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看護の質の向上にも繋がる「働きやすい」仕組みづくり

看護の質の向上にも繋がる「働きやすい」仕組みづくり

 東京都世田谷区にある梅ヶ丘訪問看護ステーション(うめケア、荒井信雄社長)は、常勤看護師が10人就業している。さらに開設2年目にして、利用者は100人を超えた。看護師の採用ペースと利用者獲得ペースの速さの秘訣は、「働きやすい職場づくり」に注力していることだという。

 同ステーションは、売上などの数値管理を行う管理者とは別に、サービスの品質管理責任者として「マネージャー」という独自の職種を設ける。訪問先などで少しでもトラブルがあると、看護師はマネージャーの稲葉敦子さんに連絡。稲葉さんは、適宜対応指示を出して支える。自身の仕事について「看護師たちのメンタルケアや相談に乗ることも、管理者ではなくマネージャーの役目」と語った。

 役割分担を明確にすることによって負担が軽くなり、看護師と管理者の間で細やかな連携がとれ、チームワークの向上に繋がるという。稲葉さんは「自分の仕事に専念できるので、看護師の悩んでいる素振りなどにもすぐ気付け、早い段階から対応ができる」と職場の風通しの良さを実感している。

 また短時間正社員などの仕組みも導入し、臨機応変な働き方が可能。週1日1時間からでも働くことができる。「スタッフが業務に集中できるようにするためには、サポート体制をしっかりさせることが重要だ」と管理者の吉岡正善さんは説明する。特に子供の急な発熱などを不安に思い、フルタイムでの就業が難しい「ママさん看護師」に好評だ。

 利用者に対し、あえて担当者制をしかないのも特徴。手が空いたときには、他の看護師への同行を推奨している。利用者と顔見知りの看護師を多く作ることによって、急な欠勤などの場合もスムーズに引き継ぎを行うためだ。中園まどか所長は「利用者を知っている人が代わりとして行くことで、利用者と欠勤した看護師、双方を安心させられる」と話す。

 中園所長は訪問看護の役割として、処置だけではなく、「病院に行くタイミングはいつか」などを適切にアドバイスする、予防の側面もあると考えている。そのためにも適切な連携が大切だと強調する。「働きやすい環境の中ではお互いに相談もしやすい。また余裕を持って仕事に臨めるので、結果的に看護の質が向上する」と力説した。

(シルバー産業新聞2015年10月10日号)

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