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岡山市 「訪問介護インセンティブ事業」 開始

岡山市 「訪問介護インセンティブ事業」 開始

 国の総合特区である岡山市は、6月より新たな特区事業として、訪問介護の利用者宅にリハビリ職を同行派遣させ、改善度合い(アウトカム)に応じて、年度末に訪問介護事業所を表彰・奨励金を支払う「訪問介護インセンティブ事業」を始めた。

 18年介護報酬改定で訪問介護に「生活機能向上連携加算」として、他法人のリハビリ職との連携に加算が新設されたが、算定状況は19年1月審査分で(Ⅰ)2.7万単位、300件、(Ⅱ)11.6万単位、600回と全国的に低調。岡山市では、その背景にリハ職への謝礼の仕組みが曖昧であることや、訪問介護事業所がリハ職と疎遠であると考え、特区事業で両者の調整を図ることとした。

 具体的には、市が県の作業療法士会と理学療法士会の協力を得て、加盟するリハ職の派遣を調整し、リハ職への謝礼も支払う。介護事業所には事前に説明会を開催。自立支援の重要性を周知し、リハ職連携をしたい意向の市内30事業所を先着順で募った。市担当者は「病院勤務が多いリハ職には、在宅復帰後や在宅生活の高齢者に即したリハビリに関与したい思いや、訪問介護事業者もリハビリ視点に触れたいという思いが強かった」と、両者の意欲も想定以上に高いと話す。

毎年150人 「アウトカム」 蓄積

 参加要件は、リハ職は「6月と12月の年2回の同行訪問に協力する」「利用者や在宅環境をみてヘルパーにアドバイスをする」など。訪問介護事業所は「参加協力してくれる要介護3までの利用者5人(週60分以上のサービス利用者)を選定する」「自立支援をテーマとする研修計画をたて実施する」「全職員に健康検診を実施」など。

 評価方法は、利用者150人(30事業所×5人)を6月と12月に同行訪問し、半年間のサービス提供の結果を、リハ職がADL評価の世界的指標「バーセルインデックス(BI)」の改善度合いで評価。評価指標をクリアした事業所に表彰状を送るほか、評価上位10事業所に奨励金10万円を支給する。

 現行の「生活機能向上連携加算」ではリハ連携という「プロセス評価」に留まるが、同事業では、通所介護に先行導入されている「BI」変化を訪問介護でも用いることで「アウトカム評価」もする。 21年度介護報酬改定に向け、毎年度、厚生労働省に成果報告が予定されており、訪問介護へのアウトカム評価導入の判断に活用される見通し。

(シルバー産業新聞2019年6月10日号)

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