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介護・用具上場企業決算 コロナ5類化で介護利用者回復

介護・用具上場企業決算 コロナ5類化で介護利用者回復

 介護系の上場企業の24年3月期決算が出揃った。新型コロナ5類移行の中で、介護サービス系9社は全企業で増収増益、用具系関連11社は増収増益8社となった。原材料の高騰や人件費増はあったが、高齢者介護ニーズの増大や価格転嫁で収益を確保した。

福祉用具・用品上場企業の業績

王子HD(通期)

 紙おむつを含む生活産業資材の売上は7987億円(前年比2.3%増)、利益212億円(利益率2.7%)。紙おむつは価格引き上げ。子ども用は前年並み、大人用は増収。マレーシアでの紙おむつ拡販が進んだ。

ユニ・チャーム(24/1~3、3カ月間)

 24年12月期の全社の連結業績予想は1兆円超。大人用紙おむつの売上の6割以上が海外。中国で商品ラインナップ拡大、タイやインドネシアなどでも、パッド併用の日本式を推進。ウエスト部を超音波接合し腹圧を軽減した商品を開発。

花王(24/1~3、3カ月間)

 ハイジーン&リビングケア事業部の中に、紙おむつと生理用品のサニタリー製品(第1四半期売上410億円、4.2%減)を含む。日本国内178億円、アジア232億円の内訳。昨年、現地メーカーの競争力増や福島原発処理水放出などがあり、中国での子ども用紙おむつ工場を撤退。

大王製紙(通期)

 紙おむつは価格改定を実施。長時間・高吸収タイプが貢献。子ども用紙おむつは中国、インドネシア、ブラジル、トルコで現地工場をもつ。

パラマウントベッドHD(通期)

 1060億円(7.1%増)。介護575億円(6.7%増)、医療372億円(9.1%増)、健康25億円(12.5%減)など。見守りセンサー「眠りSCAN」拡販。23年10月から管理システム「眠りCONNECT」開始。

トーカイ(通期)

 病院・介護713億円(6.4%増)、調剤522億円(6.0%増)、リースキン143億円(6.2%増)。介護用品レンタルが好調で、関東エリアのシェア拡大。

フランスベッドHD(通期)

 メディカル部門は売上388億円(2.1%増)、経常利益35億円(4.8%増)。福祉用具貸与、病院・施設向け販売、リネンサプライ事業のいずれも増収。福祉用具貸与は配送コスト増も、メンテナンス強化で用具の回転率がアップ。

日本ケアサプライ(通期)

 24年3月期売上285億円(10.4%増)。事業者向けECサイト「グリーンケアオンラインショップ」、食事サービス好調。おむつ漏れを改善する在宅のおむつ配送サービス「おむピタ」展開。

ピジョン(24/1~3、3カ月間)

 ベビーケア、子育て支援、ヘルスケア・介護は売上87億円(1.6%減)、利益5億円(19.0%増)。介護用品ブランド「ハビナース」の口腔ケアシリーズ好調。

プラッツ(23/7~12、6カ月)

 24年6月第2四半期、6カ月の売上は30億円(1.6%増)。福祉用具流通22.1億円(1.8%減)。医療・高齢者施設6.6億円(13.0%増)など。海外は韓国や香港向けが好調だった。

幸和製作所(23/3~24/2、通期)

 主力は歩行器。売上64億円(2.2%増)、営業利益9億円(46.1%増)の増収増益。手すり、スロープ、入浴補助具へ製品領域拡大。

介護事業上場企業の業績

ベネッセHD(通期)

 教育と介護・保育事業。介護はコロナ5類移行でサービス利用回復するも人材確保が課題。同分野は、入居率回復、価格改定、新規拠点開設で、売上1393億円(5.0%増)、利益94億円(42.3%増)。うち入居介護サービス売上1187億円。

学研HD(23/10~24/3、6カ月)

 教育と居住サービス。高齢者住宅売上200億円(15.1%増)、営業利益10億円(138%増)。入居率97%。1棟当たりの戸数大型化やM&A、事業継承で対応。認知症GH186億円(6.0%増)、営業利益12億円(10.8%増)、計6棟新規開設。

セントケアHD(通期)

 介護サービス事業529億円(2.8%増)、営業利益20億円(22.1%増)。訪問介護は単価改善、総合事業減少、8カ所新規開設の一方、2カ所で統廃合。訪問看護は前期開設の15拠点が収益貢献。デイは既存拠点の収益改善。看護小規模多機能好調。

綜合警備保障(通期)

 介護事業509億円(7.3%増)、全社売上の9.8%。営業利益13億円(147%増)。介護支援ロボットの活用。「ALSOKの介護」ブランド。

ソラスト(通期)

 医療事務704億円(2.2%減)、介護538億円(11.0%増)、こども101億円(2.5%増)。介護事業所前年より61カ所増に。デイ利用者改善。

シップヘルスケアHD(通期)

 医療機器、医療品、調剤、介護。ライフケア事業部売上360億円(3.6%増)、営業利益26億円(26.8%増)。入居率改善。

シダー(通期)

 介護サービス(デイ、訪問介護・看護、福祉用具)の利用者増。既存施設(有料老人ホーム)の稼働率上昇。売上173億円(5.2%増)、営業利益7.6億円(463.8%増)に回復。

ヒューマンHD(通期)

 人材派遣、教育、介護。介護事業は売上117億円(3.6%増)、営業利益2.3億円に回復。住まい・医療・福祉用具の重層展開、小規模多機能、デイの展開。

ケアサービス(通期)

 介護からエンゼルケアまで。全事業数は113拠点。都内のドミナント展開。在宅介護事業は、売上69億円(3.9%増)、営業利益5.2億円(1.4%減)。

(シルバー産業新聞2024年6月10日号)

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