、変更の経緯・理由や変更後の状態に関する情報を退所時にかかりつけ医と共有することとなる。
 
 また、入所中に薬剤の変更が検討される場合に、より適切な薬物治療が提供されるよう、当該介護老人保健施設の医師又は薬剤師が、関連ガイドライン等を踏まえた高齢者の薬物療法に関する研修の受講を必要とする。

 減薬に至った場合の評価については、入・退所時のかかりつけ医との連携を前提としつつ、かかりつけ医と共同して減薬に至った場合を区分して評価する。
 
 さらに、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを新たに評価する(減薬に至った場合の評価についてはこれが要件)。

CHASE等へのリハデータ提出を評価する新加算

 自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促すため、訪問リハビリテーション等と同様に、CHASE・VISITへリハビリテーションのデータを提出しフィードバックを受けて PDCAサイクルを推進することを評価する新たな加算を創設する。

サービス提供体制強化加算の見直し

 ①より介護福祉士の割合が高い、または勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。その際、 施設系サービス、介護付きホームについては、サービスの質の向上につながる取組の一つ以上の実施を求める。

 ②勤続年数要件について、より長い勤続年数の設定に見直すとともに、介護福祉士割合要件の下位区分、常勤職員割合要件による区分、勤続年数要件による区分を統合し、いずれかを満たすことを求める新区分を設定する。

災害への地域と連携した対応の強化

 災害への対応は、地域との連携が不可欠であることを踏まえ、非常災害対策(計画策定、関係機関との連携体制の確保、避難等訓練の実施等)が求められる介護サービス事業者を対象に、小規模多機能等の例を参考に、訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならないこととする。

看取りへの対応の充実

 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、訪問看護等のターミナルケア加算における対応と同様に、看取りに係る加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求めることとする。また、施設系サービスについて、サービス提供にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めることを求めることとする。

退院・退所時のカンファレンスにおける福祉用具専門相談員等の参画促進

 退院・退所時のスムーズな福祉用具貸与の利用を図る観点から、居宅介護支援の退院・退所加算や施設系サービスの退所時の支援に係る加算において求められる退院・退所時のカンファレンスについて、退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合には、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加することを明確化する。

個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直し

 施設系サービス、短期入所系サービスにおける個室ユニット型施設について、ケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着を目指し、ユニットケアを推進する観点から、以下の見直しを行う。

 ①1ユニットの定員を、夜間及び深夜を含めた介護・看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するよう努めることを求めつつ、現行の「おおむね10人以下」から「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないもの」とする。
 ②ユニットリーダーについて、原則常勤を維持しつつ、仕事と育児や介護との両立が可能となる環境整備を進め、離職防止・定着促進を図る観点から、人員配置基準や報酬算定について、両立支援への配慮に係る見直しを行う。
 ③ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室)について、感染症やプライバシーに配慮し、個室化を進める観点から、新たに設置することを禁止する。

口腔衛生管理の強化

 口腔衛生管理体制加算を廃止し、算定要件を一定緩和した上で、基本サービスとして整備し、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生の管理行うこととする。

栄養ケア・マネジメントの充実

 栄養マネジメント加算を廃止し、栄養ケア・マネジメントを基本サービスとして行う。このため、現行の栄養士(管理栄養士)の配置を位置付け、入所者ごとの状態に応じた栄養管理を計画的に行うことを求める。

 栄養ケア・マネジメントが実施されていない場合は、基本報酬を減算する。低栄養リスクが高い者のみを対象とする低栄養リスク改善加算について、入所者全員への栄養ケアの実施や栄養ケアに係る体制の充実を評価する加算に見直す。

 また、管理栄養士の配置について、常勤換算方式による確保を求めることとする。さらに、褥瘡管理に関する取組を進める観点から、同加算と褥瘡マネジメント加算との併算定を可能とする。

 経口維持加算は「算定期間の6カ月」要件を撤廃し継続的な取組を進める。

多職種連携における管理栄養士の関与の強化

 介護保険施設で多職種が連携して行う取組について、管理栄養士の役割や関与を強化する観点から、以下の見直しを行う。

 ①介護保険施設での看取り対応に関連する加算(看取り介護加算、ターミナルケア加算)、または基本報酬の算定要件に、関与する専門職として管理栄養士を明記。
 ②褥瘡マネジメント加算、褥瘡対策指導管理の算定要件に、関与する専門職として管理栄養士を明記する。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的な推進

 リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、以下の見直しを行う。
 
 ①リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、リハ専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化する。
 
 ②リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリ計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理するとともに、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式を設ける。

寝たきり予防・重度化防止のためのマネジメントの推進

 利用者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止等の観点から、医師の関与の下、リハビリ・機能訓練、介護等を行う取組を推進する。

 定期的に全ての利用者に対する医学的評価と、それに基づくリハビリや日々の過ごし方等についてのアセスメントを実施。加えて、ケアマネやその他の介護職員が、日々の生活全般において適切なケアを実施するための計画を策定し、それに基づいて日々のケア等を行う取組を評価する新たな加算を創設する。

褥瘡マネジメント加算の見直し

 計画の見直しを含めた施設の継続的な取組を評価する観点から、3月に1回を上限とする算定について、毎月の算定を可能とする。また、現行の褥瘡管理の取組(プロセス)への評価に加え、褥瘡の発生予防や状態改善等(アウトカム)について評価を行う新たな区分を設ける。

排せつ支援加算の見直し

 排泄状態の改善が期待できる入所者をもれなく支援していく観点から、全ての入所者に対して定期的な評価の実施を求め、事業所全体の取組として評価する。また、継続的な取組を促進する観点から、現行、6カ月間に限って算定可能とされているところを、6カ月以降も継続して算定可能とする。

人員配置基準の見直し

 人材確保や職員定着の観点から、職員の勤務シフトを組みやすくするなどの取組を推進し、入所者の処遇や職員の負担に配慮することなどの留意点を明示しつつ、従来型とユニット型を併設する場合において、介護・看護職員の兼務を可能とする。広域型特別養護老人ホームまたは介護老人保健施設と小規模多機能事業所を併設する場合は、管理者・介護職員の兼務を可能とする。

リスクマネジメントの強化

 市町村によって事故報告の基準が異なるため、国が作成する報告様式を活用し、事故報告の形式を標準化する。また、安全対策を恒常的なものとするため、事故発生の防止のための安全対策の担当者を定めておくことを義務づける。
 
 運営基準における事故発生の防止またはその再発防止のための措置が講じられていない場合は基本報酬を減算する。
 
 さらに、安全対策部門を設置するとともに、外部の安全対策に係る研修を受講した安全対策の担当者を配置し、安全対策を整備していることを評価する新たな加算を設ける。

基準費用額の見直し

 介護保険施設での食費の基準費用額について、「令和2年度介護事業経営実態調査結果」から算出した介護保険施設の食費の平均的な費用の額との差の状況を踏まえ、利用者負担への影響も勘案しつつ、必要な対応を行う。

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