介護報酬単価

2021年度介護報酬改定の概要(小規模多機能型居宅介護)

2021年度介護報酬改定の概要(小規模多機能型居宅介護)

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が12月23日にとりまとめた「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」より、各サービスの改定ポイントをまとめた。「審議報告」は次期改定の骨子にあたる。これに基づき、厚労省がより具体的な制度設計に着手する。新報酬などは、同省より1月~2月に公表される予定だ(1月18日に公表されました。下の赤い記事リンク「【速報】介護報酬の改定報酬一覧」より、記事がご覧いただけます)

認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設

 在宅の認知症高齢者の緊急時の宿泊ニーズに対応できる環境づくりを推進するため、多機能系サービスに、施設系サービス等と同様に、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新たに創設する。

通所困難な利用者の入浴機会の確保

 看取り期等で多機能系サービスへの通いが困難となった状態不安定な利用者に入浴の機会を確保する観点から、多機能系サービスの提供にあたって、併算定ができない訪問入浴介護のサービスを、多機能系サービス事業者の負担の下で提供することが可能であることを明確化。

過疎地域等で登録定員超過の減算適用に免除

 過疎地域等において、市町村が認めた場合に、人員・設備基準を満たすことを条件として、登録定員を超過した場合の報酬減算を一定の期間行わないこととする。市町村が登録定員の超過を認めた時から当該介護保険事業計画期間終了までの最大3年間が基本。介護保険事業計画の見直しごとに、市町村が将来のサービス需要の見込みを踏まえて改めて検討し、代替サービスを新規整備するよりも既存の事業所を活用した方が効率的であると認めた場合に限り、次の介護保険事業計画期間の終期まで延長が可能。

地域の特性に応じた小規模多機能の確保

 看護小規模多機能等と同様に、省令で定める登録定員及び利用定員の基準を、市町村が条例で定める上での「従うべき基準」(必ず適合しなければならない基準で、全国一律)から「標準基準」(通常よるべき基準で、合理的な理由がある範囲内で、地域の実情に応じて異なる内容を定められる)に見直す。

看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実

 看取り期の本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、看取り関係の加算の算定要件に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。

緊急時の宿泊ニーズへの対応の充実

 事業所の登録定員に空きがあること等を要件とする登録者以外の短期利用(短期利用居宅介護費)について、登録者のサービス提供に支障がないことを前提に、宿泊室に空きがある場合には算定可能とする。

離島や中山間地域等におけるサービスの充実

 小規模多機能と看護小規模多機能は、「訪問」も提供することと、移動のコストを適切に評価する観点からも、特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算の対象とする。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的な推進

 リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、以下の見直しを行う。
 
 ①リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、リハ専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化する。
 
 ②リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリ計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理するとともに、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式を設ける。

サービス提供体制強化加算の見直し

 ①より介護福祉士の割合が高い、または勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。

 ②勤続年数要件について、より長い勤続年数の設定に見直すとともに、介護福祉士割合要件の下位区分、常勤職員割合要件による区分、勤続年数要件による区分を統合し、いずれかを満たすことを求める新区分を設定する。

口腔機能向上の取組の充実

 介護職員が実施可能な口腔スクリーニングの実施を評価する新たな加算を創設する。その際、栄養スクリーニング加算による取組・評価と一体的に行うものとする。また、通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、通所リハビリを対象とする口腔機能向上加算について、看護小規模多機能を新たに対象とするとともに、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する新たな区分を設ける。

生活機能向上連携加算の見直し

 算定率が低い状況を踏まえ、以下の見直し及び対応を行う。

 ①同加算(Ⅱ)について、サービス提供責任者とリハ専門職等がそれぞれ利用者の自宅を訪問した上で、共同してカンファレンスを行う要件に関して、サービス担当者会議の前後に時間を明確に区分した上で実施するサ責とリハ専門職等によるカンファレンスでも差し支えないことを明確化する。

 ②外部リハ専門職等の連携先を見つけやすくするため、算定要件上連携先となり得る訪問・通所リハ事業所が任意で情報を公表するなどの取組を進める。

管理者交代時の研修の修了猶予措置

 管理者の要件とされている認知症介護実践者研修、認知症対応型サービス事業管理者研修の修了について、計画作成担当者に係る措置と同様に、管理者が交代する場合に新たな管理者が、市町村からの推薦を受けて都道府県に研修の申し込みを行い、研修を修了することが確実に見込まれる場合は、研修を修了していなくてもよい取扱いとする。なお、事業者の新規指定時には、管理者は原則どおり研修を修了していることを必要とする。

人員配置基準の見直し

 広域型特別養護老人ホームまたは介護老人保健施設と小規模多機能事業所を併設する場合は、管理者・介護職員の兼務を可能とする。

同一建物減算適用時等の区分支給限度基準額の計算方法の適正化

 同一建物等居住者に係る減算等の適用を受ける者の区分支給限度基準額の管理において、減算等の適用前の単位数を用いることとする。

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